| ポルシェはパワートレイン、そして燃料について様々な可能性を模索している |
それにしてもまさか水素の可能性を研究しているとは
さて、ポルシェが水素燃料電池車の特許を出願した、との報道。
この「水素」については入手難易度の高さからいまひとつ普及しない状態となっていますが、トヨタは水素燃料電池のほか「水素を直接の燃料とする」エンジンの開発を行うなど水素への取り組みを強めており、BMWそしてヒョンデも水素に対して強い興味を見せる自動車メーカーとしても知られます。
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その反面、いくつかの自動車メーカーは「水素の時代はやってこない」として見向きもしないなど「はっきりとその対応が分かれる」のが水素という燃料です。
いったいなぜポルシェが水素を?
なお、ポルシェはこれまで水素に対してはさほど注力してきたという印象はなく(水素を燃料とするエンジンを開発していたとは報じられているものの、これは量産目的ではないことが示されている)、よって今回の報道は「ちょっとびっくり」ではあるのですが、ポルシェは今回の特許で「スペース効率を最大化する」ことを目的としているように思えます。
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つまりポルシェはこの特許において「運動性能を高める」ことよりも、水素燃料電池を搭載することでバッテリーの専有面積を最小化することで室内空間を拡大しようと考えており、つまりはカイエンやマカン、パナメーラのような「人やモノを乗せる」系のクルマにこれを採用したいと考えているようですね。
そしてこの特許の本質は「燃料電池を使用する」ということではなく、「発電のための水素をどこに貯蔵するか」の工夫に焦点が当てられており、その意味でもやはりスポーツカーに適用されるものではなさそうです。
ポルシェはクルマに応じて最適な手段を活用
なお、ポルシェはパナメーラやカイエンにハイブリッドシステムを採用しているものの、911や718ケイマン、そしてボクスターにはハイブリッドを用いておらず、その理由としては(パナメーラやカイエンなどの)ライフスタイル系モデルと(911や718ケイマン・ボクスターのような)スポーツモデルでは存在意義が異なるから。
つまりライフスタイル系であれば「環境性能向上」のためにハイブリッドを用いるものの、スポーツカーでハイブリッドシステムを用いるとすれば「運動性能向上」のためでなくてはならず、よってパナメーラやカイエンのハイブリッドシステムをそのままスポーツカーラインアップに流用することは無意味だから。
よって現在開発中である「911ハイブリッド」にはモータースポーツ直結となる(カイエンやパナメーラに積まれるものとは全く異なる)ハイブリッドシステムが搭載され、カイエンやパナメーラに積まれるものとは目的そのものが異なることになり、そしてこれはおそらく「非常に高価」なので718シリーズにもマッチせず、よって718シリーズではよりコストの低い(ハイブリッドではなく)ピュアエレクトリックが選ばれたのだと思われます(スペース的な問題もあると思う)。
こういった感じでポルシェは「そのモデルの存在意義や性格、パッケージング」にマッチしたパワートレーンを選ぶ傾向にあり、そして今回の水素燃料電池に関する特許については「パナメーラやカイエンなどの大きなクルマで、かつ積載容量を拡大したい」クルマに適合するのだと考えられ、合成燃料ともども、そのクルマにあわせた選択なのでしょうね。
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参照:CARBUZZ