| フォルクスワーゲン・ゴルフR32の10年以上も前にこんなクルマが存在していたとは |
あらゆる意味でエポックメイキングなゴルフだと言えそうだ
さて、フォルクスワーゲン・ゴルフには「GTI」というホットバージョンがあり、そのほかには「R」、その前身としての「R32」といった存在も。
そして今回紹介するのは、ある意味でそのR32のさらに祖先とも言うべきクルマ、「ゴルフG60リミテッド」です。
なお、この「G60」という文字列を見て思い浮かべるのがコラードG60ですが、このG60というのは当時まだ珍しかった「小排気量エンジン+スーパーチャージャー」という組みあわせを実現したGラーダー(ゲーラーダー)なるパワーユニットを積むモデルに与えられた呼称。※ただしこの後フォルクスワーゲンはいったん大排気量に向かい、その後またダウンサイジングへと戻ってくる
まさかゴルフにGラーダーが積まれていたとは
上述の通り、このGラーダーはVWコラードにも積まれているものの、このゴルフG60リミテッドに積まれるユニットはコラードG60の160馬力よりも50馬力高い210馬力を発生し、これは112馬力のエンジンを積んでいた当時のゴルフGTIに比較しても圧倒的に高い数字です。
ちなみに当時、ゴルフにも「G60」グレードが存在していたものの(こちらは160馬力)、この「G60リミテッド」は上述の通り210馬力という強力なエンジンを積み、さらに驚くのは「ゴルフシンクロ」から移植された4WDシステムを積んでいたことで、こういったパッケージングを見ると、このゴルフG0はゴルフR32の祖先だとも考えることができそう。
そしてこの強力なエンジンと4WDの組み合わせによってゴルフG60は(当時としては相当に速い)0-100km/h加速6秒ちょっとという数字を誇るものの、生産台数はわずか71台にとどまっており(その理由は不明。価格が高すぎたのかもしれない)、そして今回販売されているのがそのうちの一台というわけですね。
なお、外観についてはいくつか特徴的な変化が与えられており、まずはヘッドライトが4灯から2灯へ変更され、さらにはグリルのデザインがが独自のものとなりブルーのラインが入っていること。
当時からゴルフGTIには「レッド」のアクセントが採用されており、しかしこのゴルフG60リミテッドではそれをブルーへと変更したということになりますが、このブルーはちょっとトーンを変更し、ラピスブルーとして現代に引き継がれているとも考えられます。
さらにフロントバンパー下にはダクト付きのスポイラーが装着されており、チューンドカーのような雰囲気も。
そして前後フェンダーには樹脂製のオーバーフェンダーが装着され、ホイールはBBS製の15インチ(RM)へ。
フロントとリアにはフォルクスワーゲン・モータースポーツのバッジ(当時のフォルクスワーゲン・モータースポーツのイメージカラーが、この明るいブルーだったようだ)。
フォルクスワーゲン・ゴルフG60リミテッドのインテリアはこうなっている
そしてこちらはVWゴルフG60リミテッドのインテリア。
オールブラックではありますが、シートにはレザーが採用されるなど高級感が感じられ、やはり当時(1989年)はかなり高価な車両だったのかもしれません。
走行距離は10万8900キロだといいますが、その割にはコンディションが非常に良く、どこかで一度リフレッシュを行っている可能性もありそうですね。
一方でシフトノブにはけっこうな劣化があり、もしかするとこれまでのオーナーが「楽しすぎて」ガチャガチャとシフトチェンジを行っていたのだと推測。
なお、ここにも「VW MOTOR SPORT」の文字が見られます。
メーターはちょっと奇妙な感じではありますが、「キロ表示」の上に「マイル表示」を貼ったのだと思われます(もともと欧州仕様だったものを、北米に並行輸入したのかも)。
ちなみに走行距離について、ドラムの上には「miles」とあるものの、実際には「km」を表示しているようですね。
現在このフォルクスワーゲン・ゴルフG60リミテッドは英国の中古車ショップにて販売されており、その価格は7万9995ポンド(日本円で約1300万円)。
非常に高価なクルマではありますが、その歴史的な価値、さらに生産台数を考慮すると、この価格も「やむなし」なのかもしれません。
合わせて読みたい、フォルクスワーゲン・ゴルフ関連投稿
-
【動画】VWゴルフは、フェラーリ488ピスタに対して「どれくらいのハンデ」があればドラッグレースで勝てるのか?思ったよりもその差は大きかった
| フェラーリ488ピスタは、フォルクスワーゲン・ゴルフに対し、7倍ものパワーを持っている | 同じ自動車でも、その作られた目的によっとここまでの差が出るとは さて、フェラーリ488ピスタは0-100 ...
続きを見る
-
ゴルフ史上最強!VWが「Rパフォーマンス20周年」を記念しゴルフR 20イヤーズ・エディションを発表、エンジン始動時には2500rpmまで吹け上がるデバイスも
| ここしばらく、フォルクスワーゲンのハイパフォーマンスモデルの話題がサッパリなかったが | 現時点で日本でも発売されるかどうかは未発表 ここ最近あまり話題のなかったフォルクスワーゲンのハイパフォーマ ...
続きを見る
-
【動画】新型VWゴルフGTIに試乗!これほどまでに正確無比はハンドリングを持ち、曲がりに曲がるFFホットハッチにははじめて乗った
| ゴルフGTIに乗る前からある程度の素晴らしさは予期していたが、それでも完全に予想に上を行くパフォーマンスを持つクルマだった | ゴルフ7以降、ゴルフの完成度はほかのライバルに比較してはるか上を行く ...
続きを見る