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| ジェネシスは「後発」ではあるが、後発の利点を活かしてライバルを研究し、それに独自性を加えるという展開を行っている |
とくにそのハイパフォーマンスブランド「マグマ」では韓国らしさという排他性を押し出している
さて、わずか10年ほどでその存在価値を高めることに成功し、さらにはル・マン24時間レースに参戦するなどその活動範囲を広げつつあるジェネシス。
このジェネシスは韓国ヒョンデのプレミアムブランドですが、「プレミアムセグメントにて成功を収める」ことは容易ではなく、たとえばフォルクスワーゲンもこれに失敗し、DSもまた同様かもしれません。
それでもジェネシスがこの分野において成功を収めたのはある種の神話だと表現しても良いかと思いますが、ジェネシスは現在さらなる重要なフェーズを迎えており、今回ジェネシスのプロダクトプランニングディレクター、アッシュ・コーソン氏の談話が公開されています。
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ジェネシスがハイパフォーマンスブランドで重視するのは「本物らしさ」
アッシュ・コーソン氏はレクサス”Fスポーツ”立ち上げに重要な役割を果たしたとされる人物で、これまでにも様々な自動車メーカー、ヒョンデでの役職において11ものプロダクトラインの成長と立ち上げを手掛けており、昨年末にジェネシスのプロダクトプランニングを担当することになったばかりだと説明されています。
そして今回同氏が語ったのは「レクサスのF」に相当するジェネシスのハイパフォーマンスブランド「マグマ」について。
このマグマは「ハイパフォーマンス、ラグジュアリー」を標榜したブランドで、このラグジュアリーという要素はライバルのハイパフォーマンスブランドにはない部分でもあり、ここが大きなキーになると考えているもよう。
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「たとえば、ヒョンデ・アイオニック5Nはグループの中でも最高の製品の一つです。その理由は、走行の楽しさやエンゲージメントにあります。そこが本当に優れている点だと思います。ただ、”マグマ”の話をすると、それはまったく異なる存在です。マグマの起源は韓国にあり、まさに火山のようなものです。
その表面下には膨大な力が秘められています。パフォーマンスアートとも言えるでしょう。これがその方向性を考える上での良いアプローチだと思います。音や感触、操作の触覚的な性質、そしてその精密さなどが大事だと思います。
「ゴードン・マレーのT50や、ブガッティ・トゥールビヨンの”腕時計のような”メーターに見られる精密さにも共通するものがあります。業界には素晴らしいものがたくさんありますが、その共通点はエンゲージメントだと思います。マグマは、今市場にある他のものよりも、製品レベルで深い感情を呼び起こすことができる製品になると考えています。」
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つまり同氏は「マグマ」において、単にパフォーマンスが優れるだけではなく、ある種の”所有する楽しみ”のようなものを追求したいと考えているようですが、レクサスでFスポーツブランドの開発に長年関わっていた立場から見ると)レクサスはFスポーツを多様化しすぎていると捉えており、よってマグマを「より本物らしく保ちたい」とも述べています。
「ル・マンでレースを行うことを発表したことは本物らしさの証です。自分たちが顧客に提供するものに対して本物で信頼性があることを確保する必要があります。GV60 マグマにはその信頼性があります。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでのヒルクライムを制覇し、賞を受賞することも確実です。私たちの意図は、これをただの販売促進のために使うことではありません。私たちが話している感覚、触覚、視覚、音、匂いを提供することが重要で、利益のためにそれらを希薄にすることはできません。」
参考までに、ヒョンデのハイパフォーマンスブランド「N」を長年率いていたのは元BMW「M」のトップであったアルバート・ビアーマン氏ですが、同氏もまた「BMWは”M”を濫用していて、どんなモデルにも(Mスポーツ含め)設定があり、本物らしさを失っている」とコメントしたことがあり、アッシュ・コーソン氏もまた同じ意見を抱いているのでしょうね。
加えてヒョンデ / ジェネシスは北米に新しくデザイン拠点を開設していますが、ここでは「韓国」をイメージしたつくりがなされているといい、ヒョンデそしてジェネシスはこれまでの模倣から脱却し、そのルーツを強く前面に押し出した独自性を主張することとなりそうです。
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