
Image:BMW
| 欧州自動車メーカーの次なる目標は「リサイクル」 |
BMWグループが「走る廃棄物」を「貴重な資源」へと変える大きな一歩を踏み出すと発表。
欧州最大の循環型経済(サーキュラーエコノミー)企業、PreZero(プリゼロ)社と戦略的提携を結び、使用済み車両の「完全循環」を目指す新プロジェクトを始動させています。
【この記事の3点まとめ】
- 欧州発の戦略的提携: BMWグループとPreZeroが、使用済み車両から高品質な原材料を回収するクローズドループ(閉ループ)の構築で合意
- 「脱・依存」への挑戦: 希少な一次原材料への依存を減らし、サプライチェーンの強靭化(レジリエンス)とCO2削減を同時に加速
- リサイクルを「ビジネス」へ: 環境保護のみに留まらず、鋼鉄、アルミ、プラスチック、さらにはバッテリー原材料までを再利用する持続可能なビジネスモデルを確立
Image:BMW
廃車はもう「ゴミ」ではない。BMWが描く未来の資源戦略
BMWが「2026年2月5日、ドイツ・ハイルブロンにて、BMWグループとシュヴァルツ・グループ傘下のPreZero社が歴史的な提携に署名した」と発表。
この提携の目的は、使用済み車両(End-of-Life Vehicles)を戦略的な「資源供給源」へと変貌させることにあり、これまで使い捨てられてきた部品や素材を、再び新型車の製造ラインへと戻す「究極の循環」がいよいよ本格始動することとなります。
-
-
【BMW】新型iX3ではペットボトルから漁網、アルミ缶まで「徹底リサイクル」し車両を製造、バッテリーにも再生素材を使用しCO2排出量を大幅削減
Image:BMW | BMWはとにかく「リサイクル」に熱心な企業ではあるが | あまりに再生比率が高くなると「ちょっと怖い」 BMWが2025年末に発表予定の新型EV「iX3」に関する最新情報を公開 ...
続きを見る
なお、BMW(MINI含む)はかねてよりリサイクルに熱心な企業ではありますが(アルミホイールにもリサイクル素材が使用されている)、ライバルであるメルセデス・ベンツもこの分野においては「先端」を走っており、エアバッグのリサイクルを顔ししたり、最近だと「コンポーネントの交換ではなく、構成パーツ単位での交換」を行うことによって、ヘッドライトなどのユニットにかかわる修理の負担を減らすとともに廃棄物を減少させ、かつ製品の寿命を伸ばすという発表を行ったばかりですね。
Image:BMW
-
-
高額修理の悪夢とはついに「さよなら」?メルセデス・ベンツががヘッドライトの製造を「接着剤からネジ留め」に変更することで”丸ごと交換”から”内部部品単体での交換”へ
| 今まではヘッドライトの一分のパーツが壊れても「丸ごと」ヘッドライトを交換せねばならなかったが | この記事のハイライト 高額修理からの解放: メルセデス・ベンツは、ヘッドライトユニットを「接着剤」 ...
続きを見る
なぜ今、PreZeroとの提携が必要なのか?
世界的な原材料価格の高騰や供給不安が続く中、自動車メーカーにとって「いかに自前で資源を確保するか」は生き残りをかけた最重要課題(つまり目的は”環境”だけではない。ぼくはてっきり”リサイクル”は環境意識の高さをアピールするための”ポーズ”だと捉えていたが、それは間違いであった)。
-
-
将来のポルシェでは「廃車を握って」運転することになるのか・・・。ステアリングホイールに「廃車から再生した原料」を使用する試みをポルシェが開始
| ポルシェとBASF、廃車からプラスチックを再生。化学リサイクル技術で循環型モビリティへ | 車両に占める「リサイクル率」は年々向上 ポルシェ(Porsche AG)とBASF SEは、技術パートナ ...
