最安モデルで1000万円。超高級腕時計メーカー、リシャール・ミルのショールームへ
大阪・御堂筋にオープンしたリシャール・ミル・サロンへ(ランボルギーニ大阪さんの横)。
10/11にオープンしたものですが、現在はまだ店舗の床面積全てではなく一部のみが公開されている状態。
完全にサロンが完成すれば日本最大のリシャールミル専門店となりますが、オープンに合わせて希少なモデルも多数展示されています。
リシャール・ミル(RICHARD MILLE)とは?
2001年にスタートした超高級腕時計メーカーで、最も安価なモデルで950万円くらい、上の方になると軽く「億」を超える価格帯を持つことが特徴。
コンセプトは「腕時計界のF1」で、価格の制約を一切外した腕時計づくりをしていることでも知られます。
リシャール・ミル本人は時計技師でもデザイナーでもなく、本人曰く「コンセプター」。
つまりコンセプトに沿った素材をサプライヤから入手し、コンセプト通りの腕時計を作れる職人に腕時計を「作らせている」ことになり、ここが「腕時計職人が立ち上げた」ウォッチメゾンと異なるところ。
そのため「ムーヴメント好き」の腕時計フリークからは軽視される向きもあるものの、その軽量性や頑丈さは他の腕時計メーカーには例を見ないもの。
ラファエル・ナダル選手が腕に装着して試合に臨んだことで一気にその名を馳せましたが、「トゥールビヨン機構がプロテニス選手のサーブに耐えうる」のは衝撃的です。
↓こちらはオープン前の状態
そのほか、F1だとフェリペ・マッサ、ゴルフだとバッバ・ワトソン選手が装着して競技に臨んだことで知られ、それぞれの世界での超一流アスリートを「アンバサダー」に選び、そして実際に装着して活躍してもらうことにより「エクストリームウォッチ」であることを証明しているわけですね。
つまり「職人中心」ではなく「コンセプト中心」の腕時計メーカーで、販売する対象も「セレブ」に絞り、プロモーションもそれに合わせた展開を行うという新世代の腕時計メーカーだと言えます。
なお価格が高すぎることで「ボリすぎ」という意見があるものの、実際に腕時計を見るとむしろ「良心的なんじゃないか」とも思える作りを持っている、と考えています(リセールの高さを考えてもこの値段は決して高価過ぎるとは言えない)。
素材はチタンやカーボンがメインではありますが、問題はその「グレード」。
一口にチタンやカーボンといっても全て同じ素材価格ではなく、そのグレードによって大きく単価が変わるわけで、リシャールミルではそのグレードに「航空宇宙産業」や「F1」に採用されるレベルのものを使用しています。
ちなみにロレックス・デイトナの重量は200グラムですが、リシャールミルのトゥールビヨン搭載モデルは37グラムくらい。
サイズも意外と小さく、つまり「軽くて小さい」ということに。
自動車でも「軽くて小さく」、しかも高性能に作ることは非常に困難で、そうしようと思うと「非常にお金がかかる」ことでも分かる通り、この「桁違いの軽さ」を実現するには「桁違いのコスト」がかかる、ということは理解の及ぶところです。
現在リシャールミルはマクラーレンとパートナーシップ契約を結んでおり、世界限定70本にて記念ウォッチを発売していますが、これは一本あたりの価格が1億1000万円以上となり、日本には7本が入荷予定となるものの、全て「完売済み」とのこと。
ここで実際に製品を見てみよう
これはすでに廃盤となったスクエアタイプで、しかし今回の心斎橋リシャールミル・サロンのオープンに合わせて特別に製作したもの。
ケースはチタン製ですが、エッジはポリッシュ、前面と側面はヘアライン仕上げ。
最大の特徴は裏面。
スケルトンということがウリなのではなく、その薄さを再現するためにケースバックのサファイアクリスタル内側を「円形に」えぐっているところや、そのローターそのものの「薄さ」。
