
| 今まで払う必要がなかった「税金」を徴収されるのには当然ながら抵抗がある |
ランボルギーニにとって北米は最大の市場であり、今後「困難」も予想されるが
ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏によれば「たとえ大富豪であっても関税による価格上昇は決して歓迎されていない」。
米国がヨーロッパ製の自動車に課した27.5%の輸入関税は「軽く4000万円を超え、富裕層のみを対象とした」スーパーカー市場にも影を落としている、と報じられています。
関税は富裕層にも影響
多くの人は「大富豪なら価格の上昇など気にしないだろう」と考えがちですが、ステファン・ヴィンケルマン氏はインタビューで次のように語っています。
「彼らは富豪である理由がある。つまり無駄な出費を嫌い、常にお金の流れを意識している。」
実際、ランボルギーニの顧客の中には、新関税の行方が確定するまで購入を待つ顧客もいるそうですが(現在もトランプ政権とEUとの交渉は継続している)、たしかにぼくが知るお金持ちはほぼ例外なく「お金にシビア」であり、いくらお金を持っていようとも、無駄なことにはビタイチお金を払わない、そして対価に見合わない支出は絶対に行わないという人が多いように思います(むしろぼくのほうがお金にユルいと感じさせられ、勉強させてもらっている)。
よって、大富豪は「機能含む価値の向上」が伴う値上げであれば喜んでそれを受け入れるのだと思われ、しかし今回の関税のように「クルマそのものの価値は変わらないのに、税金だけポンと課され、そのぶんを支払ったとしても国の収益になるだけ」という不条理を受け入れることができないのは当然であり、むしろ「それくらいええやん」と考えて関税を支払うような人物であれば、そこまでの富を築くことはできないのかもしれません。
つまり、これは投資や経営の判断と同じだとも考えられ、「判断を誤ったり、お金の使い道、その正当性の確認をおろそかにすると」お金を失うだけであるという事実に繋がります。
「米国だけで課される」追加関税を支払ってクルマを購入することは「論理的な判断ではない」
実際のところ、関税による値上げは今のところ「アメリカだけ」なので、アメリカのオーナーだけが「高い価格でスーパーカー(含む自動車)を購入しなくてはいけない」わけですが、そしてこの「高い金額で購入したスーパーカーを売却する場合」、米国以外では高額な関税が課されていないために「米国以外の国では比較的(米国よりも)安価にスーパーカーを購入でき」、そのため米国以外で「思うような値段で」クルマを売却することはできず、しかし米国内のみだとスーパーカーの市場規模が十分ではない可能性もあるため、購入時に支払った税金が「無駄になる」ということに。
これが逆に「機能を伴う値上げ」のみであれば、そのクルマの世界共通の価値をもって売却できるので大きな損失を回避することが可能となるのですが、お金持ちはこういった「損得勘定」が得意な人が多く(だからこそお金持ちである)、よって今回の「関税による値上げ」によって購入を見送る富裕層は、単に「支払う金額が高くなったから”払えない”」わけではなく、「支払うだけの価値を見いだせない事象に費用を投じない」という論理的判断を下しているにすぎないのだと思われます。
実際のところ、この「トランプ関税」につき、あと3年が経過しトランプ大統領が退任するとなれば、その際には「消滅」する可能性が非常に高く、これを考慮しても「あえていま、高い金額を投じてそのクルマを購入する必要はない(関税が撤廃されれば、同じクルマを税金分だけ安く買える。逆に高い時期に購入すれば売却時の損害が大きくなる)と考えることにも納得がゆきますね。※もちろん、トランプ大統領の任期中であっても、EUとの交渉次第でこの関税が(日本がそうであったように)引き下げられる可能性がある
「Made in Italy」は譲れないブランド価値
そしてランボルギーニやフェラーリの場合、オーダーブックは「常にいっぱい」なので、たとえ米国の顧客が購入を(直近で)見送ったとしてもその分を他の国や地域の顧客に振り分ければ済むだけの話であり、おそらく「大きな影響はない」とも考えています。
ただ、普及価格帯のクルマを大量に販売している自動車メーカーの場合はそうも言っておられず、関税回避を目的として生産拠点を米国に移す、あるいは増設する動きを見せており、ポルシェですら「北米生産」を検討しているとも言われているほど。
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しかしランボルギーニはその可能性を完全に否定していて、つまり、イタリア生産を守る以上、関税コストは顧客が負担することになりそうです(もちろん最も大きな負担はアメリカの顧客であるが、増税分すべてをアメリカ市場に負担させることは難しく、他の市場においても”値上げ”という形で反映されるであろう)。
「Made in Italyはブランドの核であり、我々の魅力の一部だ。」
ランボルギーニCEO ステファン・ヴィンケルマン
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価格上昇は避けられない現実
米国関税の影響を受け、ランボルギーニはすでに米国で7〜10%の値上げを実施しており、これによって関税分がさらに重くのしかかる状況となっていますが、これはつまり、関税ゼロの国や地域に住む人々(幸いなことに、日本もその一つである)に対し、アメリカの人々は「同じクルマなのに、7~10%も高い価格で購入せねばならない」ということを意味していて、直近で発表されたフェノーメノのような高額車両であれば、その負担は「ちょっとしたスーパーカーを1台買える」くらいとなってしまうわけですね。※ただ、クルマ販売価格は国ごとに決められる税金によっても大きく変わるので、関税が低くても安く買えるというわけではない
まとめ
- 米国が欧州車に27.5%の関税を課すことで、ランボルギーニの富裕層顧客も購入をためらう動き
- 「Made in Italy」を守るため、ランボルギーニは生産拠点移転の可能性はなし
- すでに7〜10%の価格上昇を実施、最終的にコストは顧客負担に
- トランプ関税の先行きは完全に不透明
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参照:Carscoops