| このほかにも予想外の問題がきっとたくさん出てくる |
現時点では政治家と自動車業界、消費者とのメリットと意見が一致していない
さて、現在は各方面から「急激な電動化は社会構造に深刻な影響をもたらす」という声が聞こえており、それはバッテリーやエレクトリックモーターに使用する天然鉱物の採掘にかかるCO2の排出や枯渇、そして失われる雇用、不足するインフラ、深刻な電力不足など様々な理由があるもよう。
そして今回、別方面からも「電動化に対するネガティブな影響」が報じられています。
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電動化による車体重量の増加は「輸送上の問題」を引き起こす?
現在、ガソリン車であっても(環境規制に対応するための)触媒の巨大化等によって車体重量がどんどん増加している状況ですが、電気自動車の場合はガソリン車とは比較にならないほど重量が一気に重くなる傾向があり、ロイターの報道によれば「自動車運搬船はすでに政府が定めた重量制限を越えるケースがほとんど」だとされ、トラック運送業界でも同じ問題に直面しているとしています。
北米の場合、トレーラーの(フル積載時の)重量は36,287kgに制限されているそうですが、これは1975年に決められた数字だといい、仮に現在の仕様の積車に「ガソリン車と同じ台数のEV」を積むと確実に重量オーバーとなってしまい台数を減らす必要があるそうですが、もちろんそうなると車両1台あたりのコストが増加することに。
となると、ガソリン車と同じ台数を運ぼうとなると、より多くの台数のトレーラーが必要となり、トレーラーのように「パワーと走行距離」が必要な車両は電動化が難しく、よってガソリンエンジンに駆動する必要が生じ、「クリーンなEVを輸送するために大排気量のガソリンエンジンを回してCO2を大量に発生させる」という意味不明な事態となってしまいます。
かといってトレーラーの総重量を改定によって増やすとなっても道路に掛かる負担が大きくなり、そのぶん道路の補修コスト増に繋がるため、これまた環境及び経済にとってマイナスに。
さらにいえば、同じ台数が道路を走ったとしても、EVはガソリン車よりも重いので、そのぶん道路にかける負担も大きいわけですね。※過去40年において、自動車の平均重要が1,451kgから1,905kgに増加したというデータがあるそうだ
実際に積載重量の引き上げも検討中
実際のところ北米ではこの制限重量の引き上げを検討中だといいますが、自動車輸送業者からの要望(引き上げ幅)は10%だとされ、これはガソリン車と同じ台数のEVを積むのに必要な重量から算出した数字なのだそう。
ただし安全擁護団体や鉄道業界は、重量制限の引き上げはアメリカの道路を著しく危険にさらすと主張していて、その言い分としては「重いトレーラーは止めるのが難しく横転しやすい」から。
まだまだこの問題については慎重な議論が続けられることになりそうですが、電動化を強力に推進するカリフォルニア州では「港や鉄道基地でのサプライチェーンのトラブルを軽減するため」一時的にこれを引き上げるという対応を検討している、とも報じられています。
そのほか、急速な電動化にはこういった問題も
そしてぼくがいつも思うのは、電動化によって車体重量が増加すれば、立体駐車場や自動車ディーラー、ショップ、修理工場にあるリフトのうち多くが(もちろん家庭用も)使い物にならなくなるんじゃないかということ。
とくに今の「SUVブーム」「ミニバンブーム」のまま電動化に突入してしまうと非常に重いEVが増えてしまい、色々と困ったことになるのかもしれません(そこまで大きくないトヨタbZ4Xの車体重量でも1,920kg〜2,010 kgある)。
このほかにもまだ思い至らない問題点などが表面化する可能性があり、やはり急速な電動化は様々な混乱を引き起こすのかもしれませんね。
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参照:Reuters