| アンディ・パーマー氏は当面CEOのポジションを継続すると発表されていたが |
アストンマーティンCEOがアンディ・パーマー氏から(メルセデスAMGトップの)トビアス・メアース氏へと交代する、との報道。
この理由としては止まらぬ株価下落の責任を取らされるというものですが、つい最近、アストンマーティンはカナダの富豪にしてレーシングポイントF1チームのオーナー、ローレンス・ストロール氏の出資を受け入れたばかり。
そしてその際には「アストンマーティン会長にはローレンス・ストロール氏が就任するが、アンディ・パーマー氏は変わらずCEOを務める」とも発表されていただけに、今回の報道には相当な衝撃を受けています。
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アンディ・パーマー氏は元「カルロス・ゴーンの右腕」
アンディ・パーマー氏の小さい頃の夢は「自動車会社のCEOになること」で、この業界には16歳で入り、日産自動車ではナンバー2にまで上り詰めた人物。
カルロス・ゴーン氏の右腕と言われ、次期日産CEO最有力とみなされながらもスカウトによってアストンマーティンのCEO職へと(2014年に)ジョブチェンジ。
その後は「万年赤字で、何年に一度しか新型車を出せない会社」だったアストンマーティンを見事黒字化させ、「1年に何度も新型車を発売できる会社」へと変化させています。
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ただ、株式上場後から極端に販売が落ちてしまい、直近だと前年同期比で販売台数が1/3になってしまうなど苦境に立たされ、株価もそれを反映してズルズル下がることに。
しかしながら現在の「儲かっていない」状況としては、DBXの開発や、「ヴァルキリー」などハイパーカーの開発、それを皮切りにしたミドシップスーパースポーツへの参入にかかる投資がかさんでいることが背景にあり、それらのデリバリーが始まっていない状況下では「投下した資金が回収できていない」ため
今後はDBXのデリバリーがスタートし、ヴァルキリーやヴァルハラの納車も進むことで何百億円といううお金が懐に入ってくることになり、よって「未来は明るかった」はずですが、突然の解任劇となってしまったわけですね。
なお、同氏は「苦しいときこそ前に」というモットーを胸にアグレッシブな展開を続けてきたわけですが、それが裏目に出た、ということになるのかもしれません。
ただ、何もしなければこれまでのように「ジリ貧」が続き、様々な投資によって新しいジャンルへと進出するしか手がなかったのだと思われ、この環境下では「よくやった」んじゃないかとも考えています。
惜しむらくは、タワーマンションや潜水艦など「異業種」にまで進出してしまったことで、足場が固まるまでは自動車に集中したほうが良かったのかもしれませんね(これまでの色々な産業の例を見ても、同時多角化で成功した例は少ない。成功したのはいずれも”切り捨てた”企業)。
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トビアス・メアースはこんな人
そして新しくCEOへと就任するトビアス・メアース氏ですが、こちらは上述の通りメルセデスAMGのトップだった人。
メルセデスAMGとアストンマーティンとは「(AMGからの)エンジン等の供給」で繋がりがあり、メルセデス・ベンツはアストンマーティンの株式を少量ながら保持していたと記憶していますが(もう売ったというような話も聞いたことがある)、その関係でトビアス・メアース氏がメルセデスAMGから送り込まれたのか、それともメルセデスAMGを辞してアストンマーティンにやってきたのかは全く不明。
雰囲気としてはこんな感じのカジュアルな人で、歯に衣着せぬ発言、ジェスチャーを交えた熱弁が特徴だと認識しており、アストンマーティンというイメージとは「ちょっとギャップがある」感も否めません。
ただ、新しい会長のローレンス・ストロール氏はモータースポーツ色を強めてゆくようにも思われ、であればトビアス・メアース氏はある意味で「最適」な人物なのかも(同氏はメルセデスAMG Oneや、ブラックシリーズの開発を率いている)。
そして、もし「メルセデスAMGからアストンマーティンに送り込まれた」のだとしたら、アストンマーティンは「レーシングポイント」「レッドブル」「メルセデスAMG」という3つのF1チームと接点を持つ類まれな自動車メーカーということになり、ここに奇妙な関係が成立しそう。※ちょっと前だが、メルセデスAMGはアストンマーティンの株式追加取得や、これ以上の深い提携、買収は考えていないと発言
メルセデスAMGはかつてリンキン・パークとのコラボレーションによるグラフィックを持ったレーシングカーで走ったことがあり(メンバーの一人が芸術に明るく、自分たちのCDジャケットもデザインしていた)、今後のメルセデスAMG製EVが発するサウンドについてもリンキン・パークと共同にて制作しているとアナウンスされているので、その打ち合わせの様子なのかもしれませんね。
アストンマーティンのスポークスマンは今回のCEO交代を認めており、しかし「詳細は然るべきときに発表する」とコメントしており、これ以上の情報は正式発表を待つしかなさそうです。
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参照:The Guardian