続きを見る
Image:BMW
BMWは自社のリサイクル・解体センター(RDC)で培った「リサイクル設計(Design for Recycling)」の知見をPreZero社へと提供し、その一方でPreZero社は欧州全域にわたる物流網と、欧州最大級のバッテリーリサイクル施設を含む高度な選別技術を投入すると説明されており、この両者の知見を組み合わせることで以下のような変革を目指します。
- 部品の寿命最大化: 可能な限りコンポーネントをそのまま再利用(リユース)
- 高精度な素材回収: 独自の選別プロセスにより、純度の高い鋼鉄、アルミニウム、プラスチックを回収
- バッテリーの再資源化: EVの心臓部であるバッテリーから貴重な原材料を取り出し、循環させる
つまり、今後は車両の設計段階から「リサイクル」を前提にした素材や構造の選択、さらには製造方法を考慮しなくてはならないということになりますね。
Image:BMW
提携の概要と期待される効果
| 項目 | 内容 |
| パートナー企業 | BMW Group × PreZero (Schwarz Group) |
| 主な目標 | 使用済み車両のクローズドループ(閉ループ)構築 |
| 回収対象素材 | 鋼鉄、アルミニウム、プラスチック、バッテリー原材料など |
| 戦略的意義 | 一次原材料への依存低減、サプライチェーンの強靭化 |
| 環境負荷低減 | 製造プロセスのデカーボナイゼーション(脱炭素)推進 |
Image:BMW
結論:リサイクルが「高級車の価値」を決める時代へ
BMWのカスタマーサポート&アフターセールス担当上級副社長、ラルフ・ハトラー氏によれば・・・。
「この提携は、循環型経済を本物のビジネスモデルとして確立するためのマイルストーンだ」。
2026年、自動車の価値はもはや「どれだけ速いか」や「どれだけ豪華か」だけでは決まらず、「どれだけ環境に負荷をかけずに生まれ、また戻っていくか」という循環の透明性が重要となり、そしてそれがプレミアムブランドとしての真のステータスになるのかも。
BMWとPreZeroの挑戦は、欧州の自動車産業全体のルールを塗り替える可能性を秘めており、ひいては「リサイクル」の概念すら変えてしまうのかもしれません。
Image:BMW
ちなみにですが、かつて「リサイクル」とは、お金と手間がかかる”割に合わない”ビジネスであったものの、これだけ原材料費が高騰したいま、リサイクルを行うほうが「割安」に収まる可能性が見えており、そしてこの方向は加速こそすれ、収まる気配は見られないようにも思います。
関連知識:EUが推進する「サーキュラーエコノミー戦略」
欧州連合(EU)は、製品の設計段階からリサイクルを考慮し、廃棄物を最小限にする戦略を強力に推進しています。
BMWの今回の動きは、このEUの規制強化を先取りし、将来的なコンプライアンス遵守と競争優位性の確保を狙ったものでもあるわけですね。
Image:BMW
-
-
メルセデス・ベンツは「廃オムツ」以外にも様々なリサイクルに取り組んでいた!これからのメルセデスの内装は最低でも40%がリサイクル素材で構成されるようだ
| メルセデス・ベンツはおそらく率先してリサイクル率を高めている自動車メーカーのうちの一つ | やりすぎのような気もしないではないが、これも「時代の流れ」だけに仕方がない さて、メルセデス・ベンツは、 ...
続きを見る
合わせて読みたい、リサイクル関連投稿
-
-
マクラーレンやアストン等にレザーを供給する天然皮革メーカーが「ヴィーガンレザーはエコではない」とモノ申す。「樹脂が含まれリサイクルできず、有害物質を含む」
| 事実を確認せずにヒステリックに自分の考える「エコ」を盲信する人々も少なくない | ヴィーガンレザーが今後どこまで不普及するのかはわからないが さて、「エコだと信じていたものが実はエコではない」とい ...
続きを見る
-
-
BMWが車両リサイクル率を50%(現在30%)にまで向上させると発表!関連各社との取り組みにてこの計画「Car2Car」を進め、これによってガソリンエンジン車の製造を正当化できるか
| BMWは昔からリサイクル素材の使用に熱心ではあったが、これによる品質の低下は避けてほしい | とくにリサイクルプラスチックは「割れやすい」「強度不足」という問題も さて、BMWグループが「Car2 ...
続きを見る
-
-
ブリヂストンがタイヤにリサイクル/サステナブル素材を使用すると発表!ひとまずは75%を目標に持続可能化、そして段階的に90%、2050年には100%リサイクル可能に
| もともとタイヤはリサイクル素材の使用比率を上げたりリサイクルすることが難しい製品ではあるが | ただしタイヤメーカーとて脱炭素化方向に進まねば存続することが危うくなる さて、ブリヂストンが「タイヤ ...
続きを見る
参照:BMW


















