| 電動化時代になるとデザインの自由度が増す一方、パワートレインのバリエーションが減り、間違いなくデザインはもっと重要になる |
とくに中国や韓国の自動車メーカーはデザインを重要な戦略的要素として位置づけている
さて、トヨタやホンダとの提携で知られる中国のGAC(広州汽車集団有限公司)が欧州で初の研究開発センターをイタリア・ミラノに開設し、そのオープンとともに「バルケッタ・コンセプト」を発表。
この拠点では米国ロサンゼルスや中国上海のデザインセンターと協力し、GAC本体、そしてGACが保有するAion、Hycan、Trumpchiといったブランドのクルマをデザインすることになる、とのこと。
GACバルケッタ・コンセプトはこんな車
そこでこのGACバルケッタ・コンセプトを見てみると、異常に低い車高と(半)オープンホイールを持つクルマであり、サイドも「オープン」。
ホイールはワイヤー風を採用。
なお、キャビンはパネルにて完全に閉じることができ、シート後方のロールバー的突起物も完全に収納が可能です。
なかなかに面白いデザインを持つクルマですが、構造そのものもユニークで、見る限りだと前後にダブルウィッシュボーン(プッシュロッド式)サスペンション、そしてリアにはインホイールモーターが2期(左右それぞれに)内蔵されているようですね。
GACの新しいデザインスタジオはこんな感じ
そしてこちらがGACが新しくオープンさせるデザインスタジオ。
見てわかる通り集まった人々の殆どが欧米人であり、実際にスタッフも欧米人が多いのかもしれません。
そしておそらくは様々な自動車メーカーから多数の有力デザイナーを引き抜いたのだと思われ、今後は競争力を発揮するクルマをデザインする可能性もありそうですね。
なお、現在中国の自動車メーカーはエンジニアリング、デザイン両方の側面から大きく力をつけており、エンジニアリング面だと「合弁」によって日米欧の自動車メーカーから多くの技術をトランスファーすることでそれを成し遂げています。
-
BMWで17年務めたデザイナーが中国・長安自動車に移籍、そこで発表したAvatr 011がカッコいいと話題に。なぜ欧州有力デザイナーは中国の自動車メーカーに移るのか
| カネのこともあるだろうが、おそらくは伝統や組織に縛られず、デザイナーとしてやりたいことをできるのが中国なんじゃないだろうか | デザイナーはもともと自己表現意欲が強く、中国自動車メーカーは高いデザ ...
続きを見る
デザインについてだと、やはり多くの著名デザイナーの引抜きによってそのデザインパワーを上げているのだと考えられますが、中国の自動車メーカーはお金があるため比較的容易にデザイナーを引き抜くことができ、かつ「見栄え重視」という文化的価値を持っているのでデザインのプライオリティが高く、デザイナーの意見を非常に重視し、比較的個性を尊重する、とも言われていますね。
かつ中国の自動車メーカーは歴史が浅く、よって過去のデザインに囚われることなく新しいデザイン、そして新しい時代を作ってゆくことになりますが、デザイナーにとってこれが魅力的に映るのは間違いなく、よって多くのデザイナーが「中国を目指している」とも。
-
【動画】元フェラーリやマクラーレンのデザイナーが中国自動車メーカーの躍進を語る!業界トップレベルの認識では「中国メーカーはすでに侮れないポジションにいる」ようだ
| ボクらからすれば「中国の自動車メーカーはまだまだ」だという認識もあるが | もうじき、日米欧の自動車メーカーは「対中国車戦略」を真剣に考えざるを得なくなるのかも さて、フェラーリ、BMW、ミニ、マ ...
続きを見る
このGAC R&Dセンター・ヨーロッパは、イタリア・ミラノのデザイン地区であるトルトーナ通りに位置しており、この建物は、ミラノの著名な写真家、作家、詩人である故ジョバンニ・ガステル氏のスタジオとして使用されていたものだと紹介されています。
GACによれば、この新社屋が「イタリアをはじめ世界中から才能ある人材を迎え入れる、グローバルなデザイン拠点」になることを期待しているといい、車両デザイン、エクスペリエンスデザイン、ビジュアルブランディングの分野で活躍する25人の従業員からなるチームのリーダーは、フランス人自動車デザイナーのステファン・ジャナン。
ルノー、ダチア、アルピーヌ、サムスン、インフィニティ、日産で働いた後にGACに入社したといい、同氏は「カーデザイナーにはインスピレーションが必要で、大都市はその時代のトレンドを取り入れるのに理想的な場所」だと語っていて、いかに新しいセンターの立地が重要であるかということ、そしてスタジオを「完全にデジタル化する」ことにも触れています。
GAC R&Dセンターのジャン・ファン副社長は「デザインはGACグループにとって最も重要な価値の一つであり、今日の市場において、お客様にとって重要な決定要因です。私たちがミラノをヨーロッパ初のデザイン拠点に選んだのは、活発なアイデアに溢れ、イノベーション、スタイルとデザインの遺産を組み合わせた、文化的かつ創造的な強いアイデンティティを持つ都市だからです。この拠点によって、わが国とイタリア、そして世界の間で創造的な資源が出会い、最先端のアイデアが展開されることを確信しています」とコメントしています。
あわせて読みたい、GAC関連投稿
-
ポルシェとNASAがコラボ?中国の自動車メーカー、GACのデザイナーが突如ナゾのレンダリングを公開
| たしかにかつてポルシェは「月面車」を設計したことがあるが | そして今、多くの自動車メーカーが宇宙を目指している さて、中国の自動車メーカー、GACにてデザイナーを務めるアレクシス・ポンセレット氏 ...
続きを見る
-
トヨタやホンダと提携する中国自動車メーカー、GACが0-100km/h加速1.9秒のハイパーカー「アイオン・ハイパーSS-R」を発表!2630万円~にて本当に発売するようだ
| 本当に生産できるのかは疑問であり、そして生産できたとしても売れるとは思えない | もはやハイパーカーを公開することで名前が売れる時代は過ぎ去ったと思うが さて、日本はもちろん世界レベルでもまったく ...
続きを見る
-
レクサスLM、アルファードへの対抗?中国にて、トヨタの合弁相手であるGACがレクサス顔負けの巨大グリルを持つ「M8」発表
| 中国の自動車メーカーは合弁によって吸収した技術を使用したクルマにて攻勢をかけ、合弁相手をも苦しめる | もしかすると海外の自動車メーカーが事実上「締め出し」をくらう日が来るのかも さて、トヨタ、ホ ...
続きを見る