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ポルシェが中国で26%減。「絶対的ブランド」からなぜここまで転落することとなったのか?自動車メーカーではないファーウェイのEVにも敗北を喫する

ポルシェ

| ポルシェは中国現地自動車メーカーとは「異なる」魅力を押し出そうと考えている |

この記事の要点まとめ

  • 販売急落: 中国での2025年納車台数は前年比26%減の41,938台
  • 新勢力の台頭: ファーウェイ(Huawei)×JACの高級EV「マエストロ(Maextro) S800」1車種にパナメーラ等の合計販売が抜かれる事態に
  • ディーラー網縮小: 全国の店舗数を150拠点から114拠点へ削減。2026年には80拠点まで絞り込む計画
  • 戦略の修正: EVシフトを一部延期。中国市場でもガソリン車およびハイブリッド車(PHV)の比率を再強化
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ポルシェ
ポルシェが進めてきたEV戦略の落とし穴:中国の競争と柔軟性の欠如が生む危機。ポルシェは「EV化へのギャンブル」に負けたのか?

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いまポルシェに何が起きているのか

かつて「ポルシェにとって最大の市場」であった中国。

かつてポルシェは中国にて絶大なる支持を集め、「神通力」とまで言われるほどのブランド力を誇ったものの、いま中国で起きている地殻変動に巻き込まれる形で大きくその販売を失っています。

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2025年の販売データを見るに、この伝統あるスポーツカーブランドが現地のハイテクEV勢力によってかつてない窮地に立たされていることが浮き彫りとなっており、その理由は大きく分けると以下の通りだと捉えられています。

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  • 中国の消費者は「テクノロジー志向」が強く、インフォテイメントシステムに強みを持たないポルシェを「時代遅れ」だと捉えるようになった
  • 中国の消費者はクルマを「走り」ではなく「移動手段」として捉えており、運転する楽しみよりも、いかに快適に移動できるか、移動中にいかに(スマホゲームなど)自分の世界に没入できるかを重視している
  • 中国の消費者はクルマを「スマートフォン含むエコシステムの中の一つの製品」だと捉えており、スマート家電化がなされていないクルマには魅力を感じない
  • おそらくは中国政府の進める「愛国教育」を下敷きに、様々な要因が加わることで「中国の自動車メーカーがポルシェを追い越した」という認識が持たれるようになった
  • 結果として、「スマートでインテリジェント、快適な移動手段である」中国製EVの「何倍もの」価格でポルシェのクルマを購入する意味がなくなった
昨年、シャオミは中国のみで10万台のSU7を販売し、一方ポルシェは全世界でタイカンを21,000台販売したのみ。もはや消費者は「ポルシェを高く、時代遅れ」だと評価?
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中国市場の現状:ラグジュアリーの定義が「ブランド」から「テック」へ

2025年、中国の乗用車市場全体は微増したものの、ポルシェが主戦場とする高級車・超高級車セグメントは縮小を続けており、その一方で国内の純電気自動車(BEV)メーカーは驚異的な成長を遂げているという現状も。

特に衝撃的なのは、70万元(約1,500万円)以上の超高級セグメントにおいて、Huawei(ファーウェイ)とJACが共同開発した「Maextro S800」が2025年12月の1ヶ月間でポルシェ・パナメーラ、BMW 7シリーズ、メルセデス・マイバッハ Sクラスの「合計販売台数」を上回ったという事実です。

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BMWとポルシェが中国で“完敗”。 「ファーウェイの電気自動車」が高級車試乗で首位に立ち富裕層を独占するという衝撃の事態へ
BMWとポルシェが中国で“完敗”。 「ファーウェイの電気自動車」が高級車試乗で首位に立ち富裕層を独占するという衝撃の事態へ

| たしかにファーウェイの最高級車、「マエストロ S800」は悪くないクルマである | この記事の要約 歴史的逆転: ファーウェイ×JACの「Maextro S800」が、100万元(約2100万円) ...

