| トヨタの究極の(EVスポーツにおける)目的は「ガソリン車と全く同じ」クルマを作ることなのかも |
かつてガソリン車から消し去ろうとした「変速時のショック」などの要素がEVで復活するというのは興味深い
さて、先日トヨタは「EVに導入する疑似マニュアル・トランスミッション」に関する特許を出願しており、その中では「最大で14段が設けられ、その中から自分が求める段数を選んで仮想トランスミッションを作ることができる」ことが明らかになっていますが、今回は疑似サウンドを「顧客が自由にダウンロードできる」という意向が明らかに。
これはトヨタのチーフ・ブランディング・オフィサー、サイモン・ハンフリーズ氏がカーメディアに対して語ったもので、要約すれば"好きなエンジン音やドライビング・ダイナミクスをダウンロードし、笑顔だけを発しながら、自分だけのユニークな体験を作り上げるようにしたい"という内容です。
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トヨタのEV向け疑似マニュアル・トランスミッションは最大で「14速」。この中から好きなギア比を選んで自分で「仮想ギアボックス」を作れるようだ
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疑似MT、疑似サウンドについては各社の対応は様々であるが
なお、EV時代に突入して失われるのは「ガソリンエンジン特有のサウンド、ギアチェンジ」ということになりますが、これはエレクトリックモーターの回転が(ガソリンエンジンに比較すると)無音に近く、そして基本的に(メルセデスAMGやポルシェなど一部を除き)トランスミッションを持たないため。
ただしそういったサウンド、そしてパワーやトルクを引き出すためのシフトチェンジ、さらに回転数とともに高まるパワーを再現しようと現在各社各様の対応を行っており、そこでトヨタとレクサスが採用したソリューションが「ガソリンエンジンの再現」。
反面、ホンダは「そういった”偽のガソリンエンジンの再現に興味はない”」と述べ、BMWはまた独自の手法を取り入れるなどまさに各種各様といったところです。
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ホンダCEOがEVへのフェイクMT搭載に反対意見!「偽サウンドや偽MTは好きではない。それよりもEVを楽しく感じさせる別の解決策を実現することが本質だ」
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参考までに、「サウンド」に対するアプローチだと、ロータスは過去のF1マシンなどのサウンドをサンプリングして電気的に合成するといった手法を採用し、フェラーリはエレクトリックパワートレーンが回転する音を吸い出して増幅する(つまりそのクルマと関係のないサウンドを合成して作らない)ことに言及済み。
さらにポルシェとメルセデス・ベンツは「EVらしい」未来的なサウンドを作り出し、ヒョンデはアイオニック5Nにて「戦闘機からサンプリングしたサウンド」を実装しています。
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ヒョンデがサーキット走行に対応したEV、アイオニック5 Nを発表。ガソリン車の8速トランスミッションの動きを再現しドリフトも自在、「戦闘機」からサンプリングしたサウンドも【動画】
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トヨタのアプローチは「独特」である
こういった例を見るに、トヨタの採用する手法は非常に独特というかシンプルであるように思われ、過去にトヨタは「バッテリーEVのプロトタイプをたくさん作ってきて、サウンドが走りの楽しさに大きく影響することがわかりました。これは、私たちが開発の中で実感したことです。クルマのダイナミクスにマッチした、高揚感を与えるサウンドを開発中です」とも述べたことがあり、直6やV8、V10時代のF1サウンド、さらにはV12など様々な形式や排気量のエンジン、そしてこれらをベースにしたサウンドを作って「ガソリン車と区別がつかない(これがトヨタの目指す最終目標なのだと思う)EV」の開発を行うことになりそうですね。
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豊田章男会長「すでにGRにて疑似MT搭載の電気自動車をテストしている。エンジン音も再現したし、隣に乗る人はこれがEVだと気づかないはずだ」
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ちなみにですが、以前に豊田章男会長(当時は社長)が「ガソリン車の音や匂いが好きだ」とコメントしたことがあり、可能であれば匂い(害のない範囲で)、そして振動についても将来のEVにて再現してほしいところ。
振動については、とくに疑似マニュアル・トランスミッションのシフト操作時に「(疑似)エンジンの回転数に応じ」ガソリンエンジン特有の振動を出してもらえれば、より臨場感が増すのかもしれません。
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参照:Top Gear