| ミニはようやくこれからの時代に自分のポジションを見出したようだ |
ミニのCEO、ベルント・ケルバー氏がAuto Expressに語ったところによると、「エレクトリック化は室内空間を犠牲にせず車体のサイズを縮小させることができる」。
なお、もともとの(BMC)ミニは「最小限の車体サイズで最大限の室内効率」を考えて設計されたクルマなので、この発言については非常に大きな意味がある、と考えています。
ミニはEVにおいても「もういちど」革命を起こすつもりだ
現実的にEVはガソリン車に比較すれば60%ほど部品点数が少ないと言われ、それはエンジンや吸気系、トランスミッション、そしてエキゾーストシステムがEVには存在しないため。
多くのEVはフロアにバッテリーを敷きつめ、前後片側もしくは両方の車軸(アクスル)にモーターを搭載することになりますが、よこれにってEVの車室が広くなるのは自明の理。
しかし先日ミニが発表したピュアエレクトリックモデル「ミニクーパーS E」は既存プラットフォームを改良したものだと言われます。
よってミニクーパーS Eは「典型的な」EV的構造を持たず、そのために室内空間や荷室についても既存のミニ・ハッチバックと変わりはないと思われ、しかしミニは2022年には「完全新設計の」EV専用プラットフォームを持つ新型車を発表する模様。
これについてベルント・ケルバーCEOは「将来のミニはスペースを有効に活用したクルマになる。つまりは現在と同じスペースであれば車体はより小さくなるということを意味する。エレクトリック化の恩恵の一つは機能(この場合は積載性)のために妥協する必要がないことだ。もしバッテリーの配置を賢く行うことができれば、より小さく、しかし高い機能を持つクルマができあがるわけだ」。
加えて「すでに我々は、どうやってスモールカーセグメントにおいて何ができるかを考え始めている。ここ数ヶ月内にはエンジニアリング的な、そしてデザイン的な解決策が出来上がってくるだろう」と語っています。
なお、ミニは今年6月に、(2011年にコンセプトカーとして発表された)ロケットマンの市販化にGOサインが出たと言われていますが、おそらくはこれが「完全新設計EV」第一号になりそう。
そしてこのロケットマンは現行ミニ ハッチバック(3ドア)よりもかなり小さなボディサイズを持ちながらも現行ミニ ハッチバックより大きな室内スペースを持つと予想され、さらにベルント・ケルバーCEOは「未来のミニは、いずれも現行ラインナップよりも小さなボディを持つ」とも述べていて、ミニはようやく新しい方向性を見つけた、とも言えそうです。
ちなみにミニは初の量産エレクトリックモデル「ミニクーパーS E」発表時に「クラシックミニと、エレクトリック時代のミニは考え方が同じ」というプロモーションも展開。
クラシックミニは1959年に登場していますが、その誕生の背景には「オイルショックによって高騰した自動車の維持費を抑えられ、しかし大人四人が乗れる経済的なクルマ」という至上命題が存在していて、実際にクラシックミニミニは”自動車業界の流れを変えた”画期的なクルマ(現在のFFコンパクトカーの先駆けとなるエンジン横置きなど多くの”発明”が詰まっていた)。
そしてミニは現代において「エレクトリックコンパクトカーのあり方」を再度発明しようとしているとも考えられ、今回のCEOの発言によって、最近のミニがやってきたこと、やろうとしていることがようやく「つながった」ようにも思います。