■駄文(日々考えること)■

なぜこの1-2年で腕時計やスーパーカーの相場は急に「動かなくなったり下がるように」なったのか?ボクは単にそれらが「魅力的な投資対象ではなくなったから」だと考える

ロレックス

| つまり、腕時計やスーパーカーに回されていた資金が、別の「魅力的な」投資先へと移動している |

おそらく、この傾向はしばらく続くこととなるだろう

さて、この1~2年、スーパーカーや腕時計の相場が停滞、あるいは下がり続けていることが話題となっていますが、その理由につき、ぼく的な見解としてはもはやスーパーカーや腕時計は投資対象として魅力的ではないから」。

これはいったいどういうことなのか、ざっと解説してみたいと思います。

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スーパーカーや腕時計以上に「値上がり」するものがでてきた

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スーパーカーや腕時計相場につき、「実需」というよりは「投機的意思(つまり転売目的)」によって支えられてきた側面が強いと認識しており、そして投機筋は常に費用対効果が優れる」投資先を探しています。

そして現在の「スーパーカーと腕時計の下落(あるいは停滞)」につき、投機筋が「スーパーカーと腕時計はもう(相場が)上がらない」と見切りをつけ、彼らの資金をいったん(スーパーカーと腕時計から)引き上げ、別の「もっと儲かる」投資先へと投資するようになったからだとぼくは考えているわけですね。

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そして「もっと儲かる」投資先とは具体的に(主なものとして)「株式」「暗号資産」「金」だとも考えているわけですが、それぞれについて「1.2024年所の取引開始から本日まで」「2.2025年初の取引開始から本日まで」の騰落率を数値にすると以下の通り。

1. 2024年初から今まで(2024年1月1日 → 2025年11月12日)

資産名騰落率
日経平均株価約 +53.94%
NYダウ約 +27.18%
約 +110.41%
ビットコイン約 +68.85%

2. 2025年の年初から今まで(2025年1月1日 → 2025年11月12日)

資産名騰落率
日経平均株価約 +27.59%
NYダウ約 +13.06%
約 +48.81%
ビットコイン約 +45.07%

これを見ると、日経平均は2024年から今までだと1.54倍、今年だけでも1.28倍となっており、金だと2024年からは2.1倍、2025年では1.49倍へ。

これは非常に「投資効率が高い」数字だとも考えていて、「上がるから人々や投資家が投資する」「投資するからさらに相場が上がる」というサイクルが発生しているのだとも考えられます。

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なぜスーパーカーや腕時計は魅力的な投資先でなくなったのか?

そこで考えねばならないのが「なぜスーパーカーや腕時計は魅力的な投資先でなくなったのか」。

これについてはいくつかの理由があると考えています。

1.価格が上がりすぎた

まずひとつは「スーパーカーや腕時計の価格が上がりすぎたこと」。

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スーパーカーや腕時計の価格が上がり始めたのは2019年頃からで、ロレックス・デイトナについては2019年の平均相場だと(当時の現行モデル、116500LNで)270万円~300万円くらい。

一方の2025年だと平均相場は(126500LNで)515万円~590万円くらいとなっており、とんでもなく価格が上昇したことがわかります。

ただ、こうなると一つ問題が生じ、それは「価格が上がりすぎると買う人が少なくなる」。

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モノの相場というのは「その金額を出しても買う人がいるから上がる」わけですが、ここまで価格が上がってしまうと購入できる人の数がガクっと減ってしまい、たとえば200-300万円であればローンを組んで頑張って購入していた人でも、「500万円」となるとさすがにためらう、ということですね。

あるいは、200-300万円であれば、自分が使用する嗜好品、そして資産も兼用すると捉えて「自己投資」と考えることもできるかと思いますが、500万円となると「別のことにお金を使う」と考える(冷静になる)人も出てきそう。

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これによって高額な腕時計全般の「市場在庫の回転」が鈍ってしまい、「回転する都度(転売される都度)」価格が上がってゆくという状況に変化が訪れ、価格が上がりにくくなったり、あるいは(長期在庫を嫌ったディーラーが販売価格を引き下げることで)価格が下がっているということに。

参考までに、2019年頃から価格が上がり始めたのは「ロレックスが2019年から頻繁に価格改定を行い希望小売価格を引き上げるようになったから」」で、これにつられて中古相場も上がってゆき、そして直後に発生したコロナウイルスのパンデミックによって状況がさらに加速。

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コロナ禍に伴うロックダウンによって生産量が一気に少なくなり、ただでさえ供給が足りなかったという状況に拍車をかけて「永遠に価格が上がり続ける」という状況を作り上げ、それが常態化することで一般の人々に対しても「ロレックスの転売は儲かる」という認識が一般化してしまっています。

そしてそれは今でも続いており、しかし「買う人が少なくなったので」、今までのように「天井知らずに」上がってゆくという状況が少し変化しているのだとも捉えています。

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一定の価格になれば「モノと価格が釣り合わなく」なってくる

そしてこれはスーパーカーについてもいえることで、2000-3000万円であれば「なんとかローンを組んで」購入していた層であっても、「5000万円」となるとさすがにキツくなる人も出てくるんじゃないかと思われ、「5000万円払うんだったらマンションを買う」と考える人も当然ながら出てくることに。

つまるところ、「モノ」にはその本質的価値に見合った相場というものが存在し、その相場を超えると途端に取引件数が減ってしまうという現実があるのですが、腕時計、そしてスーパーカーは「そのラインを超えつつある」あるいは「超えてしまった」のかもしれません。

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2.売買のハードルが高い

そしてもう一つの要素としては、腕時計そしてスーパーカーは「売買のハードルが高い」こと。

ロレックスを新品で入手するには「ロレックスマラソン」に参加する必要があり、中古であっても「より程度が良く、より安価な」個体を探さねばならず、それらは容易なことではありません。

そして運よく入手できたとしても、「より高くで売る」方法を模索せねばならず、そしてこういった売買を何度も繰り返すことは至難の技であり、小遣い稼ぎであればまだしも、それも生活したり「一儲け」しようとなると「割に合わない」仕事ということに。

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これはスーパーカーであっても同様で、購入の際には資金を(現金なりローンなり)で用意するのはもちろん、さらには法的な手続き、そして保管場所の準備など「かかる手間」がいっそう増加します。

さらに購入後には「保管」「保険」「メンテナンス」という壁が立ちはだかり、売却に際しても(普及価格帯のクルマとは異なるので)容易ではなく、これもやはり「一般人が手を出して利益を上げるのは難しい」「プロであってもコストがかかる」たぐいのビジネスです。

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「株式」「暗号資産」「金」は売買のハードルが著しく低い

ただ、これら腕時計やスーパーカーとは異なって売買の難易度が著しく低いのが「株式」「暗号資産」「金」。

これらは「取引所」を通じて取引するため、「買う」のも「売る」のも「いつでもどこでも、アプリ経由で」行うことができ、「より安い個体を探して購入し、より高く買ってくれるところを探す」必要がないわけですね。

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そして輸送や保管、メンテナンスを必要とせず、さらには「少額からでも取引が可能」なので、「お金儲け」を考えたとき、著しくイージーな手段だとも考えられます。

腕時計やスーパーカーの価格がどんどん上がっていった時期であれば、それらの入手や輸送、保管、そして売却にかかる手間も許容できたかもしれませんが、以前ほど「上がらなくなり」「回転も鈍くなった」今では魅力的な投資対象ではなくなってしまい、そのため「資金がそれらの市場から逃げ出し」、別の市場に流れているというのがボクの考える「腕時計やスーパーカーの相場が停滞したり下がり続ける」理由です。

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