| ポルシェ718ケイマンのインテリアについて思うこと |
さて、納車されたポルシェ718ケイマンのインプレッション、「インテリア編」。
やはり外装同様、試乗車に乗るのと、自分のクルマとして乗るのとではまったく見方が異なり、納車されてみると色々なところに気づきます。
運動性能とは裏腹に、これまでポルシェは内装にあまりお金をかけてこず、とくに911やボクスター/ケイマンといったスポーツモデルにおいてそれは顕著(ただし次期911=992では大きく改善されそう)。
よって、ぼくが718ケイマンの内装から受ける印象も、「もうちょっとこうだったら」というものが多くなっています。
ドアの開閉音がちょっと空冷っぽい
これまで981ボクスターに乗っていた際はオープンであったためかそう感じることはなかったものの、718ケイマンではドアの開閉音が空冷ポルシェに近い、と感じます。
つまりは「ガチン」という金属音が聞こえるということですが、正確に言うと996以降の911が持つ「バフン」という音の中に空冷っぽい音が混じっている、ということですね。
キーは手で回してエンジン始動
これは最新モデルであっても採用されている構造ではありますが、「エンジン始動はキーを捻って行う」。
イマドキのクルマはほとんどが「プッシュ式エンジンスターター」を採用しているものの、ポルシェが頑なに譲らない部分でもありますね。
ポルシェはルマン式スタート時に「ちょっとでも速くスタートできるよう」に左ハンドルでもキーシリンダーを左側に配置したり、キーとシリンダーそのものの重量にも妥協しなかったり、とキーとスタート方式には一家言あるメーカー。
そして多くのメーカーが簡単に「ボタンでスタート」方式に移行する中、伝統の方法を採用するのは「エンジンをスタートさせる」という行為をどのメーカーよりも重要視(神聖視ともいえる)しているからだ、とも考えています。
ちょっと気になるのはフルエレクトリックモデルの「タイカン」では始動(起動)方法はどうなるのか、ということ。
順当に考えるとEVなので「ボタン(スイッチ)で起動」となりそうですが、ポルシェが伝統を重視し、またユーザーエクスペリエンスを重視して、あえて「キーを捻ってスタート」とするのかどうか、ということですね。
ウインカーレバーのタッチ
ポルシェは水冷世代へ移行した後、ウインカーレバーのタッチが悪化しています。
気持ちの良いクリック感がないということですが、その後997/987世代でやや改善し、991/981世代でもちょっと良くなったとは思うものの、718世代でも「まだまだ」。
997世代のような「パキッ」という何かが折れたような音は出ませんが、アウディやフォルクスワーゲンのような「すっと入る」タッチには程遠いようです(硬いとかそういった話ではなく、単にタッチが悪い)。
なお、今までに試乗含めて乗ったクルマで、ウインカーのタッチがもっとも良かったメーカーはレンジローバー。
レンジローバーというと貴族的というか紳士的なイメージですが、「ウインカーのタッチすら紳士的だ」と驚いたことを覚えています。
シフトレバー(PDKセレクター)の操作感
こちらもウインカーレバー同様、「イマイチ」だと思うところ。
やはりクリック感に乏しく、「そのレンジに入っているのか入っていないのか」が直感的にわからないということで、ここも同じグループに属するアウディやフォルクスワーゲンに劣る部分。
ですが、次世代では物理的にレバーを操作するのではなく「スイッチ」に変更される可能性が大きく、こういった不満を抱くのも718世代限りなのかもしれません。
なお、ポルシェはマニュアル・トランスミッションの場合は「ゲートに吸い込まれるように」シフトレバーを気持ちよく操作でき、これはあらゆるマニュアル・トランスミッション装着者の中でも「最も優れる」といっても過言ではないほど。
それだけにPDKセレクターの操作感についてはなおのこと不満を感じるのかもしれません。
意外とモノが積める
ケイマンはミドシップなのでフロントにトランクがありますが、その大きさは特筆モノ。
世代を重ねるごとに徐々に(設計の改善で)その容量が広くなっているように思われ、718ケイマンでは75Lのスーツケースを飲み込み、その上にさらに小さなバッグも載るほど。
加えてリアにも比較的大きな収納スペースがあり、これは「後ろにエンジンがある」ということを考えると驚くべき広さ。
981ボクスターに乗っていた頃も、BMW Z4、メルセデス・ベンツSLC、アウディTTロードスターといった「フロントエンジンレイアウトのオープンカー」よりも広いリアの収納スペースに驚かされましたが、まさに「ポルシェの真髄は(初代911が目指したように)パッケージングにあり」、そしてそれはほかのどのメーカーも真似できない、と考えています。
本当にこれだけのカーゴスペースを確保したというのは驚きでしかありません。
ただし座席後部の収納スペースは絶望的
一方でシート後方にモノを置く場所はなく、室内に何かを置こうとすれば助手席か、そこに人が乗っていれば足元か、そして手を伸ばしてリアのカーゴスペースに置くよりほかはなさそう。
なお、リアの荷室にはこういったバーがあり、これはアルミ製。
ストラットのカバーもアルミ製で、「スピーカーのような」デザインを持っています。
内装照明が暗い
夜間に顕著ですが、ポルシェの内装は従来より「非常に暗い」と認識しており、それは718ケイマンも一緒。
暗い理由としては、メーターに視線を集中するという意図があるのかもしれないと考えますが(サーブはたしかメーター以外の照明を全部オフにする機能があった)、実際の理由は不明です。
とくにこういったセレクター脇の表示などが「光らず」、これはかなり珍しいところでもありますね。
ただし最新のカイエンではLEDにて無断階にその発光色を変更できる「アンビエントランプ」を内蔵しており、ここもポルシェにとって「変わりつつある」部分。
暗いほうがスパルタンで雰ヤル気が出るとは思うものの、ぼくとしてはやはり華やかなほうが好みであり、後に照明を追加しようと考えています。
ドリンクホルダーが不便
ポルシェのスポーツモデルにおいて、ドリンクホルダー(カップホルダー)はこんな感じで「展開式」。
通常は格納されているものの、使用時にはドリンクホルダーを展開する必要があり、これはドライバーからの距離や、見栄え的に「改善してほしい」部分ではありますね。
ただ、「ポルシェのスポーツモデル」というクルマの性格を考えると、「運転中は呑気に飲み物なんか飲むな」というポルシェの意思表示だとも考えられ、であればここはポルシェの考え方を尊重したいところ。※ランボルギーニの場合は、アヴェンタドール、ウラカンともにそもそもドリンクホルダーが装備されず、オプション扱い
ペダルがゴム
イマドキのスポーツカーにしては「ペダルがゴム」。
そしてこれをアルミ製に変更しようと考えると7万円くらいの出費を余儀なくされるのもちょっと困ったところ。
とにかくポルシェは標準装備が質素であり、ちょっと手を加えようと考えると「とんでもなくお金がかかる」クルマであるということがわかります。