| これまでに登場したカスタム・ロレックス・デイトナの中でも群を抜いた価値を誇りそうだ |
ダイヤルやケースバックのみではなく、ブレスレット含めて「あらゆる部分に」手が入っている
さて、ロレックスやパテックフィリップのカスタムを専門的に行うアルチザン・ドゥ・ジュネーブ(Artisans De Genève)。
これまでにも数々の作品を送り出していますが、今回は新作としてロレックス・コスモグラフ デイトナのカスタムウォッチ、「ポエトリー・オブ・ライツ」を公開しています。
このカスタムを依頼したのは「 宝石鑑定士の息子」だと紹介されており、”腕時計とジュエリーという2つの情熱を組み合わせたパーソナライゼーション”を求めたことからこのプロジェクトがスタートしたのだそう。
ロレックス・コスモグラフ デイトナ「ポエトリー・オブ・ライツ」はこんな腕時計
そこでこのロレックス・デイトナのカスタムウォッチ、「ポエトリー・オブ・ライツ」を見てゆくと、まず今回の依頼主は今回のプロジェクトにつき、以下のように述べています。
アルチザン・ドゥ・ジュネーブの職人と共有できたこの物語は、私にとってユニークな冒険であり続けるでしょう。 彼らの献身、専門知識、気配りは、このプロジェクトにとって非常に貴重であり、プロジェクト自体の進化と洗練が止まることはありません。 理想的なグリーン サファイアに目を向けるまでに、私たちは少なくとも9つのバージョンを検討しました。 自然は物事を正しく行うと信じているので、私はいつも宝石が大好きでした。
こういった「カスタムウォッチ」製作のプロセスはいつも「紙の上のデザイン」から始まるそうですが、アルチザン・ドゥ・ジュネーブ、そして依頼主との間で様々な意見を交わしながら完成状態のイメージを練り上げるのだそう。
なお、アルチザン・ドゥ・ジュネーブではこれまでにも様々なデイトナ、サブマリーナー等のカスタムを行っていますが、スケルトンダイヤル化はもちろん、レトロなニューマンダイヤル(しかもケースを加工してリュウズガードを削り取るなど徹底している)の再現、さらには「何十年も使用した日焼け風」や「腐食した風」ダイヤルを再現したことも。
-
参考ロレックス・デイトナ(116520)をエイジング加工してアンティーク風にカスタム!リュウズガードも削り落としてスモールクラウンへ、一方ケースバックはスケルトン
| 今や「超高額」なロレックス・デイトナをカスタムするのは勇気が必要となりそうだ | このロレックス・デイトナ「レトロカスタム」はけっこう人気が高いもよう さて、デイトナやサブマリーナー、ディープシー ...
続きを見る
アルチザン・ドゥ・ジュネーブは創業以来、腕時計に対する、あふれんばかりの情熱を持った顧客に対し、よりパーソナルな時計づくりを提供できるよう常に接してきたと語っており、これは時計職人がそれぞれの顧客の規範、好み、背景に応じて、それぞれの要望に応えるという職業的原点への回帰だと述べています。
つまり、どんな要求に対しても可能性を追求し、顧客が求めるスペックを実現するために自らの限界を押し広げてきたのがアルチザン・ドゥ・ジュネーブということになりそうです。
同じ色合いの石を揃えるのにかかったのは約2年
今回のクライアントは、時代を超越した美学を維持しながら、腕時計に対し”ジュエリーにインスピレーションを得たディテール”を加えたいと考えており、そのディティールがすなわち上述のグリーンサファイアということになりますが、ベゼルに埋め込む36個の「同じ色味を持つ石」を集めるのに約2年を要したとのこと。
ベゼルには美しくカットされた石が「伝統的なインビジブル セッティング技術」によってはめ込まれ、その仕上がりはまさに圧巻。
さらにケースには、透明度と輝きを重視して厳選された52個のダイヤモンドが手作業でセッティングされています。
