>テスラ(TESLA) ■自動車各社業績/ランキング/記録等

テスラはシェアを落とし続けている?2023年1-2月は昨年同期比の72%から58%にまで下落。それでもボクが「大丈夫、問題ない」と考えるワケ

2023/04/16

テスラ

| ガソリン車と異なってEV市場は拡大し続けており、シェアを落としても販売台数が伸びるという現象が成立する |

さらには最大公約数を狙うことであえてニッチを捨て、開発や生産コストを引き下げることも可能に

さて、テスラのシェアが米国にて大きく落ち込んでいる、との報道。

これによると、テスラは2023年1月と2月には「前年比35%増」の販売台数を記録したものの、その直前の2022年11月と12月に比較すると3.7%しか伸びておらず、そしてテスラが値下げによって販売を伸ばしたと思われるのは2023年1月中旬以降であることを考慮すると、「値下げによって(テスラが主張するほどは)販売がさほど増えていない」のかもしれません。※さらに、2023年1月からはEVに対する税制優遇が取り入れられている

テスラのEVシェアは58%へと下落

実際のところテスラのシェアは2022年1月~2月の72%から、2023年1月~2月には58%にまで下落しており、つまりは大きくシェアを落としているということに。

そしてこの理由はひとえに「競争の激化」だとされており、たとえば2022年1-2月には全米のEV販売ランキングに全てのモデル(4車種)を送り込んだものの、今年の1-2月には3モデル(モデル3、モデルY、モデルX)のみにとどまっており、大手自動車販売ポータルサイト、iSeeCarsにてエグゼクティブ・アナリストを務めるカール・バウアー氏によれば「テスラはこれまでプレミアムEVとして唯一の存在であったが、今では毎月のようにライバルが登場しており、消費者にとって”唯一の”存在から”その他大勢の中のひとつ”となってしまっている」。

テスラ
北米におけるテスラのシェアは現在の65%から2025年には20%以下に?販売されるEVが現在の48車種から159車種に増加することで苦戦を強いられるとの予測

| ただし実際にはテスラの価格帯にライバルは少なく、テスラの下の価格帯に大量にEVが投入されることでテスラのシェアが希薄化 | そして現実的にはテスラの下の価格帯において多数の会社が消耗戦を戦っている ...

続きを見る

加えて、2022年以降だと「テスラ以外のEV」の新規登録台数は151%増加しており、その多くはシボレー、フォード、フォルクスワーゲンによって占められているのだそう。

これらが増加した理由としては単純に魅力が高い製品が増えたこと、生産が軌道に乗って納車待ち期間が短くなったこと、そして価格が(テスラよりも)安いことやテスラにはない訴求力を持つことなどが理由として挙げられています。

テスラ

もちろんテスラCEO、イーロン・マスク氏もこういった現状を憂慮しており、テスラの販売が思うように伸びない理由については「上がり続ける金利」だという見解を示しつつ、しかしアメリカでは「今年に入って5回目の」値下げを行うなど価格戦略を強化しており、さらなる値下げの必要性も認めている、と言われていますね。

テスラ
テスラが今年に入って5度目の値下げ!モデル3の価格はなんと合計で1万ドル(130万円)も下がり、もはや別の価格帯へ。モデルYも20%以上安くなる

| テスラは目標達成のために値下げという「武器」を行使し続ける | さらにテスラには「25,000ドルの」エントリーEVという切り札も さて、テスラは先日2023年第1四半期の決算を発表し、おそらくは ...

続きを見る

ただ、こういった値下げ戦略についてはある種の懸念も否定できず、前出のカール・バウアー氏によれば「値下げには限界がある」、そして「値下げで問題を解決した自動車メーカーはない」。

さらに同氏は「値下げ戦略はテスラのブランド価値を損ないかねない」とも指摘しており、テスラに対しては悲観的な見方を行っているようですね。

テスラ
テスラが2023年第1四半期において過去最高の台数を納車!ただし多くのアナリストの予測には届かず「状況は厳しい。さらなる値下げが必要とされるだろう」

| テスラCEO、イーロン・マスクCEOがここまでの状況を予想していたのかどうかはわからない | いずれにせよ、「価格がモノを言う」状況に変わりはなく、テスラはさらに価格を下げてくるだろう さて、テス ...

