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トヨタはEVを諦めない。経産省から”蓄電池にかかる供給確保計画”の認定を受け、巨額の援助を得て次世代電池と全固体電池の開発・生産を進めることに

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| できれば政府主導で技術と開発・生産の集約を行い、「日本としての」電気自動車分野に関する競争力を高めて欲しいものではあるが |

なかなか日本は「経済活動」には直接の関与を行わない

さて、先日トヨタは「EVの生産目標を150万台から100万台に引き下げる」と発表したと報じられていますが、今回はトヨタから公式に「次世代電池と全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の開発と生産計画につき、経済産業省から”蓄電池にかかる供給確保計画”」としての認定を受けたとの発表がなされています。

なお、この認定の前にあるのが経済産業省の定める「蓄電池にかかる安定供給確保を図るための取組方針」で、これは経産省が”特定重要物資”として指定する蓄電池の供給を安定的に行うことを目的とした政策のひとつですが、今回トヨタはこの取組方針に沿った計画を経産省に提出し、その認定を受けたということに。

つまりトヨタは先の縮小計画の公表したものの、それはあくまでも”現状”を見据えたもので、それとは別に「ここから先のためのEV計画が存在する」のだと考えられます(以前にも新しい電気自動車に関する計画が打ち出されているが、おそらくは修正されているはずである)。

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これによってトヨタは日本政府から多額の補助金を受けることに

そして今回の認定によってトヨタは日本政府からの多額の補助金を得ることが可能になったとも報じられていて、注目すべきは、日産、マツダ、スバル、バッテリーメーカーのパナソニックもトヨタと同時に補助金の獲得に成功したと見られていることであり、これらの総額は1兆円規模にも及ぶとされています(今回のトヨタからの公式プレスリリースでは補助金の額に言及されていない)。

なお、これからのEV市場は非常に厳しいものとなることが予想され、英国の調査専門会社グローバルデータによると、世界のEV販売台数は2023年に970万台に達し、前年比32%増。

しかしその成長率は鈍化し、2022年の「前年比65%増」であったEV販売台数に比較すると大きく伸び率が鈍化していることがわかります。

さらに米国のEVメーカー、テスラの1月から6月までの世界の販売台数は前年比7%減の83万台で、テスラの半期販売台数が前年を下回るのは「初」の事態。

中国のBYDは同時期にEVを72万台販売し18%増加したものの、プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数は40%増の88万台となり、成長率と総販売台数の両方でEVを上回っていて、つまり「世界は予期したほどEVへとシフトしていない」。

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トヨタの「EV販売計画下方修正」はこういった情勢を受けてのことですが、EV戦略を見直している世界の大手自動車メーカーはトヨタだけではなく、ドイツのフォルクスワーゲンはEV投資の高コストを理由に初めてドイツ工場の閉鎖を検討し、米国のゼネラルモーターズもミシガン工場での大型EV生産を2年延期する計画を示しています。

同じく米国のフォードモーターも大型電気SUVの開発を中止すると発表し、スウェーデンのボルボ・カーズも2030年までにEVのみを製造するという目標を撤回したばかり。

ただ、興味深いのは日本の自動車メーカーの中でEV戦略を変更したのはトヨタだけということで、ホンダは、2040年までにEVまたは燃料電池車(FCV)のみを生産するという目標から撤退するのではなく、むしろEV生産を強化し続けているという事実であり、その対応は各社各様となっています。

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