Image:Modena Automobili
| かなりな高価格ではあるが、コアなファンが多いマセラティだけにけっこうすぐに完売するかもしれない |
マセラティ・ビトゥルボは実際に「画期的」なクルマであった
さて、現在レストモッドが華盛利といった状況ですが、ポルシェ911に始まりポルシェ928、968のレストモッドが登場し、さらにはランチア・デルタ/037、ランボルギーニ・ディアブロ、そしてルノー5ターボなどアイコニックなクルマのレストア+カスタムが多数登場しています。
そして今回モデナ・アウトモビリがアナウンスしたのが「マセラティ・ビトゥルボのレストモッド」。
ちなみにこのビトゥルボは(1976年に)マセラティを買収したアレッサンドロ・デ・トマソが企画したクルマであり、1981年に「自動車業界初のツインターボエンジン装着量産車」としてデビューしています。※「ビトゥルボ」とは「ツインターボ」の意味である
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「マセラティ・ビトゥルボ・シャマル・レストモッド」はこんなクルマ
ビトゥルボはそれまでのマセラティに比較しコンパクトで、かつ求めやすい価格を持っていたことから爆発的ヒットとなり、(フィアットがマセラティを買収する)1994年まで継続生産されています。
もちろんこのビトゥルボの存在がマセラティを倒産の危機から救ったことは疑いようがなく、しかしそれまでのマセラティの客層を一気に変えてしまったこと、信頼性の低さなどからこのビトゥルボ、そしてアレッサンドロ・デ・トマソに対しては「功罪を問う」声も少なくはないようですね。
ただ、ぼくとしてはこのビトゥルボについて「独自の市場を築いた画期的な存在」として評価していて、同様に考えるファンも少なくないと認識しています。
そしてこのビトゥルボは1994年に生産が終了するも、カリフ、シャマルといった(よりスポーティーな)派生モデルを生み出していて、今回のレストモッドはその名が示すように「シャマルをベースとし、ビトゥルボへとオマージュを捧げるモデル」となっているのがその特徴。※プロトタイプは1983年型のビトゥルボをベースに作られる
モデナ・アウトモビリはビトゥルボの持つボクシーなスタイル、シャマルの持つフレアフェンダーを維持しつつも、シャマルをデザインしたマルチェロ・ガンディーニが好んだ(傾斜のついた)リアフェンダー形状を変更して「通常のフェンダーアーチ」っぽく戻しており、これは”(普通のフェンダーアーチを持つ)ビトゥルボへの敬意”だとも考えられます。
そのほかシャマルの持っていた「フィロンとウインドウ前のスポイラー」といった特徴も残され、しかし現代のクルマっぽくグリルは低く、エアインテークは大きく、スプリッターが設置されることに(ボンネット上にはシャマルのクラシックなデザインを模したベントも見られる)。
リアに移ると、新しいリアバンパーが装着され、しかしオリジナル同様に四本出しのエキゾーストパイプがそのまま再現され、その間にあるのはアグレッシブなディフューザー。
テールランプとリアスポイラーは一新されることで新しい表情を作り出していますが、このスタイリングはビトゥルボ好きに”刺さる”のかもしれません。
搭載されるパワートレーンは現行ギブリから移植されたV6で、もちろん「ツインターボ」にて加給されることによって500馬力を発生します。
トランシミッション含むドライブトレーンもまたギブリからの流用で、ブレーキシステムはブレンボ、サスペンションはギブリと同様の構造を持つものの各部がリファインされている、とのこと。
モデナ・アウトモビリはこのビトゥルボ・シャマル・レストモッドを33台のみ製造するとアナウンスしており、その価格は638,000ドル(現在の為替レートにて約9830万円)に設定され、2025年春に生産が開始されると発表されています。
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