
| ランボルギーニ、「ミウラ」を復活させないと明言 |
現在のランボルギーニは「リバイバル」ではなく「未来」を見据える
ランボルギーニは「世界初のスーパーカー」と言われるミウラを世に送り出したブランドではありますが、その「ミウラ」を再び製作するつもりはない、と改めて明言。
これはデザイン部門を率いるミッチャ・ボルカート氏が Auto Express のインタビューにて語ったもので、「我々は未来を見据えるのであって、過去を振り返ることはない」と語り、ミウラの復活を完全に否定しています。
さらにミッチャ・ボルカート氏は「需要があることは理解しているが、それでも我々はやりません」と述べ、これは「復活」を望む声が少なくない中であっても、あくまでランボルギーニの姿勢は“前進”であることを強調する発言だと捉えることが可能です。
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「カウンタック」復活との違い
ここで思い出されるのが、2021年に登場した「カウンタックLPI 800-4」。これはクラシックモデルの復刻と思われがちですが、ミッチャ・ボルカート氏は次のように説明します。
「カウンタックは未来的な解釈だった。1990年を最後に生産が終了し、2021年に登場したモデルは“継続モデル”として想像したものだった」
つまり単なるレトロ回帰ではなく、「当時のカウンタックがもし現代まで続いていたら」という未来志向のアプローチがあったということですね。
ただ、これには補足が必要で、このカウンタックLPI800-4を企画したのは前ランボルギーニCEOのステファノ・ドメニカリ氏。
同氏はスクーデリア・フェラーリCEOからランボルギーニCEOへと転身し、ランボルギーニでは「モータースポーツ」「リバイバル」という新しい方向性を打ち出すこととなるのですが、後者の一環が「カウンタックLPI800-4」。
ただ、後任そして現CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏は未来志向の人物であり、かねてより「レトロ、リバイバル路線は追求しない」「我々に必要なのは小さなバックミラーと、大きなフロントウインドウであり、過去よりも前を見る」と主張していて、ミッチャ・ボルカート氏もこれに賛同しているというのが現在の状況です(カウンタックLPI800-4はステファン・ヴィンケルマン氏時代に発売されているが、それはもう同氏が着任したとき、プロジェクトを停止できる段階になかったからである)。
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2006年には「ミウラ・コンセプト」も存在
実はランボルギーニは過去に一度だけ「ミウラ」を現代に蘇らせていて、2006年、初代ミウラ誕生40周年を記念して製作された「ミウラ・コンセプト」がそのクルマ。
このモデルはムルシエラゴのプラットフォームをベースに6.5リッターV12エンジンを搭載しており、見ての通りデザインはオリジナルのミウラを色濃く反映したものです。
ただ、このクルマは当時ランボルギーニ属するフォルクスワーゲングループのデザイン統括責任者として着任したワルター・デ・シルヴァ氏が「個人的なプロジェクト」として実現させたものであり、当初から発売する計画はなかったようですね。
現行ランボルギーニに息づく「ミウラ」のDNA
よって直接的なミウラ復活は「ない」ものの、ミウラの影響は現代のランボルギーニに確かに存在しており、ミッチャ・ボルカート氏は次のように語ります。
「新型フェノーメノをミウラの隣に置いてみると、フロントの2つのエアアウトレットなど、共通する要素がある。また、Y字型の“Sダクト”にもその影響を見ることができる」
世界初の市販ミドシップ・スーパーカーとして登場したミウラは、後のスーパーカーの基本フォーマットを確立したと言ってよく、その革新性と美しさは今なお評価され、デザイン言語としてランボルギーニの血脈に生き続けているというわけですね。
Image:Lamborghini
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まとめ:ミウラは蘇らない、しかし生きている
ランボルギーニは「ミウラ」をそのまま復活させることはせず、しかし、そのDNAは確実に受け継がれ、未来志向のデザイン哲学の中で新しい形へと昇華されています。
伝説は過去に置いたまま、未来に向けて進む。これこそがランボルギーニらしさといえるでしょう。
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参照:Auto Express