続きを見る

ただしボクはまだまだ強気な見解を持っている

ただ、ぼくは同氏とはちょっと違う意見を持っていて、つまりテスラに対しては「強気」です。

その理由としては、電気自動車とガソリン車では全く事情が異なるということで、たとえばガソリン車だと市場全体の成長率が非常に低く、よってガソリン車市場は「パイの奪い合い」となっていて、つまりはどこかが伸びればどこかが縮むわけですね。

一方の電気自動車市場だと、これは市場自体がどんどん拡大してゆくので、たとえ他社が伸びたとしても、市場自体に成長余力があるため、自社も伸びる余地が残されているわけですね。※成長市場におへるシェアの考え方と、成熟市場におけるそれとは全く異なる

実際のところ、テスラはシェアを72%から58%に落としながらも135%の成長を示しており、これはいかにEV市場が急速に拡大しているかを証明しています。

なお、シボレーのEV市場におけるシェアは8.5%、フォードは6.4%にとどまるのみだといい、さらに「1車種あたりの販売台数」だとテスラが圧倒的なのは言うまでもありません。

テスラ

かつ、テスラの各モデルは設計やパーツの共有性が高く、ほかメーカーのように「幅広く、あらゆる嗜好を拾うため」に多品種展開を行わないために開発や製造・販売コストが少なくなっていて、結果的に利益率が非常に高くなっているわけですね。

そして、そこで得た利益をもとに値下げを行ってさらに販売を拡大するというのがテスラのビジネスモデルであり、ここはほかの自動車メーカーとは全く異なる考え方。

ある意味では、テスラは取捨選択がしっかりしており、つまりは「最大公約数」的な市場だけを抑えることができればいいと考えているのだと思われ、テスラに満足できない人は「どうぞ他に流れてくれて結構(そして、その市場を他社で取り合ってくれればいい)」と考えているのかもしれません。

テスラに満足できない人を満足させるにはそうとうなコストが必要となり、しかし最初からそれを捨てることでコストを最小化しているとも考えられますが、その意味では「テスラのシェアが縮小するのは(イーロン・マスクCEOにとって)織り込み済み」の現象であり、しかしそれよりもEV市場そのものの拡大によって増えるマジョリティを”価格”という武器を持って攻め落としてゆくという戦略を採用しているのだろう、と考えています。※シェアを落としたとしても、販売”台数”自体が増えれば問題はない

テスラ

あわせて読みたい、テスラ関連投稿

ヒュンダイが「ヒョンデ」として日本再参入!販売はオンラインのみ、試乗はカーシェアリングにて!最初に販売されるEV「アイオニック5」とは何者なのか
2022年のEV+PHEVの世界販売台数は1000万台を超える。テスラはBYDに抜かれて2位に、ヒョンデは6位にランクイン。なおヒョンデは米国だと3番めのEVシェアを誇る

| ヒョンデはこれまでにも様々なトラブルを出してきたが、たゆまぬ前進によって現在のポジションを獲得 | ある意味ではヒョンデの努力は賞賛に値する さて、韓国のエネルギー専門調査会社、SNEリサーチが発 ...

続きを見る

テスラ
テスラはなんとカリフォルニアではEV販売のうち73%のシェアを持っていた!ただし昨年の75%、一昨年の79%から緩やかに減少している

| しかしながら市販されているEVの数は1年で18車種から32車種へと増えている | むしろこの状況においてこれだけのシェアを維持していることのほうに驚かされる さて、テスラが1−9月において、カリフ ...

続きを見る

テスラ・モデルY
欧州の2022年上半期ではEV販売が31%増加!ただしテスラはシェアを失い、かわりにヒョンデとステランティスが伸びる。テスラはモデルYがモデル3の販売を食ったようだ

| 加えて、ほかメーカーの既存EVがシェアを失い、販売は新発売のEVへと集中 | この傾向を見るに、まだまだEV市場のモデル別構成は安定しなさそう さて、2022年上半期の新車販売状況が公開され、前年 ...

続きを見る

参照:Jalopnik, AutoNews

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->テスラ(TESLA), ■自動車各社業績/ランキング/記録等
-, , , , ,