「BMWにはお礼を言いたい」
ロールスロイスは過去最高の販売を達成し、従業員数も過去最高となったと公表していますが、ロールスロイスCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏が「BMWの助けがなければ、これは実現できなかったことだ」と激白。
なお、これはクルマの開発のみを意味するのではなく「金銭」「プロモーション」におけるBMWのバックアップを指している、とのこと。
小規模メーカーにとって先端技術への投資は難しい
トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏によると「我々はBMWグループの一員となったことを嬉しく思うし、BMWがいなければ我々は間違いなく”死んで”いただろう」と語るとともに、「我々のような小規模かつプレミアムカーメーカーは投資がかさむため、技術や金銭による助けがなければ生き残ることができない」と語っています。
これはけっこう奥の深い話でもあり、かつての自動車というのは「性能」に依存していて、よって車体やエンジンの性能が優れていれば「いいクルマ」たりえたということになり、実際にロールスロイスやベントレー、ブガッティは「車の性能(と仕上げ)によって名を成すことに。
しかし現在の自動車業界においては、「車の性能」以外にも「先進的なインフォテイメントシステム「「優れた予防安全」「自動運転機能」「エレクトリック」という本来自動車に求められなかったようなジャンルもその「性能」のひとつとして要求されるようになっていて、これらは生産台数の少ない自動車メーカーにとってはあまりに開発コストがかさむ技術でもあります。
ただ、そういった技術を自社で開発せずに「買ってくる」こともできるものの、そうなるとその技術は二番煎じということになり、これはプレミアムカーメーカーにとっては価値を著しく下げることにも。
よってプレミアムカーメーカーは優れた車体やエンジンのほかにも「優れた先進性」「他社にはない技術」を盛り込まないと生き残れないということになりますが、ロールスロイスというビッグネームにとってもそれは例外ではなく、ここで役に立っているのが「BMWの技術」。
ロールスロイスは現在BMWグループの一因なので、ロールスロイス自身は車体やエンジン、優れた乗り心地の実現という「本来の」分野に注力し、安全性や先端技術、制御系については、BMWという世界有数の販売台数や研究設備を誇るメーカーが大金を投じて開発したものを活用できるという立場にあるわけですね。
そして、BMWとしてもロールスロイスを売れば売るほど利益が入ってくるので、それをうまくロールスロイスに転用することも当然考えることになります。
加えてトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOは「プロモーション」においてもBMWの助けが大きくロールスロイスの発展に貢献しているといい、各国への輸出の手続きや輸送はもちろん、各種モーターショーへの出展、販売する国でのディーラー展開(世界最大のロールスロイスディーラーはアブダビにあるが、これはBMWとの複合ディーラー)など、単独ではできないことが「BMW傘下にいることで」可能になった、としています。
これはロールスロイスのみではなくほかメーカーにも言えることで、たとえばランボルギーニが(ポルシェも)アウディ傘下に入り可能になったこと、ジャガー・ランドローバーがタタ傘下となってから成し遂げたことを見ても明らか。
重要なのは「共有できる部分は共有してコストを分散し、しかしそのブランドのもっとも強いところにコストを投じる」ということなのかもしれません。