そしてダイヤルはアルチザン・ドゥ・ジュネーブ得意のスケルトン。
ケースバックもスケルトン化されていますが、もともとデイトナのムーブメントはダイヤル / ケースバックともにスケルトン仕様を前提としておらず、つまり「見せる」ことを考えたつくりをもっておらず、よってアルチザン・ドゥ・ジュネーブでは手作業でカット、面取り、サンドブラスト、そして研磨を施すことになり、無煙炭仕上げによってさらに強化されることに。
ピンクゴールドのリューズは手作業で機械加工され、深さ0.30ミリメートルの溝が刻まれ、その後にはグリーンのラッカーを塗布して研磨し、さらに180度の熱を発するオーブンにて焼成することで耐久性を確保しています(一つ一つのパーツにとんでもなく手間がかかっている)。
ちなみに文字盤は天然サファイアの単一ブロックから作られたもので、そこにピンクゴールド無垢材のアワーマーカーとカウンターがセットされ、これらにはダイヤモンドポリッシュと伝統的なバフ仕上げによるサテンフィニッシュが施されています。
文字盤だけを見るとこう。
グリーン地の上に置かれているのでグリーン文字盤のように見えますが、実際には透明で、これをスケルトンムーブメントの上に被せているわけですね。
なお、巻き上げ用のローターはローズゴールドブロックから削り出したものだと説明されていて、まずは弓のこでカットし、クライアントの希望に応じて装飾と面取りを施しています。
ケースバックには「ARTISANS DE GENEVE」「POETRY OF LIGHTS」といった文字が彫られ、そのベースにはサンドブラスト加工がなされることに。
この「ポエトリー・オブ:ライツ」につき、これまでにアルティザン・ドゥ・ジュネーブがリリースしてきたカスタムウォッチの中ではもっとも高いレベルの技術が詰め込まれていると考えられますが、アルティザン・ドゥ・ジュネーブがこの腕時計にかけた想いは以下の通り。
クライアントはそれぞれ、独自のストーリー、情熱、願望を持っています。 これにより、私たちのワークショップは、クライアントのプロジェクトを実現し実現することに特化した場となるのです。 プロジェクト全体を通しての経験は、私たちに終わりのない興奮、喜び、そして忘れられない瞬間をもたらし、その過程におけるアドベンチャーは情熱と夢の実現から生まれたプロジェクトの完璧な例を示しています。 私たちは力を合わせて、その瞬間の証人を作り出すことができました。
合わせて読みたい、カスタムロレックス関連投稿
-
ロレックスのカスタム専門工房「アルチザン ドゥ ジュネーブ」がデイトナをカスタム!稀代のサイクリストのために「心拍数測定機構」を組み込む
| これまでのカスタムロレックスに比較して「スケルトンの範囲が広く」加工されていることが特徴 | 世界に二つと無い「自分仕様、そのルーツを反映した」デイトナの登場 さて、ロレックス(デイトナやサブマリ ...
続きを見る
-
伝説的ゴールキーパー、ジジのオーダーによる「カスタム」ロレックス・デイトジャストが公開!ギョーシェ加工にワンハンド化によりレトロな雰囲気に
| おなじロレックスでもデイトジャストを、しかもワンハンド化という発想はなかった | オリジナルのデイトジャストとは異なる、柔らかな印象に さて、限られた顧客のために限られた数の腕時計をカスタムするス ...
続きを見る
-
ロレックスGMTマスターIIの表裏スケルトンカスタム「ワールドトラベラー」公開!カスタム費用は556万円、安いと見るか高いと見るか?
| アルティザン・ドゥ・ジュネーブはこれまでにも興味深いカスタムをいくつも公開している | 表裏スケルトンにドルフィン針という先進性とレトロとのコンビネーション さて、スイスにて拠点を構える腕時計のカ ...
続きを見る