
| ホンダ、「S2000」を再び世に出したいという強い想い |
ただし現時点ではその確率は「非常に低い」
ホンダのエンジニアたちは、かつて同社のピュアスポーツを象徴したS2000を再び復活させたいと考えているとされ、しかしそこにはコスト・需要・プラットフォームという三重のハードルが立ちはだかっているとの報道。
かつてホンダのラインアップには、「週末にサーキットや峠を走るための純粋な2シーター」が存在し、それがまさにS2000。
しかし現在のホンダにはそのようなモデルが存在せず、新型プレリュードも「ハードコアな走りのクルマ」というよりは快適なGT寄りのハイブリッドクーペに留まっているのが現状です。
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ホンダ開発責任者「S2000は社員全員の憧れだ」
ホンダの実情を明かしたのはオーストラリアのカーメディア『Drive』で、ジャパンモビリティショー2025の会場にてプレリュード開発責任者である山上智之チーフエンジニアが語った内容を紹介しています。
「もちろん、誰もがそう思っています。ホンダの社員は全員S2000が大好きです。いつか、もう一度作りたい。」
このコメントが示すように、社内には復活への情熱が存在し、ただし問題は「採算とリソース」。
現時点で、ホンダにはS2000のようなFRスポーツを成立させるための専用プラットフォームが存在しないことが最大の問題であるとされています。
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トヨタのような「他社との共同開発」は否定
山上氏はまた、トヨタがスバルとGR86を、BMWとスープラを共同開発したような方式は取らないと明言。
「私たちはホンダらしさ(DNA)を守ることが最も重要です。だから他ブランドと組んで“なんとなくホンダっぽい”クルマを出すことはしません。」
S2000は独自のエンジニアリング哲学のもとで生まれたクルマであり、それを継承するなら“外注スポーツ”では意味がないというのがホンダの立場なのでしょうね。
Image:Honda
ネックは「開発コストと価格設定」
S2000復活に立ちはだかる大きな壁はやはり「コスト」。
山上氏は次のように説明します。
「本格的なスポーツカーを開発・生産するには非常に高額なコストがかかります。若い世代に手が届く価格に抑えるのは難しいのです。」
これについてはトヨタにて86やGRスープラの開発を主導した当時の開発主査、多田哲哉氏も同様のコメントを残しており、スポーツカーはファミリーカーとは「想定される負荷」がまったく異なるために「基本コンポーネントの共有ができず、どうしても高額になってしまうことに言及済み。
実際に1999年にS2000が登場した当時、S2000の価格は355万円に設定されており、シビックが150万円程度、プレリュードが180万円程度から購入できたことを考慮すると「決して安くはなかった」値付けです。
これはひとえに「ホンダの考えるスポーツ性能を実現できるFRを開発するとなると、すべてをゼロベースで、専用として開発するよりほかはなかった」から。
Image:Honda
一方、新型プレリュードはシビック系プラットフォームやハイブリッドシステムを流用することでコストを下げていますが、それでもユーザーからは「高い」との声が上がっており、とにかくスポーツカーを作るのにはコストがかかる、ということには留意が必要です。
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「シビックやタイプR、HEVと多くの部品を共有して価格を抑えています。それでも“高い”というフィードバックを受けました。」
「S2000」は専用設計ゆえにコスト高に
上述の通り、S2000はシビックとはまったく異なる専用シャシーと駆動系を持つ後輪駆動スポーツカーで、その心臓部となるF20C/F22C1型エンジンは、縦置き・高回転型という極めて稀な構造を採用し、量産車では異例の完成度を誇ることに。
専用シャシーはオープン構造でも剛性を担保できる高剛性モノコック構造”ハイ X-Bone フレーム”を持っており、サスペンションは前後共にフルダブルウィッシュボーンという非常に贅沢な構成を持っています。
こうした“唯一無二”の設計思想こそがS2000の価値であり、同時に量産効率を大きく下げてしまった要因でもあるわけですね。
Image:Honda
ホンダがS2000を復活させるには「新たな戦略」が必要
結局のところ、ホンダがS2000を再び作るには、専用FRプラットフォームを新規開発するコストと、価格に見合う市場需要という2つの条件を満たさなければならず(両方とも密接に関係しているものではあるが)、現時点でホンダはそのどちらにも明確な答えを持っていないというのが実情なのかもしれません。
◆ 結論:「作りたいが、作れない」ジレンマ
ホンダの情熱は”間違いなく”、しかし現実は厳しく、S2000を復活させるためにはコスト構造・販売戦略・プラットフォームすべてを再設計する必要があり、それでもホンダの“走りの魂”を再び形にしたいという想いが消えない限り、S2000という名が再びサーキットや峠で響く日が来るという希望も残ります。
プレリュードの反応や、次世代ハイブリッド/電動スポーツ戦略の成果を見極めた上で次のステップが見えてくる可能性もあり、ファンとしては「S2000復活」の報を一日でも早く聞きたいところでもありますね。
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参照:Drive














