| その内外装は非常に先進的で、4気筒モデルのA310からA610までを含めると24年もこのスタイルを維持している |
そのデザインは現代でも十分に通用しそうな美しさを持っている
さて、かなり珍しい(20台しか現存しないと言われる)アルピーヌA310が中古市場に登場。
アルピーヌというとA110とV6ターボ(GTA)が有名ですが、A310はV6ターボの前身と言えるモデルで、1971年に登場し、1984年にGTAへとバトンタッチする形で生産を終えることに。
なお、このA310はA110の後継として企画されていますが、大きく豪華になったこと、価格が高くなったこと、そしてデザイン的に大きくA110と乖離してしまったことから(根強いファンを持つ)A110も結果的に継続販売されることとなっています(ポルシェ911と928との関係のような話でもある)。
アルピーヌA310はこんなクルマ
このアルピーヌA310は1971年に4気筒エンジンを搭載して登場しており、しかし「ハンドリングは優れるものの、あまりにもアンダーパワー」というのが一般的な評価。
1.6リッターのルノー製エンジンを搭載し127PSを発生し、最高速は(優れたエアロダイナミクスによって)206km/hを記録する一方、0−100km/h加速にいたっては8.6秒という「スポーツカーとしては物足りない」数字となっています。
よって1976年にはポルシェ911への対抗という意味もあり、アルピーヌはプジョー、ルノー、シトロエンの共同プロジェクトにて生まれた新しい2.7リッターPRV V6エンジンを搭載する「(今回販売されている)A310 V6」を発表しており、こちらは150PS、最高速217km/h、0−100km/h加速7.2秒というスペックを誇ることで当時のポルシェ911のエントリーグレードと肩を並べることに。
結果的に販売台数は増加し、1984年まで販売されたのでけっこうな人気車種だったとも考えられ、しかし耐久性に難があったのか事故率が高かったのか現在ではほぼ生き残った個体が無いというのが現状でもありますが、そのスタイルは今見ても斬新と言えるもので(デザイナーはロベール・オプロン)、このデザインはその後のGTA、A610(1995年)まで受け継がれています。
ちなみに車体構造は鋼管バックボーンフレーム、エンジン搭載位置はリア、ボディパネルはFRP製という「半ばレーシングカー」のようなクルマでもありますが、リアエンジンに起因するナーバスな挙動については報告されておらず、素性としてはポルシェ911よりも優れていたのかもしれません。
この個体については2004年にドイツのオーナーが入手した後、英国に輸送して完全に分解したうえでレストアが施され、よって非常に優れたコンディションを持っており、けっこうお買い得な一台だとも言えそうです。
アルピーヌA310 V6のインテリアはこうなっている
そしてこちらはこのアルピーヌA310 V6のインテリアですが、たしかにスポーツカーというよりはGTカー的な雰囲気を持つもよう。
さすがフランス車だけあってシートもスタイリッシュ。
リアエンジンレイアウトなので後部座席も存在し、見たところポルシェ911よりは実用的であるように見えますね。