| やはりピエヒ一族はポルシェに対し、強いライバル心を持っているのかもしれない |
そのデザインは異なれど、ボディサイズやパフォーマンス、価格はポルシェ911と近いものとなりそう
さて、ポルシェ創業者、フェルディナント・ポルシェの曾孫であるトニ・ピエヒが2019年に立ち上げた新興EVスタートアップ、「ピエヒ」。
トニ・ピエヒの父親はフォルクスワーゲングループの会長を努めたフェルディナンド・ピエヒなので、一族は揃って「カーガイ」なのだと言えそうです。
なお、会社立ち上げの際に発表されたコンセプトカーは「マーク・ゼロ」と命名され、しかしその後「GT2」と解明するも、最終的には「GT」と名乗って2024年に発売されることになり(ポルシェから名称変更の依頼があったのかもしれない)、今回最終テストの段階に入ったとアナウンスされています。※これまでに公開されたプロトタイプに比較すると、デザインもちょっとだけ変更されている
バッテリーの開発パートナーは香港のDesten Group、充電設備についてはQingdao TGOOD Electricと共同開発を行うと発表されており、そのせいか、オフィシャルフォトも上海万博でメインを務めた”中国館”をバックにしていたものが公開されていますね。
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あらゆる面でポルシェ911を意識?
まずはフェルディナント・ピエヒから説明してゆくと、ポルシェ一族であるのに姓が「ポルシェ」でないのは女系一族だからで、母はポルシェ創業者であるフェルディナント・ポルシェの娘であるルイーゼ。
そのルイーゼがアントン・ピエヒと結婚してルイーゼ・ピエヒとなり、その後に生まれたのがフェルディナント・ピエヒということになります。
このフェルディナント・ピエヒは1963年にポルシェに入社することで自動車業界のキャリアを開始しますが、1972年には「ポルシェの親族が会社の中枢を占めるのは良くない」という機運が社内で持ち上がったため、同じ立場にあるポルシェ一族ととともに退社し、その後はメルセデス・ベンツ、アウディと渡り歩き、アウディでは「クワトロ」を開発することで大きく成長に貢献しています(ポルシェはフェルディナント・ピエヒを追い出すべきではなかった)。
その後はフォルクスワーゲン・アウディグループにて出世街道をひた走り、2012年にはポルシェを同グループに併合するに至りますが、これは同氏なりの「復讐」であったのかもしれません(女系ということで”ポルシェ”本家にコンプレックスがあったといい、ポルシェを追い出される形で去ったことから、恨みもあったという)。
そして、その息子であるトニ・ピエヒが折に触れて「恨み節」を聞かされていた可能性も皆無ではなく、よって「打倒911」をここで目指したの可能性もありそうです。
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サイズはポルシェ911同様、バッテリーは「空冷」
そして今回のピエヒGTですが、古典的なロングノーズ・ショートデッキを採用しながらも、そのボディサイズは「ほぼポルシェ911と同様」。
スタイルが平凡でシンプルなことについては、「新しさを狙うと、逆にすぐに古くなる」と考え、あえてクラシカルかつタイムレスなデザインを採用することで「時の流れを感じさせない」ようにしたのかもしれません。
パワーソースは「ピュアエレクトリック」で、フロントとリアに1つづつエレクトリックモーターを搭載し、トータルでの出力は600馬力。
車体重量は1800kg、0-100km/h加速は3秒だと伝えられています。
なお、EVにしては「1800kg」という重量は相当に軽く、これを可能としている一つの要因が「空冷バッテリー」で、もしかすると、すでに空冷を捨てたポルシェ911に対する「あてつけ」の可能性も。
ピエヒは今後「SUV」「セダン」も発売予定
今回のピエヒGTに搭載されるバッテリーは上述の通りDesten社によって開発された「パウチセル」で、これは従来の電池に比べて軽量化、低温化、急速充電が可能になったと主張しています。
同社によると、GTはゼロから80%までの充電をわずか8分で行うことができ、フル充電時の航続距離は約500キロ。
パワーパックは、重量配分適正化と低い着座位置を実現するために、フロアではなく車の中央部とリアアクスル部に配置されていて、ピエヒ社は、この車のアーキテクチャーは柔軟性に富むため、他のセグメントにも容易に適応できるとし、SUVとスポーツセダンを開発中であることも公言(水素にも対応できるようだ)。
ピエヒによれば、初年度は年間1200台のペースで生産され、2024年から欧州、米国、中国で販売される予定だといい、価格については明らかにされていないものの、これもポルシェ911を意識した設定になるのでは、と言われています。
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