一般にローターは(巻き上げのための)遠心力を考えると重く厚く作る必要があり、そのためパテックフィリップはローターに比重の重い金を使用しているほど。
なおローターのセンターは自動車のブレーキディスクのようにも見えますが、これはリシャールミルが生粋の車好きで、カーコレクターでもあるため」。
リューズや側面も複雑な加工。
ケースサイドはサンドブラスト加工が施されており、上述の「ポリッシュ」「ヘアライン」とあわせると、かなり手間のかかった仕上げだと言えます。
他にこういった仕上げを持つのはオーデマピゲですが、これも「見る角度によって」表情が変わるように、また奥行きを感じさせるように、というデザイン的配慮となります。
左はリシャールミルの定番形状、「トノー型」。
とにかくムーブメントに使用されるパーツひとつひとつの薄さには驚かされます。
使用されるビス一本にしても精密さが伝わるもので、ネジ穴の周囲も「面取り」したのちにポリッシュ加工がなされるという手の混みよう。
なおベルトには「スリット」が設けられており、これもやはり自動車に採用される「ダクト」をフィーチャーしたもの。
とにかくリシャール・ミルの腕時計の各部にはこういった「自動車由来の」モチーフがあり、車好きに刺さるデザインとなっています。
リューズのデザインはタービンのような感じ。
他モデルだとF1のタイヤをイメージしたものも。
バックルひとつ取っても究極と言えるレベルの加工制度を持っていることがわかります。
こちらは新作フェアの招待状。
コンラッド大阪での開催ですが、僕はまだコンラッドには足を踏み入れたことがなく(そもそも用事がないのも事実)、この機会に一度訪れてみようと考えています。
なおリシャール・ミルの腕時計は全て「限定」。
年間の生産本数は3600本程度とのことなので、これはランボルギーニの年あたり生産台数とほぼ同じ。
日本市場にはその10%が割り当てられているといいますが、そう考えるとリシャール・ミルにとって日本はかなり大きなマーケット、と言えそうですね。
とにかく高価な腕時計ではありますが、「これを買えるように頑張ってみよう」と思わせる稀有な製品だと思います(そして、その頑張りは必ずなんらかのリターンを生むと思う)。
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リシャール・ミルというとモータースポーツとも関わりの深い腕時計ブランドですが、開設当初から「対象顧客はセレブのみ」に限定し、中心価格帯は1500万円という超高額な腕時計ブランドでもあります。
数々のモータースポーツへのスポンサーの他、マクラーレンやアストンマーティンとのパートナーシップ、フェリペ・マッサのシグネチャーモデルを販売したことでも有名(F1だとフェリペ・マッサ、ちょっと前はヤルノ・トゥルーリが腕時計好きで知られる)。
設立は同名のリシャール・ミル氏によるもので2001年と新しく、そのぶん業界の中でどうやって地位を確立するか?と考えたのが「対象顧客セレブのみ」だったのだと思われ、そのために(セレブを納得させるに十分な)氏が探してきた技術者のレベルは非常に高く、ストラップ込みで20g台という驚異的な軽さの腕時計を開発していますが、その強靭さも比類なく、それを証明するためにラファエル・ナダル選手に装着させて試合に「時計も一緒に」出場させるというプロモーションも。
欧州だとテニスはセレブスポーツの代表格ですが、プロモーションの場と客層が一致したのかそこから一気にブレイク(ナダル選手の強烈なサーブ、プレイに耐えた機械式腕時計というインパクトが強かった)。
現在でもナダル選手とのパートナーシップは続いており、最新モデルの「RM35-02」へと進化(オートマティック化されている)。
なお大阪高島屋は9月にも「タカシマヤ ウォッチメゾン」をオープンさせており、62ブランドを扱うなど腕時計に力を入れていて、主な取り扱いブランドは下記の通り。
、ロレックス