
| ロボタクシーは誰のもの?米特許庁がテスラの申請を却下 |
商標出願「Robotaxi(ロボタクシー)」が拒否された理由とは?
自動運転技術の未来をリードするTesla(テスラ)ですが、そのブランディング戦略に思わぬ壁が立ちはだかったことが明らかに。
今回、米国特許商標庁(USPTO)が、テスラによって申請された「Robotaxi(ロボタクシー)」という商標登録を“一般的すぎる”として却下したと報じられており、その理由は「商標として登録するには“独自性”が足りない”」と判断されたため。
つまり、「Robotaxi」はすでに一般的な用語として広く使われており、テスラだけのものとは認められない、というのが米国特許庁の見解です。
一般化した名称は商標登録できない
多くの国や地域では「一般化した名称」は商標登録できず、たとえば「パソコン」 をパーソナルコンピュータの商標として登録しようとしたり、「天然水」 をミネラルウォーターの商標として登録しようとしても、それぞれ「パソコン」「天然水」につき、一般に浸透している呼称なので、それらの語句が特定の事業者を識別することはできないとして特許庁から「拒絶」されることとなります。
加えて、「特定の業界で商品の種類や製法を示す言葉として一般的に使われている名称」も特定の事業者の独占を認めるべきではないと考えられるため、商標登録が拒絶される傾向にあるのですが、今回の例でもこういった判断がなされたということに。
USPTOによれば、「Robotaxi」という言葉は「単に製品やサービスの特徴を説明するに過ぎない(merely descriptive)」、そして審査官は「この言葉は他社も同様の商品やサービスを説明するために使用している」とし、汎用的すぎて商標にはならないという声明を出しています。
実際のところ、「無人で配車可能なタクシー=ロボタクシー」という概念自体が、Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)など競合他社によって一般的に使われているため、いまさらテスラだけがこの呼称を独占できるものではないと判断されたようですね。
テスラは「サイバーキャブ(Cybercab)」や「ロボバス(Robobus)」でも商標取得を狙っていた
さらに今回の報道では、「Robotaxi(ロボタクシー)」だけではなく、テスラは他にも「Cybercab(サイバーキャブ)」や「Robobus(ロボバス)」といった商標も申請しているとされ、これらについては「拒絶」されたわけではないものの、処理が難航していると伝えられています。
「Cybercab」については、Cybertruck(サイバートラック)関連アクセサリーを展開する他社がすでに「Cyber〜」という商標を複数申請しているために差別化が難しい状況になっており、「Robobus」については2件の申請がまだ審査中だとされ、まだ何らかの判断がなされていない、とのこと。
Robotaxi & Robovan pic.twitter.com/pI2neyJBSL
— Tesla (@Tesla) October 11, 2024
まだ終わったわけではない:テスラは異議申し立て可能
とはいえ、今回の拒否は「最終判断(final)」ではなく、「非最終通知(nonfinal office action)」。
よってテスラは今後3ヶ月以内に異議申し立てを行い、商標登録を目指すことが可能だとされ、その際には、以下のような資料の提出が求められるそうですが、テスラの弁護士チームがどれだけ説得力のある資料を用意できるかが勝負のカギとなりそうです。
- 製品の仕様書や説明書
- ウェブサイトのスクリーンショットや広告(実際にテスラがどれだけこの文字列を使用しているか)
他社が「ROBO」「ROBOT」「ROBOTIC」といった用語を実際に使用しているかどうか(他社がこれらを広く使用しているかどうか)の証拠
まとめ:Teslaの“商標戦略”に黄信号、ただし希望は残る
- 「Robotaxi」はあまりにも一般的な用語であり、USPTOは商標登録を拒否
- 他の商標(Cybercab、Robobus)も苦戦中
- ただし、異議申し立てのチャンスは残されている
なお、テスラは今後ロボット事業に注力することになるものと思われますが、「テスラボット(Tesla Bot)」であれば、他社もよく使用したり一般化しておる「ボット」という文字が入るものの、識別性の高い「テスラ」という文字列も含まれるために商標の登録が可能であると思われ、しかし「オプティマス」だと「それがテスラ独自のものである」とは認識できないため、こちらの商標登録は難しいのかもしれません(もともと、この場合のオプティマスは”トランスフォーマー”から拝借したものである)。
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参照:Jalopnik