| TVRはすでに予約金を受け取り受注を開始しているが、このままだとその返還要求を迫られそう |
このまま生産できなかれば「今までの投資と苦労」が水の泡になるため、TVRとしてはなんとか生産を行いたいはずだ
さて、もう発表から4年近くが経過する新生TVRグリフィス。
2018年には「もうそろそろ生産」と言われたものの、その後も生産に移せず、今の時点をもってしても「生産できるかどうかが不明」という状況です。
TVRは1947年に創業された名門で、軽量しかしハイパワーなクルマを送り出すことで人気を博し、一時は「イギリス最大の独立系自動車メーカー」として名を馳せることに。
その後1981年にはピーター・ウィラー、2004年にはロシアのニコライ・スモレンスキーへと経営権が渡り、2013年には再びイギリスのレス・エドガーへと経営権が移っています。
新生TVRはこんなクルマだったが
そしてレス・エドガーのもとで発表されたのが新しいTVR「グリフィス」。
シャシーはゴードン・マレー設計によるiStreamで、これはスチールのフレームをカーボンファイバーで挟み込んだ構造を持ち、「軽量、高剛性」、そして製造コストがフルカーボン製モノコックに比べて飛躍的に安価という特徴を持っています。
なお、ボディのアウタースキンもカーボンファイバー製だとされ、車体サイズは全長4314ミリ、全幅1850ミリ、高さ1239ミリ、と意外にコンパクト。
搭載されるエンジンはフォード製5リッターV8をコスワースがチューンしたもので500馬力を発生し、車体重量は1250キロと非常に軽量で、重量配分は前後50:50。
0-100キロ加速は4秒以下と公開されていますが、この車はローンチコントロールなどのドライバーズエイドを持たないと報じられること、トランスミッションが「マニュアル(Magnum XL)」であることを考えると、この数字は「ドライバーのスキルに左右される」と言えそう。
なお最高時速は321キロ、と相当な速さを誇ります。
現在のTVRは「イギリス人経営者、イギリスのファクトリー(コスワース)によるエンジン、英国拠点のデザインオフィス(ゴードン・マレー)による設計」というイギリスづくしで、レス・エドガーも「これは真のブリティッシュマッスルカー」だと胸を張っていたクルマでもありますね。
一時は予約の受付も
なお、TVRは発表直後に予約金とともに予約を受付けており、かの英国人ユーチューバー、Shmee150氏も申し込みを行った一人ではありますが、現時点でも生産開始の目処がたっておらず、「いったいどうなってしまうのか・・・」という状況。
ただし報道によると、TVRはコロナウイルス関連のビジネスローンを200万ポンド分受け取っており、しかし「2500万ポンドが必要」と言われる準備金には到底届かず、そしてこのままの状態だと生産のための工場の設備を整えたり、生産を行うこと自体ができない、とも報じられています。※2021年1月には、4000万ポンド分の受注があると言われていた
TVRグリフィスはEVもしくはPHEVに?
そこで現在出ているウワサがTVRグリフィスはEVもしくはPHEVになるんじゃないかという話。
発売時期が遅れれば遅れるほどCO2排出規制が厳しくなり、予定していた「5リッターV8、マニュアル・トランスミッション」の実現が難しくなるわけですが、現時点でもこのスペックで発売することは不可能だと思われ、「発売時にはEVもしくはPHEVに」というのもうなずける部分ではありますね。
そして一部メディアでは「TVRグリフィスはEV、PHEV両方に対応できる設計を持つ」という報道もあり、もしかすると話が思わぬ方向へと向かうのかもしれません。
ちなみに2017年には9万ポンドと発表されていたグリフィスの価格につき、現在は大きく値上げされているとも言われ、とにかくTVRを取り巻く環境は「迷走中」といった感じ。
また別の報道では今月末から一部の生産が始まると言われていますが、公式発表がないだけに状況がまったくわからない、というのが現在のTVRです。
合わせて読みたい、TVR関連投稿
-
新型TVRグリフィスの生産がさらに遅れ、具体的な時期が不明に。いったいなぜこんなことに
| 自動車メーカーを立ち上げるのは本当に難しい | TVRは2017年に新型グリフィスを発表し、2018年には生産を行う予定だったもの、それがずっと遅れており、さらに今回「また遅れる」と発表。今回の生 ...
続きを見る
参照: Auto Express, Shmee150