
Image:Jaguar
| ジャガー新CEO P.B.バラジ氏、トランプ大統領kらの批判を無視して戦略継続 |
新生ジャガーによる完全EV化と超高級路線
2024年末に発表されたジャガーのブランド刷新と「Copy Nothing」キャンペーンは、その斬新すぎるビジュアルのため一部で酷評されたのは記憶に新しいところ。
そしてつい最近、トランプ大統領はジャガーのリブランド広告を「TOTAL DISASTER(完全な失敗)」と呼び、「あんな広告を見た後に誰がジャガーを買うんだ」と自身が運営するSNSへと投稿したうえ、広告には有色人種のモデルやピンクの車両が登場したことから「woke(政治的正しさに配慮しすぎ)」と批判を行っています。
しかし2025年11月、(急な退任が決まった)現CEOエイドリアン・マーデル氏からバトンを受け取ることとなるP.B.バラジ氏は、こうした批判に耳を貸す様子はなく、「計画は順調に進んでおり、顧客からも好意的な反応が得られている。だからこそ、この戦略を貫く」とその意気込みを語ることに。
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ジャガーは「路線の変更を行わない」
バラジ氏が引き継ぐのは「ジャガーを完全電動化し、超高級ブランドとして再定義するという大胆な計画」。
既にその計画を視覚化するものとして発表されたコンセプトカー「Type 00」は、大型2ドアクーペ風のラグジュアリーセダンであり、ブルータリズム建築を思わせるデザインが特徴ですが、市販モデルでは「2ドアから4ドアへ」と形状が変わるものと見られます。
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しかしジャガーにおいては上述の「批判」、そしてEV市場全体では(とくに)高級EVの需要が鈍化しているという事実があり、現にメルセデス・ベンツやアウディなど多くのメーカーがEV計画を修正済み。
それでもジャガーは、(CEO交代という唯一無二のチャンスにもかかわらず)ベントレーやロールスロイスと肩を並べる超高級EV市場を狙う姿勢を崩しておらず、現在の路線を「継続する」としているわけですね。
バラジ氏のコメント
「過去8年間、この会社とその強力なブランドを知り、愛してきた。チームと共にさらなる高みを目指すことを楽しみにしている」
マーデルCEOの実績と課題
現そして退任予定のCEO、エイドリアン・マーデル氏は2023年にジャガー・ランドローバー(現JLR)CEOに就任し、コロナ禍後の混乱を乗り越えて10四半期連続で黒字化に成功。
ただし利益の大半はランドローバー(ディフェンダーやレンジローバー)によるもので、よってジャガーを立て直すべくいったん生産を縮小し、再出発の準備を進めていたわけですが、そこで大きな批判を浴びてしまい、(正式な発表はないものの)突然の退任が発表されています。
なお、エイドリアン・マーデル氏の名誉のために補足しておくと、今回の完全EV化計画は、2021年時点のCEOであったティエリー・ボロレ氏が発表したもので、エイドリアン・マーデルCEOは「運悪く」それを引き継ぎ、そしてその事後処理が次期CEOのバラジ氏へと受け継がれることとなります。
それでもジャガーが路線変更を行わないのは「(JLRの親会社である)多々がそれを許さない」のだとも考えられ、ある意味でバラジ氏は「貧乏くじを引いた」のかもしれません。
まとめ
ジャガーは2025年以降、完全EV化と高級路線という二重の大きな賭けに出ることとなりますが、静粛性と瞬発力を兼ね備えるEVは高級車に適しているものの、市場動向はまだまだ不透明。
成功すれば歴史的快挙、失敗すればブランド存続に影響する可能性も考えられ、ジャガーの今後の動向には注目が集まります。
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参照:Bloomberg