Image:Porsche
| 日本ではあまり人気がないが、「グリーン」は中華圏にて高い人気を誇るカラーである |
この塗料の開発に12ヶ月、塗装には80時間を要している
さて、ポルシェは数年前に「ポルシェ エクスクルーシブ マヌファクトゥーア ソンダーバーシュ」を立ち上げており、ここでは通常のオプションの範囲を遥かに超えたカスタムが可能となるほか、内外装の素材やカラー変更のみではなく、機能や構造、ボディ形状の変更も可能となり、先日は同プログラムを活用してカスタムされた「993スピードスター」が公開されたばかりです。
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カラーシフト塗装に加えて「前後グラデーション」
そして今回、あらたなるソンダーバーシュ車両として公開されたのがこのタイカン・ターボS「セレスティアル ジェイド」で、これはカラーシフト塗装を採用したうえ、前後グラデーションにて仕上げるという前代未聞のフィニッシュを持つクルマ。
なお、ポルシェは不定期にて(見る角度によって色味が変わる)カラーシフト塗装”クロマフレア”の新色を発表しており、これは色味によって価格が変わるものの、そのオプション費用は「最低で」1000万円くらいだと言われています。
つまりカラーシフト塗装だけでも非常に高価なのに、ここへ「グラデーション」という特別な処理を施したことで、このタイカンにはとんでもないコストが掛かっているのは間違いなさそう。
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このタイカン・ターボS「セレスティアル ジェイド」はその名が示すとおりに宝石にインスピレーションを得ており、このジェイド=翡翠は温度や圧力によって色が変わることでも知られ、緑、黄色、金、白、時には青の色合いを呈することも。
そしてポルシェ エクスクルーシブ マニュファクトゥーアは、世界で最も高価な塗料の1つであるクロマフレアを、しかも車体前部と後部とで色味を変えることで2種類も使用し、色が変化するグラデーション仕上げを作り上げることに成功したわけですね。
ポルシェによると、これらクロマフレアは「アーバン バンブー」と「シフティング カーボン」の二色で、これらを混ぜた特別な塗料の開発には約12か月かかり、手作業で塗布するため、そのプロセスには約80時間を要します。
塗装に長い時間がかかる理由の1つは、クロマフレア顔料に非常に薄い1µm (マイクロメートル) のガラスで覆われたアルミニウムフレークが含まれていることで、そのため、クルマのどの部分でもメタリック効果が強すぎないように、塗料を完璧に、かつ均一に塗り広げる必要があるのだそう。
そのほか、色調が変化するため、各層を同様に正確に塗布し、そして硬化させてから研磨し、次の層の準備を行う必要があるとのことですが、すべての塗装が終わったのち、最後に車両全体をもう一度研磨して傷のない仕上げに磨き上げることに。
そしてこの塗装はホイールセンターキャップ、そしてキー側面のカバー、モデルネームとボディ側面の「Electric」文字にも施され、一層このクルマを特別なものに見せています。
ポルシェはこのタイカン・ターボS「セレスティアル ジェイド」のために専用のロゴを作成
さらにこのクルマを特別なものとしているのは専用ロゴの存在で、ポルシェはこのクルマのためにドラゴンの頭と馬の体を持つ神話上の生き物「竜馬(LongMa)」にインスピレーションを得たロゴ(マーク)を作成。
このモチーフは幸運をもたらし、偉大な力の象徴として機能することを意図しており、これは「馬」を中心に据えたエンブレムを持つポルシェにもマッチしているのかもしれません。
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このモチーフは、両列のパドルライト、すべてのヘッドレスト、ドアシルプレートに採用されており、オーナーとしては非常に高い満足感を得られるところだと思われます。
さらにこのクルマのハイライトはまだまだ続き、ポルシェはタイカン・ターボS「セレスティアル ジェイド」にてはじめて「カスタム牛革」レザー・トゥ・サンプルサービスを導入し、この車両のための専用色「セレスティアルジェイド」が染め上げられることに。
かくしてこのタイカン・ターボS「セレスティアル ジェイド」では翡翠の持つ「高貴さ、幸福、長寿」、そしてポルシェの開拓精神を示すカーボンブラックとが組み合わせられた一台となったわけですが、シンガポールにて公開された後にオークションへとかけられるといい、収益金は慈善団体へと寄付されることについてもアナウンスされています。
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参照:Porsche