
| 世界的フェラーリコレクターが語る狂気と至高のガレージとは |
この記事の要約
• フェラーリF50こそが「至高」: F1直系エンジンと6速MTが生み出す「宗教的」なドライビング体験
• 驚愕のコレクション: ガレージにはモンツァ SP1、デイトナ SP3、812 コンペティツォーネなど、レースの血統を引く名車が勢揃い
• F80への視点: 最新スペチアーレF80は「邪悪(Sinister)」であるべきという独自の美学
• 所有の哲学: 10年所有しても色褪せない、フェラーリという「頂点」への飽くなき情熱
フェラーリの蒐集は「まだ見ぬ頂点」を目指すことである
自動車愛好家にとって、フェラーリを所有することは単なるクルマの購入ではなく、ある種の「到達点」を意味します。
そこで今回紹介するのは、フェラーリ公式チャンネルが公開した「ある情熱的なコレクターのインタビュー動画」。
フェラーリコレクターであるロジャー・モンテフォルテ氏は子供の頃からクルマに夢中だったといいますが、彼にとって自動車界の食物連鎖の頂点、絶対的なピークは常に「フェラーリ」だったのだそう。
そしてついに夢を叶え、フェラーリを手にして以来、その魅力に完全に取り憑かれていると語ります。
ここでは、彼が所有する驚くべきコレクションの内容、そして中でも彼が「史上最高」と断言するフェラーリF50への狂気的なまでの愛に焦点を当てたいと思います。
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レースの魂を宿すコレクション
このコレクターのガレージには、フェラーリの歴史と技術の粋を集めたようなラインナップが並んでおり、彼は自身のコレクションを「折衷的(eclectic)」と表現していますが、そこには明確な一貫性があるもよう。
それは、「レースにインスパイアされたフェラーリ」、あるいは「モータースポーツとの繋がりを持つフェラーリ」であることで、より削ぎ落とされた(stripped down)、レーシングカーにインスパイアされた生のストリートバージョンを好む傾向があるようですね。
ガレージに並ぶ主な名車たち
動画内で言及されている彼の所有車は以下の通りですが、当然ながら、これらを手に入れるためには相当数のフェラーリを購入しているはずなので、この数倍に相当するフェラーリがガレージ内には収まっているのだと思われます。
• F50
• Monza SP1(モンツァ SP1)
• Daytona SP3(デイトナ SP3)
• 812 Competizione(812 コンペティツィオーネ)
• F12tdf
また、彼は自身も「フェラーリ・チャレンジ」に2年間参戦した経験を持ち、クラブ・チャレンジを飛ばして深みへと飛び込んだほどの本格派。
フェラーリF50:F1直系エンジンの「狂気」とスペック
数ある名車の中でも、彼が「コレクションの中で一番のお気に入り」だけでなく、「これまでに作られた車の中で一番のお気に入り」と断言するのがフェラーリF50。
彼はトスカーナやフィレンツェの丘でF50をドライブした経験を、「人生で最も素晴らしい体験の一つ」と振り返ります。
「その歴史を感じ、車との一体感を感じることは、まさに圧倒的な体験でした。」
なぜフェラーリF50は特別なのか?
まずF50の特徴(スペック的魅力)は以下の通り。
| 特徴 | コレクターの評価・コメント |
| エンジン | F1カーから借用したエンジンを搭載 |
| レイアウト | ミッドシップ(Mid engine) |
| ボディ形状 | トップレス(オープン) |
| トランスミッション | 6速ギアボックス(マニュアル) |
| フィーリング | これ以上ないほど本能的(visceral)な機械的体験 |
| ハイライト | 5,500回転を超えると車が生き返り、「宗教的体験」へと昇華する |
フェラーリ F50は、1995年にフェラーリの創設50周年(実際には少し早い発表)を記念して製作された世界で349台のみの限定スーパーカー。
先代のF40が「ターボパワーによる暴力的な速さ」を追求したのに対し、F50は「公道を走るF1」という極めて純粋なコンセプトを掲げて開発されています。
1. 「公道を走るF1」を体現するメカニズム
F50が伝説と言われる最大の理由は、その構造が当時のF1マシンそのものだったから。
- F1由来のV12エンジン 1990年のF1マシン「641」に搭載されていた3.5L V12エンジンをベースに、公道での扱いやすさを考慮して4.7Lまで拡大。最高出力520馬力を8,500回転という高回転で絞り出す
- ストレスメンバー構造 F1と同様、エンジンそのものを車体構造の一部(強度部材)としてカーボンモノコックに直接ボルト留め。このため、エンジンの振動や音がダイレクトにドライバーに伝わるという、極めてスパルタンな設計を持っている
- ノンアシストの操作系 パワーステアリング、ブレーキサーボ(倍力装置)、ABSなどの電子制御は一切排除。すべてはドライバーの五感と腕に委ねられた、純粋なドライビングマシン
2. デザインとスタイル
ピニンファリーナによる「巨大なリアウイングや複雑な曲面」が特徴で、「バルケッタ(オープン)」と「ベルリネッタ(クーペ)」のどちらのスタイルも楽しめる脱着式ルーフを採用していますが、ルーフの交換には工場での作業が必要な構造になっています(超高速域における安定性や安全性を考慮したためだと思われる)。
3. 驚愕の市場価値
発売当時の価格は約5,000万円であったのの、現在は世界的なコレクターズアイテムとして価格が暴騰しています。
- 現在の相場:約8億円〜14億円超 2026年1月の海外オークションでは、極上の個体が1,200万ドル(約18億円)を超える価格で落札されるケースも。
- 希少性: 「349台」という生産台数は、後継のエンツォ(399台+1台)やラ フェラーリ(499台+1台)よりも少なく、5大スペチアーレの中でも屈指の希少価値を誇る
F50はそのあまりのスパルタンさ(振動や音)から、発売当時は「快適性に欠ける」と評価が分かれた時期もありましたが、現在のような電子制御満載の時代を迎えるに際し、「究極の自然吸気V12とMTを味わえる最後の純粋なフェラーリ」として再評価の波が止まらないという状態です。
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結論
「クルマを10年間所有していても、見るたびに心を掴まれる」。
このコレクターの言葉は、フェラーリというブランドが持つ魔力を端的に表しています。
特にF50については、F1由来のエンジンを背負い、屋根を開け放ち、マニュアル操作で操るという「現代では再現不可能なパッケージング」が、ドライバーに「宗教的」とさえ言わしめる高揚感を与えています。
スペック上の数値や速さだけではない、車とドライバーの間に生まれる「感情的なつながり」こそが、スーパーカーを所有する真の喜びなのだと実感させられ、たとえF50を所有できなかったとしても、ぼくらは「一台の車からこれほどの情熱とストーリーを感じ取ることができる感性」を大切にしたいものですね。
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なお、ロジャー・モンテフォルテ氏は最新スーパーカー「F80」についても言及しおり、F80を見た瞬間、そのクルマを「邪悪(Sinister)」だと感じ、「ボディカラーはでなければならない」と直感したのだそう。
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彼のガレージを見て分かる通り、所有するクルマのボディカラーは「バラバラ」ですが、彼にとってクルマのスペック選びは、そのクルマが持つ個性に合わせて行われるものである、ということもわかります。
フェラーリがコレクターを紹介する公式動画はこちら
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参照:Ferrari





















