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フェラーリが「サイドエキゾースト」を特許出願。ダッジ・バイパー、メルセデスAMG G63ばりの「側方排気」を採用か


| たしかにフロントエンジン車にとって「側方排気」は理にかなっている |

なによりもドライバーへと刺激的なサウンドを届けることが可能に

フェラーリが世界知的所有権機関(WIPO)に「サイドエキゾースト搭載ロードカー」なる特許を出願。

かつてはダッジ・バイパー、現在だとメルセデスAMG G63などが採用するサイドマウント排気管を独自のテクノロジーによって進化させて搭載する可能性があり、ここでその特許の内容を見てみたいと思います。

【特許が語る技術的特徴】


2025年4月8日に出願され、10月16日に公開された特許文書によると、フェラーリが「サイドエキゾースト」を搭載した新型ロードカーの開発を検討していることが示唆されており、特許図面にはフロントエンジンレイアウトが明確に示されています。

V8かV12かのエンジン形式は未確定ながらも、同社のグランツーリスモの伝統を継ぐモデルに搭載される可能性が考えられ、これが実現すればフェラーリにとって大きな転機となるのかもしれません。

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Image:WIPO

ちなみにこの「サイドエキゾースト」はダッジ・バイパーが採用していたことが有名ですが、(バイパーを発売した)クライスラーは一時FCAとの提携状態にあり、そしてFCAはフェラーリを所有していたために「広い意味で」クライスラーとフェラーリは無関係ではないわけですね。

よって、こじつけではあるものの、フェラーリがこのサイドマウントエキゾーストを採用すれば、イタリアの躍動する馬とアメリカン・マッスルカーの間に”かつてのFCA時代を超えた”新たな共鳴が生まれることになります。

そして特許文書には以下の重要な技術的記述が含まれ・・・。

  • エンジンは運転席前方に搭載(フロントエンジンレイアウト)
  • サイド排気ダクトは前輪と並行に配置
  • 衝突安全性において前輪の移動を抑制する機能を付与

この記述は、単なるデザイン上の選択ではなく、車体構造と統合された機能的な排気システムであることを示しています。

【歴史に刻まれたサイドパイプの系譜】

参考までに、サイドエキゾーストは自動車史において重要な地位を占めてきたのも事実であり、しかし、乗降時の火傷リスクや部品への熱ダメージといった課題から、多くのメーカーが採用を中止してきたのもまた事実。

  • シボレー・コルベット(C2世代)
  • ジャガー・XKSS
  • メルセデス・AMG G63
  • シェルビー・コブラ
  • TVRサガリス
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【現代技術による進化の可能性】

フェラーリの特許申請が従来と異なる点は安全性と現代的な要求への対応だとも考えられ、特許図面では排気管を外側に配置しつつも車体内部に格納する設計が示され、従来の課題を克服しようとする意図が窺えます。

  • ハイブリッドシステム用バッテリー配置との両立(車体フロアにエキゾーストシステムを通す必要がなくなり、本来エキゾーストシステムを装着すべき車体センターにバッテリーを挿入することが可能となる)
  • 熱管理技術の進歩による危険性低減
  • 構造要素としての統合による剛性向上
  • 軽量化

【生産化への現実的な展望】

ただし、特許出願が即座に市販化を意味するわけではなく、以下の可能性も考えられることには要注意。

  1. 特別注仕様車(ワンオフモデル)向けの技術
  2. 将来のデザイン言語のための技術的保護
  3. 12Cilindriをベースとした限定モデルへの応用

近年のフェラーリはSC40(F40へのオマージュモデル)に代表される特別仕様車を積極的に展開しており、そうした車両での採用が行われると考えたほうが現実的かもしれません。

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【まとめ】

つまるところ、フェラーリのサイドエキゾースト特許は、単なるノスタルジックな回帰ではなく、現代の技術力で自動車史の名物を再解釈する挑戦、あるいは時代が求める要件(ハイブリッド)を解決するための特許であるとも考えられ、さらには「ドライバーの耳に”より近い”位置からエキゾーストサウンドが轟くという副産物をもたらしてくれるのかもしれませんね。

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参照:Carbuzz, WIPO

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