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2025年 ポルシェ・チャイナ販売状況

項目2025年実績前年比 (Change)
中国国内納車台数41,938台–26.0 %
グローバル総納車数279,449台–10.0 %
中国市場のシェア全体の約15%(かつては約3分の1を占めていた)
ディーラー拠点数114拠点2024年の150拠点から大幅削減
今後の店舗計画2026年に約80拠点ネットワークの「最適化」を継続
ポルシェ
ポルシェは中国においてBMWやメルセデス・ベンツよりも大きな販売減少を記録。現地では「ポルシェは他のブランドに置き換え可能」なブランドにすぎない?

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ポルシェの「逆襲」シナリオ:あえてのエンジン車回帰

この深刻な状況を受け、ポルシェ・チャイナのアレクサンダー・ポリッチCEOは、製品戦略の大きな修正を発表しており、その骨子としては「ポルシェにしかない強みを活かすこと」「台数を追いかけずに販売の質を高めること」。

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1. 「ガソリン車」と「PHV」の再強化

世界的にEVの普及スピードが鈍化していることを受け、ポルシェは内燃機関(ICE)モデルのシェアを再び高めることを決定。

特にカイエンより上位に位置する新型SUV(Dセグメント)については、当初の「フル電動化」計画を撤回し、まずはガソリン車とプラグインハイブリッド(PHV)として投入される予定です。

ポルシェが「中国重視戦略」を強化、「ドイツ以外で初の」統合開発センターを上海に開設。「中国のために中国で開発」戦略を推進
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2. 2026年以降の新型車ラッシュ

  • 4月 北京モーターショー: カイエンのフル電動モデル(EV)を公開
  • 新型718 EV: 伝統のスポーツカーもいよいよ電動化へ
  • BセグメントSUV: マカンより一回り小さい新型SUVにエンジン車とPHVモデルを追加

上述の通り、今の中国の富裕層は、ステータスとしてのブランドロゴよりも「自動運転の賢さ」や「車内でのデジタル体験」を重視する傾向にありますが、ファーウェイのようなテック企業が提供する「スマホと完全に同期するクルマ」に対し、ポルシェは内燃機関を押し出すことで「走り」を訴えかけるものと思われます。

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事実、先日上海にて開催されたポップアップイベントでは「モータースポーツ」を中心としたもので、これからのポルシェの(中国における)プロモーションは今までとは異なるものとなるのかもしれません。

ポルシェが上海にてポップアップ展示を開始。「エレクトリック」一切無し、モータースポーツにおけるヘリテージをアピール
ポルシェが上海にてポップアップ展示を開始。「エレクトリック」一切無し、モータースポーツや歴史など”ポルシェにしかない資産”をアピール

| ポルシェは「苦戦する中国」において様々なプロモーション手法を模索 | ポルシェは「ポルシェにしかない」武器で戦う必要がある さて、ポルシェが中国は上海にてポップアップショールームをオープン。 中国 ...

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ただ、現時点では中国におけるモータースポーツ人気は高くはなく、この戦略が奏功するかどうかは「ポルシェだけの力ではどうにもできない」部分があるのもまた事実です。

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【ポルシェ危機】中国EVの「息をのむ革新ペース」に敗北宣言? –中国市場奪還を狙う「Winning Back China」戦略にて巻き返しを図る

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結論|ポルシェは「量」を捨て「質(価値)」を追う

ポルシェが店舗数を2026年までにほぼ半減(150→80)させようとしているのは、無理な安売り競争を避けるため。

「価値重視の供給管理」を掲げ、希少性を保つことでブランド価値の崩壊を防ぐ――。

これは、現在の中国市場での戦い方としては極めて理にかなった「守りの戦略」と言えます。

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しかし、ブランドのファンとしては、ポルシェがいつ、どのようにして「中国のハイテクEV」を超えるエモーショナルな体験をデジタル時代に提示してくれるのか。

2026年の新型車ラインナップが、その試金石となるものと思われます。

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