| 新生デ・トマソの親会社はアポロ・インテンサ・エモツィオーネをリリースした香港のITV |
これまでの例から見て、デ・トマソP72の実現性は高そうだ
さて、2019年にグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにてデビューしたデ・トマソ「P72」。
これは香港ベースの”ITV=Ideal Team Ventures”がデ・トマソの商標権を獲得してリブートした「新しいデ・トマソ」よりリリースされる第一号であり、当時「ありえないほどゴージャス」だと表現されたスーパーカーです。
なお、このITVは「アポロ・アウトモビリ」も展開しており、それなりに実績があることからデ・トマソの再生についても期待されていたものの、最近ではサッパリその話を聞かなくなっていたわけですね。
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生産拠点はアメリカからニュルブルクリンクへ
参考までに、2019年に復活をアナウンスした後、新生デ・トマソは「アメリカにて開発と生産を行う」と発表しており、その理由として「アメリカの自動車産業に対する愛」をあげ、このプロジェクトについては「ミッション・アメリカン・オートモーティブ・ルネッサンス」と命名。
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ただ、その後は一切話題に上らなくなり、いったいどうなったのだろうと考えていたところ、今回突如「ニュルブルクリンク近郊にて開発と生産を行う」と発表して世間を驚かせ、その(アメリカからドイツに移る)理由は「コロナウイルスの影響によって計画が狂ってしまったため」。
つまりはアメリカでの活動が制限され、そのためドイツに拠点を移すということになり、そしてニュルブルクリンクに最新鋭の設備を持つ開発拠点と工場を建設して発売を目指すというのが今回の発表の骨子となっています。
なお、アポロ・インテンサ・エモツィオーネの場合は「単発プロジェクト」だったのだと思われ、よって専用の工場を建設せずに生産を外部に委託したようですが、今回はデ・トマソの自社工場を建設しており、となると今回のP72のほかにもデ・トマソの「ニューモデル」が登場するのかもしれません。
デ・トマソ・アウトモビリ会長のノーマン・チョイ氏によれば「本日、私たちの哲学を再確認し、コアコンピタンスを強化し、将来の製品に最高レベルの品質を保証する、新しい戦略的パートナーシップを発表できることを誇りに思います。我々のP72は、伝説のニュルブルクリンクで開発されるだけでなく、生産され、我々の顧客に比類のない経験、品質、価値を提供します」とのこと。
そして驚くべきはデ・トマソのいう「新しいパートナーシップ」であり、これはなんと”カプリコーン”。
その名が一般に出てくることがないものの、このカプリコーンはポルシェ919ハイブリッドなどのレーシングカーの開発に協力したことでも(自動車業界では)広く知られ、デ・トマソはカプリコーンとの協業を行うことにより、P72の生産に向けて大きく進むということになりそうです。
なお、アポロ・インテンサ・エモツィオーネ(IE)もまたレーシングカーコンストラクターであるHWAとのコラボレーションによって開発・製造がなされていて、デ・トマソ、そしてアポロの親会社であるITVは「そうとうなコネクション」を持つ会社だということもわかります。
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デ・トマソはすでにP72のテスト、プロトタイプの生産を開始
さらにデ・トマソは、トヨタのF1やLMP1の担当者と共同で、ドイツ・ケルンにあるトヨタのF1風洞で空力試験を行った際の画像も公開し、現在、2023年初頭の納車を新たな目標として、「プレシリーズ」プロトタイプの生産を開始したことも発表。
加えてデ・トマソは、P72の最先端のカーボン・シャシーを改良し、外寸を変えずに乗員の頭上とレッグスペースを拡大したこと、重心を低くすることでハンドリングと安定性を向上させたことについても触れており、いったん路上に解き放たれれば、並み居るスーパーカーをなぎ倒してしまうほどのパフォーマンスを見せるかもしれませんね。
デ・トマソのCEO/CMOであるライアン・ベリス氏は「このパートナーシップにより、実績ある世界的なリーダーと協力し、当社のオペレーションとサプライチェーンを合理化することができます。これにより、当社の本質を維持し、デザイン、エンジニアリング、クラフトマンシップ、素材の最高峰を、当社の理念を強化し、真の実績を持つ車両に搭載し続けることができるのです」とコメントを発していて、アポロの実績から見て、「発売する」といいながら実際には何も発売できない新興ハイパーカーメーカーとは異なり、このデ・トマソは間違いなく実車をリリースすることになると考えられ、今後の動向には要注目ですね。
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