
| その理由はわからないが、4WDモデルの後輪の扁平率は「30」である |
ローマ、812コンペティツォーネの後輪の扁平率もやはり「35」
さて、ぼくが以前から気になっていたのが「フェラーリのリアタイヤの扁平率が高いこと」と「前後異径ホイールを採用しないこと」。
フェラーリはF80でこそ前後異径ホイール(フロント:20 / リア:21)を採用しているものの、基本的に市販車においては前後同じ直径のホイールを採用することがほとんどで、最新モデルの296スペチアーレでもそれは同様です。
ライバルの多くは前後異径ホイールを採用するが
ただし現在はポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレンなどフェラーリのライバルたちの多くは前後異径ホイールを採用していて、もちろん後輪のほうが大きくなっているものの、なぜかフェラーリでは「前後同径」。
さらには全体的にタイヤが細いケースも少なくはなく、まずフェラーリ296GTBだとこんな感じ。
- フロント: 245/35 ZR20
- リア: 305/35 ZR20
ランボルギーニ・ウラカンEVO RWDだとこんなサイズですが、296GTB(830馬力)とウラカンEVO RWD(610馬力)ではホイールサイズが異なれど同じ幅を持つことがわかります。
- フロント: 245/35 ZR19
- リア: 305/35 ZR19
参考までに、1,000馬力/4WDのフェラーリSF90ストラダーレのタイヤサイズはこう。
- フロント: 255/35 ZR20
- リア: 315/30 ZR20
920馬力/4WDのランボルギーニ・テメラリオだとこう。
- フロント: 255/35 ZR20
- リア: 325/30 ZR21
1,015馬力/4WDのランボルギーニ・レヴエルトだとこんな感じで、これらと比較するとフェラーリSF90ストラダーレのタイヤは「出力の割に細い」と言えるかもしれません。
- フロント: 265/35 ZR20
- リア: 345/30 ZR21
参考までに、700馬力のマクラーレン・アルトゥーラ(MR)のタイヤもけっこう細め。
- フロント: 235/35 ZR19
- リア: 295/35 ZR20
フェラーリの後輪駆動モデルのリヤタイヤは扁平率「35」が多い?
そしてもうひとつ考慮すべきは、多くのフェラーリのリヤタイヤに採用される扁平率が「35」ということで、これはランボルギーニの4WDモデルが採用する「30」よりも分厚く、実際に「かなりサイドウォールが厚い」という印象も受けるわけですね。
つまり、フェラーリはリヤホイールをインチアップして扁平率を30とすることもできるはずなのに、「なぜそうしないのか」という疑問をぼくは感じていて、しかしこれは「後輪の中のエア容量を大きく取っている」からだと思われ、もしかすると空気圧を低く設定しグリップを向上させることを考えているからなのかもしれません(空気圧まではライバルとの比較検討を行っていない)。
参考までにですが、フェラーリ296GTBのリアタイヤの外径は以下の計算式を用いると約708ミリ。
- 断面幅 (305mm)
- 扁平率 (35%): 断面幅に対するサイドウォールの高さの比率なので、305mm × 0.35 = 106.75mm
- ラジアル構造 (R)
- リム径 (20インチ): 20インチ × 25.4mm/インチ = 508mm
同じ計算式を用いると、テメラリオのリアタイヤの外形は714ミリとなり、よって「両者のホイールサイズは1インチ(25.4ミリ)違うが、タイヤ外径は6ミリしか変わらず、こう考えるならば296GTBは「ホイールサイズを1インチ上げて扁平率30の21インチタイヤを履く」ことも可能であり、しかしフェラーリは意図的にそうしていないということに。
この理由はまったくナゾではありますが、上にあげた通り、フェラーリは4WDモデルの後輪に「30扁平」タイヤを採用していて、さらに(4WDの)F80だと以下の通りのサイジングなので、やはり後輪駆動モデルについては「扁平率を上げてタイヤ内のエア容量を大きく取りたい」のかもしれません。※フェラーリの現行モデルにつき、4WDモデルでは後輪が30扁平、後輪駆動モデルでは35扁平となっている
- フロント: 285/30 ZR20
- リア: 345/30 ZR21
ただ、ぼくとしては現在のフェラーリが採用する「力こぶ」のようなリアフェンダーには「35扁平くらいのサイドウォールがゴッツいタイヤ」のほうが似合うのでは、とも考えています。
あわせて読みたい、フェラーリ関連投稿
-
-
これでフェラーリ「スペチアーレ」のタイヤ問題も解決。ピレリがフェラーリと共同にてエンツォフェラーリと288GTOのタイヤを再販、なおF40とF50用は発売済み
| クラシックカー、ネオクラシックカー乗りにとって「タイヤ問題」は頭痛の種でもある | ただし生産本数が少ないだけに「そうとうな」支出を迫られることになりそうだ さて、ピレリが「エンツォフェラーリ向け ...
続きを見る
-
-
フェラーリ296GTBに装着されるタイヤは「ブリヂストン」。ここ最近のスーパーカーではブリヂストン装着比率が増えているようだ
| 現在フェラーリでは「ミシュラン」「ピレリ」「ブリヂストン」を装着することがあるもよう | なぜ今ブリヂストンの純正採用が増えているのか さて、ぼくのフェラーリ296GTBに装着されているタイヤは「 ...
続きを見る
-
-
フェラーリの「スペチアーレ」の歴史はつねにタイヤとともにあった。フェラーリが専用開発タイヤ、そしてその再販に際して見せた「こだわり」とは
| どんなに高性能なクルマであっても「タイヤのキャパシティ以上」の性能を発揮することはできない | スポーツカー、スーパーカーにとってタイヤは「生命線」である さて、スーパーカーやハイパーカーが進化す ...
続きを見る