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| いかにEVで損失を出そうとも、生き残りを賭けるのであればこの道は避けて通れない |
アメリカの象徴、フォードが揺れに揺れています。
EV(電気自動車)事業での巨額損失が報じられる中、同社は「撤退」ではなく「さらなる勝負」に出ることを決めたと発表し、その鍵を握るのが3万ドル(約450万円)という破壊的な価格設定の新型電動トラック、そして「目も手も離せる」自動運転技術。
ここでフォードの逆転劇のシナリオを見てみましょう。
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記事のポイント(要約)
- 巨額損失の裏側:2025年のEV部門損失は82億ドル(約1.2兆円)に達するも、トラック販売は絶好調
- 戦略の転換:高価な「F-150ライトニング」を終了させ、航続距離延長型(EREV)と安価な新プラットフォームへ移行
- 価格破壊:テスラや中国勢に対抗する「3万ドル(約450万円)」の新型電動トラックを投入予定
- 技術の民主化:高級車限定だった「レベル3自動運転(ハンズオフ・アイズオフ)」を大衆車へ拡大
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フォードの苦境と「捨て身」の次世代戦略
フォードの2025年決算は、光と影が極端に分かれる結果となっており、ピックアップトラックの販売は80万台を超えて看板車種の「マスタング」も好調。
しかし、その利益を食いつぶしたのがEV部門(Model e)の約82億ドルという巨額損失です。
普通ならここでEVから手を引くところですが、ジム・ファーリーCEOの考えは「セオリーに反する」もので、同氏は「顧客にEVを強制はしないが、EVこそが長期的な成長の鍵だ」と断言。
これまでの「高価な大型EV」路線を捨て、「安くて高機能な小型EV」へと舵を切る方針を明確にしています。
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2026年以降の目玉:新型「UEV」プラットフォームとEREV
フォードが現在開発を進めているのが「Universal EV(UEV)」プラットフォーム。
これは、部品点数を劇的に削減(従来比20%減)し、テスラが得意とする「ギガキャスティング」などの手法を取り入れた低コストプラットフォームです。
次世代フォードEV・ハイブリッドのスペック予測
| 項目 | 新型電動トラック(UEV) | 次世代F-150ライトニング(EREV) |
| ターゲット価格 | 約30,000ドル〜(約450万円) | 未定(現行より効率化) |
| パワートレイン | 純電気自動車(BEV) | 航続距離延長型(EREV) |
| 航続距離 | 未発表(高効率LFPバッテリー) | 700マイル(約1,126km)以上 |
| 主な特徴 | レベル3自動運転対応、高コスパ | ガス発電機搭載で「電欠」の不安ゼロ |
| 発売時期 | 2027年生産開始予定 | 順次詳細発表 |
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市場での位置付け:テスラ・中国勢への宣戦布告
ファーリーCEOが「アポロ計画」に例えるこのプロジェクトは、単なる新型車投入ではなく・・・。
- 価格で勝つ:政府の補助金に頼らず、テスラや安価な中国製EVと渡り合えるコスト構造を構築
- 使い勝手で勝つ:牽引などで航続距離が激減するトラックの弱点を「発電用ガソリンエンジンを積んだEREV」で克服
- 技術で勝つ:2028年までに、高速道路で「目も手も離せる」レベル3自動運転を3万ドルの大衆モデルにも搭載することを目指す
なぜ「EREV」が今、注目されているのか?
ここで注目すべきは、かつて「中途半端」と言われたEREV(Extended Range Electric Vehicle)が今再び脚光を浴びていること。
- ハイブリッドとの違い:エンジンは駆動には関わらず、あくまで「発電機」に徹し、走りの質感は100%電気自動車そのもの
- トラックとの相性:重い荷物を積むピックアップトラックは、純EVだと航続距離が半分以下になることも。EREVなら、EVの加速性能を維持したまま、ガソリン車並みの給油利便性を確保できる
フォードが「F-150ライトニング」を純EVからEREVへスイッチするという決断は、「理想よりも現実の使い勝手」を優先した、非常に現実的な戦略と言えそうですね。
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結論:フォードの賭けは「Model T」の再来となるか
フォードは今、創業時の「モデルT」以来の大きな転換点に立っています。
EV事業において1兆円を超える赤字を出しながらも、さらに3万ドルの低価格EVと、高度な自動運転技術に未来を託す。
「電気自動車は高すぎる」「長距離移動が不安」という消費者の不満に対し、フォードが出した答えは「安くて、(電欠で)止まらないEV」です。
この賭けが成功すれば、再びフォードが世界の自動車産業の主導権を握る日が来るかもしれませんね。
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なお、ぼくはフォードの現CEO、ジム・ファーレイ氏について「非常に優れた経営者」だと考えていて、それは「自分で試し、考え、即実行する」、そして取捨選択が明確だから。
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参考までに、フォードは2025年第4四半期においても111億ドル(約1.7兆円)規模の赤字を出していますが、それでも前に進もうとする姿勢には心動かされるものがあると考えています。
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