| 少し前までは、2027年まで現行プラットフォームの改良で凌ぐという話だったが |
日産のグローバル商品企画本部そして常務執行役員であるイヴァン・エスピノーサ氏が英国Autocarに語ったところによると、「フェアレディZとGT-Rは我々のハートそのものであり、ニューモデル開発に取り組んでいる」、とのこと。
加えて、それらはエキサイティングなクルマになること、「間もなく」なんらかの情報を耳にすることができるだろう、ということについても言及しています。
ただし、これ以上の情報は現在得られていないようで、よって次期GT-R、次期フェアレディZがどんなクルマとなるのかは全くのナゾ。
日産は「儲からないことはしたくない」会社
たしかにフェアレディZ、GT-Rは日産の「ハート」であるのは間違いなく、世界中に多くのファンが存在し、多くの支持者がいるのは周知の事実。
ただし日産にとってこういったスポーツカーにお金をかけるのは難しい判断であり、というのも、いかに支持者がいたとしても”開発費のモトが取れるほどの”販売台数を見込めないため。
スポーツカーはそのレイアウトはもちろん、使い方からして普通の乗用車とは全く異なるレベルの強度を各パーツに与える必要があり、となると「専用設計」を用いることに。
これが意味するところはズバリ高価格化ということですが、高額なスポーツカーを購入する層は今やごく少数だというのもまた現実です。
これにはいろいろな理由があるかと思われるものの、今やサルーンでもSUVでもスポーツカー並の性能を発揮でき、であればわざわざ実用性の低いスポーツカーを買う必要はない、ということですね(これはアメリカでは顕著な傾向だと言われている)。
ただ、スポーツカーのあるなしは、そのメーカーのイメージや訴求力に大きく関わり、トヨタもそれが理解できていたからこそスープラを復活させたのかも。
実際に自分がスポーツカーを買わなくとも、情熱的なクルマを作っているメーカーに対してはなんとなく信頼を寄せたくなる、もしくは応援したくなる気持ちが一般にあると思われ、つまりそれは「儲かるクルマばかりを作っているメーカーよりも、儲からなくても楽しそうなクルマを作るメーカーのほうが」親しみを持てるということなのだろう、とも考えています(人間でも、損得勘定ばかりの人には魅力を感じない)。
たしかにスポーツカーは儲からない製品ですが、それでもお金で測れない利益を企業にもたらす可能性もあり、これまでと変わってGT-R、フェアレディZに言及するあたり、日産はスープラがもたらした、トヨタに対する市場意識の変化に着目し、「今は苦しいときだが、こんなときこそスポーツカーが必要なのだ」と考えた可能性もありそうですね。
実際のところ次期GT-Rと次期フェアレディZはどうなる?
そこで気になるのが、次期GT-R、次期フェアレディZはどうなるのかということですが、これまでの情報だと、GT-Rについては「有力顧客にヒアリングを行った」というところまでは日産によって語られています。
ただ、何らかのプランを示したというよりは、「どういったGT-Rが欲しいのか」をヒアリングしたにとどまったようで、その過程にて、顧客はエレクトリック化されたGT-Rを欲していないという結論が導き出された模様。
しかしながら日産は現在インフィニティとともにエレクトリック化に力を入れていて、次期GT-Rをエレクトリック化したいはずですが、ここをどう調整するのかというのは今後の課題となるのかもしれません。
こんな感じで、現場ではなんらかの動きがあるものの、日産本体としては、おそらく(これまで)本腰を入れて新形GT-R、新形フェアレディZを開発しようという意思はなかったようで、GT-R開発チームからは「前に進めない」といった声も聞かれます。
さらには現行GT-R(R35)に使用されるプラットフォームを2027年まで「引っ張り」、その後にエレクトリック化するという話も。
そこで、「次期GT-Rや次期フェアレディZに費用を投じることができないのであれば、トヨタ・スープラとBMW Z4みたいに共同開発すればいいのではということになりますが、日産はこれも「拒否」しており、現段階では前途多難だと言えそうですね。