| ホンダとシュトロゼックというのはかなり意外な組み合わせではあるが、ホンダとしてはデザインの多様性を求めたのかもしれない |
ただし現実には、このデザインスタディは「デザインスタディのまま」に終わってしまう
さて、カーメディアが「(ドイツのチューナーである)シュトロゼックのサイトにナゾのホンダS2000の画像がある」ことを発見。
報道によれば、このS2000は「シュトロゼックがホンダから依頼を受けて作成したデザインスタディ」だそうですが、それ以上のものではなく、ホンダがそこから何かを進めたという事実はないとコメントしています。
この画像は「Honda S 2000 Facelift」と第されたもので、シュトロゼックのサイトにおける掲載順からするに「2001年から2003年の間」に製作されたものだと思われ、もしホンダがシュトロゼックのデザイン案を採用していれば、この姿にてマイナーチェンジがなされていた可能性があるわけですね。
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もともとホンダS2000の源流はピニンファリーナによるデザインである
なお、ホンダS2000はホンダの創立50周年記念である1998年に発売されていますが、その元となったSSMコンセプトはピニンファリーナによってなされたもので(ホンダも大きく関与したとは言われている)、1995年の東京モーターショーにて発表された際、その向かいのピニンファリーナブースに展示されていたアルジェント・ヴィーヴォ(コンセプトカー)と共通する車体を持っていたことからも両者の強い関係性がわかります。
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そして1998年に発売された後、(S2000は)2001年に初回のマイナーチェンジを迎えることとなるのですが、もし本当にホンダがシュトロゼックにS2000のデザイン変更を依頼していたのだとすれば、時期的に見て、このマイナーチェンジの際(もしくは2005年の2回目のマイナーチェンジの際)にそれを採用することを見据えていたと考えるのが妥当です。
しかしながらいくつかの疑問も残り、そもそもシュトロゼックはチューニングカーやコンプリートカーの製作を行うチューナーであって、ピニンファリーナのようなデザインハウスではなく、そこにホンダがデザインを依頼する意味の有無。
ただ、当時ホンダはシュトロゼックにだけデザインスタディの作成を依頼したのではなく、ほかの様々なデザインハウスやコーチビルダーに依頼を行っていた可能性があり、このシュトロゼック案は「ホンダがマイナーチェンジを行うにあたり、参考にしようと考えたデザインのひとつ」なのかもしれません。
ちなみにですが、シュトロゼックのサイトには、ほかにホンダ車としてHR-V、ストリーム、CR-Vのカスタムカーやデザインスタディが掲載されていて、当時シュトロゼックはホンダと密接な関係にあったのかもしれませんね。
実際に行われたS2000のマイナーチェンジの内容は「微小」だった
上述の通りホンダは2001年にS2000のマイナーチェンジ(1度目)を実施していて、この際にはエンジン出力特性やサスペンションの設定変更を行っており、その後の2005年には再度マイナーチェンジを行ってエンジンを2.2リッターへと排気量アップするとともにバンパーそしてライトユニットの変更を実施しています。
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もしかするとこの際にシュトロゼック案が採用されていた可能性があったかもしれないわけですが、シュトロゼックのデザインを見るとその変更範囲は(小さく見えて)ボディ全域に渡っており、ホンダとしては(そこまで台数が出ないS2000のマイナーチェンジに)大きなコストを割くことができないと判断し、これを見送ったのかもしれません。
あるいはアイデアを求め、自社のスタイリング部門との健全な競争を生みだし、デザイン評価に多様性を生み出すためだけにシュトロゼックへとデザインを依頼しただけだった可能性もあり、しかし今となっては真実が明かされることはないのかもしれませんね(こういったナゾ案件は様々な自動車メーカーに、様々な形で存在するのだと思う)。
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