| クルマはやはり機能や性能だけによって判断されるべきではない |
さて、コロナ禍においては同業種内においても明確に勝敗が分かれているというのが現状です。
たとえば、一律に飲食業界すべての店舗が落ち込んでいるかというとそうではなく、中には「伸ばした」飲食店も存在するわけですね。
これは自動車業界においても言えることで、一律に販売が落ちているわけではなく、上がったところもあればそうでない場合もあり、そして下がったとしても、その下げ幅に大きな差異があるようです。
アメリカのスポーツカーの場合はこうなっている
そこですでに発表済みの数値を見てみたいと思いますが、まずはアメリカのスポーツカー。
つまりシボレー・カマロ、ダッジ・チャレンジャー、フォード・マスタングといった面々ですね。
これらについては以前から勝敗が明白になっていますが、コロナ禍によってさらにその差が顕在化した模様。
まずは2020年通年の販売だとこうなっています。
2020年通年のアメリカンマッスルの販売状況
- シボレー・カマロ・・・29,775台(前年比マイナス38.3%)
- ダッジ・チャレンジャー・・・52,955台(前年比マイナス13%)
- フォード・マスタング・・・61,090台(前年比マイナス15.7%)
2020年 第4四半期のアメリカンマッスル
- シボレー・カマロ・・・前年比34%マイナス
- ダッジ・チャレンジャー・・・前年比2%プラス
- フォード・マスタング・・・前年比21.4%マイナス
どうしてここまでアメリカンマッスルの販売に差がついたのか?
そこでやはり気になるのが「なぜそんなに差がついたのか」。
なお、ダッジ・チャレンジャーは登場から12年、カマロは4年。
つまりチャレンジャーはけっこうな年齢ということになりますが、そもそも古さを感じさせないタイムレスなデザインが受けたのかもしれません。
一方でカマロは前衛的でアグレッシブ、そしてテクノロジーを感じさせるデザインを持っていて、ここが受けなかったのではないか、とも考えられます。
なお、カマロが大きな話題を呼び、人気化した例といえば2009年に映画「トランスフォーマー」とともに登場した5代目であり、しかしその後はチャレンジャー、マスタングに対して競争力を発揮できないことに。
これはやはり「レトロ」から離れてしまったことが理由なのだと考えています。
ちなみにダッジ・チャレンジャーの平均顧客年齢は51歳以上だと言われ、しかしこれはカマロ、マスタングよりも「若い」と言われ、そういった年齢層の人々が、現行カマロの先進的なデザインに「ついて行けなかった」のかもしれません。
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カマロは戦える武器に乏しい
そしてもうひとつの理由が「カマロには武器が乏しい」ということ(ドラッグレーサーのCOPOくらい?)。
たとえばマスタングだと「ブリット」はじめ多くの映画にて活躍した歴史、そしてそれを支えるファンも。
チャレンジャーにおいては「デーモン」はじめアメリカンマッスルを体現するような”パワー”と言ったわかりやすさが存在します。
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ただ、カマロの場合はそういった例も思い浮かばず、そこが求心力を失った理由のひとつなのかも。
参考までに、デロリアンのように映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」への登場によって一気にその価値を上げたクルマもあり、意外と「映画で活躍した」というのは重要なファクターなのかもしれません(アストンマーティンも”ボンドカー”に採用されていなければ、現在はもっと苦しかったに違いない)。
そう考えると、クルマの人気というのはその性能や機能のみによらず、なんらかの感情移入できる「ドラマ」が必要なのだとも考えられます。
こういった事情を考慮するに、カマロの事情はここから改善するとは思えず、おそらくは、ウワサされるように「販売終了」となってしまうのかもしれませんね(当初は2023年終了と言われたが、最新のウワサだと2026年まで延命されるようだ)。
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そして現在、GMはあの手この手でカマロの販売を押し上げようとしていますが、これらが徒労に終わる可能性もありそうです(それでも、手をこまねいているわけにはゆかない)。
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参照:Motor1