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中国・奇瑞汽車が世界一手厚い「10年・100万キロ保証」を導入、「安かろう悪かろう」の払拭に本腰を入れる

中国・奇瑞汽車が世界一手厚い「10年・100万キロ保証」を導入、「安かろう悪かろう」の払拭に本腰を入れる

Image:Chery Auto

| 世界一長い保証を掲げる意外なメーカーとその意図とは |

記事のポイント(3行まとめ)

  • 常識破りの数字: 中国メーカーChery(奇瑞汽車)が南アフリカなどで「10年・100万キロ」のエンジン保証を提供
  • 「信頼」を金で買う戦略: 歴史や実績のない新興ブランドが、消費者の不安を解消するために「過激な保証」を武器に市場へ乱入
  • 賢いリスク管理: 実は「エンジン本体のみ」に限定することで、メーカー側のリスクを最小限に抑えつつ、最強のインパクトを実現

「常識外れの100万キロ保証」

「もし買ったばかりの新車が壊れたら……」

クルマを購入する際、誰もが抱くこの不安に対し、メーカーは「保証(ワランティ)」という形で答えます。

一般的に、トヨタやホンダのような信頼性の高いメーカーほど保証が手厚いと思われがちですが、実は2026年現在の世界市場では、全く逆の現象が起きていることが明らかに。

今、世界で最も過激な保証を打ち出しているのは、実績ある老舗ブランドではなく、急速に勢力を伸ばす中国の自動車メーカーたち。

中でもChery(奇瑞汽車)が掲げる「100万キロ保証」という数字は、業界に大きな衝撃を与えており、なぜ彼らはこれほど強気な数字を出せるのか? その戦略の裏側を暴きます。

なぜ「新参者」ほど保証が長いのか?

長年かけて信頼を築いてきたトヨタやレクサスは、わざわざ過激な保証をアピールする必要はなく、それは中古車市場での高いリセールバリュー(再販価値)こそが彼らの信頼の証だから。

一方で、海外市場に乗り出したばかりの中国メーカーには「歴史」がなく、よって消費者は「10年後もこの会社は存在しているのか?」「すぐに壊れるのでは?」という疑念を抱くこととなり、この心理的な障壁を一気に打ち砕くための「自信の加速装置」こそが”100万キロ”という圧倒的な数字というわけですね。※ルイ・ヴィトンも腕時計ビジネスに参入するに際し、業界最長クラスの保証を付与した

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世界の主要メーカー 保証比較表(2026年時点)

各地域の市場で提供されている主要な保証パッケージをまとめてみると以下の通り。

自動車メーカー保証比較

ブランド / 市場一般保証 (車両全体)パワートレイン / エンジン保証備考
Chery (南アフリカ)5年 / 15万km10年 / 100万kmエンジン本体のみ。条件は極めて厳格。
Jetour (南アフリカ)5年 / 15万km10年 / 100万km上位モデルに適用。
Hyundai / Kia (米国)5年 / 6万マイル10年 / 10万マイル米国市場における長期保証の先駆者。
Mitsubishi (米国)5年 / 6万マイル10年 / 10万マイル初代オーナー限定の特典。
Toyota (グローバル)3〜5年 (一般的)5〜10年 (条件付)ブランド力への信頼を前提とした保守的な設定。
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戦略の裏側:メーカーが損をしない「カラクリ」

「100万キロも保証して会社が潰れないのか?」と心配になりますが、これには巧妙な計算があるもよう。

  1. 「エンジン本体」に限定: トラブルが起きやすい電装系、トランスミッション、冷却システムなどは通常の5年保証の対象であり、100万キロ保証からは除外されていることがほとんど
  2. 厳格なメンテナンス条件: 正規ディーラーでの定期点検を一度でも怠ると、保証は即座に無効に。これにより、メーカーは整備収益を確保しつつ、故障リスクを低減させることが可能に
  3. 現代のエンジンは壊れない: そもそも現代のエンジンは、適切なオイル交換さえしていれば100万キロ耐えうる設計になっており、メーカーは「滅多に起きない事態」に対して保証を付けている

市場での位置付け:保証は「マーケティングツール」

こういった事情を見るに、結局のところ超長期保証は「品質の証明」というよりも、「購入への最後の一押し」としてのマーケティングツール的側面が強く、むしろ(整備費用の徴収や販促効果を考慮すると)メーカー側にメリットの多い戦略なのかもしれません。

さらに中古車への継承を認めない「初代オーナー限定」という設定が多いのは「ブランドへの忠誠心を高め、買い替えを促進するため」で、新興メーカーは、この強力な「紙の契約書」によって、日本車が数十年かけて築いた「信頼」へのショートカットを狙っているのだとも考えられます。

結論

「100万キロ保証」という言葉に踊らされる必要はありませんが、それが新興メーカーの並々ならぬ覚悟の表れであることは間違いなく、保証が長いからといってそのクルマがトヨタより故障しないわけではありませんがし、「万が一の時にメーカーが逃げない」という安心感は新しいブランドに挑戦するユーザーにとって最大の救いとなるのかもしれません。

その一方、「条件付きの保証」はある意味で非常に恐ろしく、次にクルマを買うときはカタログのスペックだけでなく、その保証が「何に対して」「いつまで」「どんな条件で」効くのかという細部まで読み込んでみるべきで、そこにメーカーの本音が隠されている可能性もありそうですね。

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参照:Carscoops

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