| マクラーレンはSUV開発経験豊富なCEOを新たに迎え、新しくSUVの開発に乗り出したというが |
マクラーレンのSUVは登場するにしても2020年代後半だとされている
さて、マクラーレンはちょっと前まで「絶対にSUVを発売しない」ことをその主義として掲げていましたが、「SUVはノー」と主張していた前マイク・フルーイットCEOが急遽辞任し(更迭されたと考えるのが妥当)、その後任としてCEOに就いたのがポルシェではカイエン、フェラーリではプロサングエを開発したマイケル・ライタース氏であり、もちろんこの人は「SUVには大賛成」。
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ただし実際にマクラーレンのSUVが登場するのは数年先となりそうだ
そのため現在マクラーレンはSUVそしてセダンを投入することについて前向きに、そして具体的な検討を開始したとされますが、マイケル・ライタース新CEOは「SUV市場は非常に重要」と発言しつつも、マクラーレンがSUVを発売するならば「それは我が社のスリリングなDNAを反映し、体現するものでなければならないと」と慎重な姿勢を見せています。
ちなみにですが、スポーツカーメーカーがSUVを作るという前例だとポルシェ、ランボルギーニ、アストンマーティン、フェラーリがあるものの、いずれのメーカーも発売までは一筋縄ではゆかず、そこには大きな難関が立ちはだかり、その解決には多大な労力を費やしたとされています。
まずひとつ目の難関としては「デザイン」。
スポーツカーとは全く異なるディメンションを持つために(スポーツカーを中心にデザインしてきた)デザイナーにとってはその差異に悩まされることになり、たとえば(スポーツカーメーカーではないものの)ベントレーがベンテイガをデザインする際、その前身であるEXP 9Fを発表したときには「このデザインはマズいだろう・・・」ということで多くの顧客から指摘を受けてデザインを再考する羽目になったといいますが、それくらいSUVのデザインは「不慣れなデザイナー」にとっては難しい、ということになりそうです。
ただ、そう考えると、それまでフェラーリやマセラティといったスーパーカーやGTカーを手掛けてきたフランク・ステファンソンの考えた初代BMW X5はかなり優れたデザインであったと言えるかもしれません。
そしてもうひとつは「重心の高さとバランス」であり、主に2シーターのスポーツカーばかりを作ってきたメーカーにとっては、その重心の高さはもちろんですが、乗車位置、乗車定員、さらには荷物を含めたフル積載+乗車時の重量バランスと荷重のかかりかたは「まったく未経験の領域(ある意味では大衆車メーカーの方がこの分野に関してのノウハウがある)」です。
フェラーリはプロサングエの開発時に「車高の高いクルマでいかに挙動を安定させるか」「荷物を載せた状態でのコントロール性をどうやって確保するか」に苦労したと言われていますが、いかにスーパーカーメーカーといえども、まったく経験のない分野での新型車開発はかなりな苦労を強いられそうですね。
なお、そういった難しさを解決するため、BMWはX5を開発するためにランドローバーを買収しており、ポルシェはメルセデス・ベンツMクラスのOEMを受けようとしたそうですが、とにかくそれだけ「経験のない自動車メーカーが新しくSUVを開発するのは難しい」ということに。
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マクラーレンのSUVはどうなる?
そこで今回公開されたのがおなじみロシアのKolesaによるマクラーレン製SUV(もちろん予想CG)ですが、そのデザインはアルトゥーラを下敷きにしたもので、なかなかによくまとまっているように思います。
ちなみにですが、最近の自動車デザインプロセスにおいてはAIが大きな役割を果たしていて、これによって「全く未経験の分野」であってもデザイナーがそのイメージを把握するのに(AIが)役立っている、と言われていますね。
参考までに下の画像は「マクラーレンのSUV」というワードをもとにAIが生成したデザインです(マクラーレンというよりはランボルギーニっぽいけど)。
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これによってマクラーレンは「第一の関門」をクリアできるかもしれませんが、残る「重心」「重量バランス」についてはこれから直面することになり、しかしそこはマイケル・ライタースCEOの出番なのかもしれません。
しかしながら、いかに経験豊富なマイケル・ライタースCEOをもってしても(マクラーレンのSUVの)開発は容易ではないと見え、同氏は「2020年代後半にならないと発売は難しいだろう」とも述べており、実車を見ることができるのはもうちょっと先になりそうですね。
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参照:Kolesa