
| フェラーリは初のEV「エレットリカ」の発表に向け「電動化の必要性と重要性」を説く |
この記事の要点まとめ
- 「見えないもの」を見る力: 数学者アブラハム・ウォルドの逸話を引き合いに、証拠の先にある真実を見抜く重要性を強調
- 伝統=かつての革新: 「伝統」と呼ばれるものの正体は、かつて創業者が周囲に「変人(el mat)」と呼ばれながらも貫いた「革新」である
- EVへの伏線: 78年前の初勝利マシン「125 S」が既に「電気モーターのような加速」と評されていた歴史的事実
- チームの在り方: 常に「スタートアップ」のように振る舞い、連続的な変革を続けることが生存条件
世界で最も強力なブランドの一つ、フェラーリ。
そのトップに立つベネデット・ヴィーニャ氏は、「過去は未来である」と断言します。
最新のバーチャルリアリティや診断ツールを駆使する現代のフェラーリ従業員と、かつての職人たちの姿。
一見対照的な新旧の画像に共通する、フェラーリを「フェラーリたらしめるDNA」の本質について見てみましょう。
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CEOが語る「ヘリコプター・マネジメント」の極意
まず、ベネデット・ヴィーニャ氏は、優れたマネージャーの動きを「ヘリコプター」に例えます。
さらには「イノベーションは民主的ではない。少数の人間にしか見えないものだ」とも語り、この言葉は、かつて周囲から「el mat(狂った男)」と呼ばれた創業者エンツォ・フェラーリの精神を今も受け継いでいることを示しています。
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「北の教皇」とまで呼ばれ、その権力を絶対的なものとしたエンツォ・フェラーリ。どのような名言を残し、どのような哲学を持っていたのか?
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なお、ぼくはフェラーリの本社、そして博物館を過去に数度訪れていますが、そこで感じたのは「従業員一人ひとり、設備のそこかしこに、フェラーリのDNAが息づいていること」。
書籍などで知る「エンツォ・フェラーリの教え、そして言葉」があらゆる場面において身を持って感じられ、これほど「トップからボトムまで、そして創業者の意思が現代に至るまで」身近に感じられる会社はほかにないのかもしれません(敷地内のクルマの駐車方法に至るまで、当時エンツォ・フェラーリが指示した方法が守られている)。
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エンツォ・フェラーリの教え:「2位は最初の敗者である」。勝ったときよりも負けたときのほうが機嫌が良く、”敗北から学ぶことで”フェラーリを最強へと導く
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ヴィーニャ流・イノベーションのステップ
| ステップ | 行動内容 | 目的 |
| 俯瞰と現場 | ヘリのように現場へ降り、人々と対話する | 偶然の比較から問題の本質を特定する |
| 直感・アイデア | 既存の枠にとらわれない「狂気」を持つ | 民主主義ではない、少数の先見性を信じる |
| 実践的な具現化 | 理論を現実の製品へと落とし込む | 本当の意味での「革新」を達成する |
78年前の「エレクトリックモーター」という予言
フェラーリ初の電気自動車(EV)、エレットリカについての情報が数回に分けて公開されている今、ヴィーニャ氏は興味深い歴史的事実を振り返り、それは1947年、フェラーリが初勝利を挙げた「125 S」をドライブしたフランコ・コルテーゼがその12気筒エンジンの加速性能を指してこう表現したこと。
「まるで電気モーターのようだ」
78年も前のこのコメントこそが、現在のフェラーリの電動化戦略が「伝統の延長線上にある」ことの証明というわけですね。
実際のところ、エンツォ・フェラーリはV12エンジンの理論上、振動がゼロになる「完全バランス」を実現している点、そして爆発間隔が短いことによる「優れたトルクやレスポンス」を重要視しV12エンジンにこだわっており、1949年の166MはV12エンジン搭載車として「はじめて」ル・マン24時間レースを制しています。※125Sでは1.5L、166Mでは2Lという非常に珍しい「小排気量V12」を採用しており、製造が困難ではあったもののV12に固執していたことがわかる
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要するに、これはエンツォ・フェラーリが「エレクトリックモーターのような」トルクと滑らかさを重視していたということを示す事実なのかもしれません。
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フェラーリ:伝統と革新の融合
- クラフトマンシップ: 熟練工による手作業の精度(過去からの継承)
- 先端テクノロジー: VR設計、最新診断ツール、高度なシミュレーション
- 共通の目的: 外部の予測不能な変化を生き残り、PERENNIAL TRANSFORMATION(永続的な変革)を続けること
なぜ「DNF(Did Not Finish)」を恐れるのか?
ベネデット・ヴィーニャ氏は、イノベーションを恐れる心理をモータースポーツ用語の「DNF(リタイア)」に関連付けて警告します。
- D (Difference): 違いを恐れる
- N (New): 新しさを恐れる
- F (Future): 未来を恐れる
これらを恐れる者はフィニッシュラインを越えることができず、「産業界において、フェラーリはこのDNFを創設以来、一度も受け入れたことはない」という強い言葉に、ブランドの矜持が詰まっているかのようですね。
結論|2030年に向けたフェラーリの誓い
2022年から始まった中期経営計画の振り返りと、2030年に向けたコミットメント。
ヴィーニャ氏が目指すのは、全てのステークホルダーに対して「革新的で、機敏で、敬意を払う」組織であり続けることです。
「勇気と責任、野心と謙虚さ」。
この一見相反する価値観を同時に抱え、団結して働くこと。
それこそが、跳ね馬が次の時代も「唯一無二(Unique)」であり続けるための唯一の道というわけですね。
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参照:Ferrari

















