| デザイナーは330P4のバーチカルヘッドライト、512Sのロングテールとウイングを取り入れる |
市販車とは異なり、現実のレーシングカーでは「レトロ」デザインが少ないようだ
さて、フェラーリは今年50年ぶりにル・マン24時間レースへと復帰するにあたり、そのレーシングカー「488P」を公開していますが、今回はそれとは別にレンダリングアーティスト、ニコラス・ヴィジェ氏が「フェラーリ・ル・マン・オマージュ」なるクルマのレンダリングを作成。
もちろんこれは現実にレースに参戦することを目的としたものではなく、かつフェラーリの公式でもないため、完全にデザイナー氏の創作ということになり、文字通り過去のフェラーリのル・マンの歴史を反映させた空想上の産物ということになりそうです。
フェラーリ・ル・マン・オマージュはこうやって作られた
そこでニコラス・ヴィジェ氏がフェラーリ・ル・マン・オマージュを製作してゆく過程につき、まずは過去のフェラーリのル・マン24時間レースにおける歴史を回顧。
フェラーリは最初の市販車を送り出したわずか3年後(1949年)にル・マン24時間レースにて優勝しており、これによってその名を世界中に知らしめることとなっています(この際に優勝した166Mは2リッターV12エンジンを積む最初の優勝車であった)。
その後もル・マン24時間レースにおける成功を重ね、つごう9度の勝利を手中に収めますが、フェラーリが最後にル・マンを走ったのが1973年(312P)。
ただし同氏が今回イメージしたのは1962年〜1970年までの(ル・マンを走った)レーシングカー、とのこと。
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さらにニコラス・ヴィジェ氏は512SやF40といったクルマからもインスパイアを受けていますが、この512Sは最近なくなったマウロ・フォルギエリ氏が主導し開発したもの。
高速サーキットに対応すべくロングテールを採用していることが外観上の特徴であり、今回制作された「フェラーリ・ル・マン・オマージュ」にもこれが再現されています。
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なお、同氏いわく、今回の作品にもっとも大きな影響を与えたのは1967年の330P4だといい、同氏はこのクルマを「もっとも美しいレーシングカー」だと捉えている、とのこと(多くの人はこれに異論はないと思う)。
フェラーリ・ル・マン・オマージュが完成したらこうなった
そしてこれができあがったフェラーリ・ル・マン・オマージュ。
たしかに前後フェンダーのラインやリアフェンダー付近のエアインテーク、フロント周りには330P4の影響が感じられ、「小さいキャビン、ワイドボディ」といった要素を強調したとコメントしています。
片側2つのバーチカルライト、フロントサイドのカナードも330P4をモチーフとしたものです。
サイドには250GTOから拝借した二本のスリット。
エンジンフードには「8気筒エンジン」を視覚的に表す8つの丸いネオンライト(パワーユニットは”ハイブリッド”を想定)。
リアタイヤの下半分が露出する「ネイキッド」仕様、そしてリアウイングやテールエンドは512Sを意識したもの。
こちらは無限増殖したフェラーリ・ル・マン・オマージュ。
これの画像はぼくに、「完成し、出荷を待つフェラーリF40」の写真を思い起こさせます。
なお、市販車と異なってレーシングカーの場合は「レトロ」なデザインを採用するケースが少なく、つまりそれは「昔のエアロダイナミクスに関する理論と、現代のその理論が全く異なる」からだと思われます。
そしてレーシングカーの場合は「機能性が最優先」となり、デザイン性は二の次なのだと思われ、よって(どのブランドのル・マン・レーサーもそうですが)ある種の”異形”ともいえるクルマが誕生するのかもしれません。
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