| やむをえない犠牲だとはわかっているが |
アメリカはミシガン州、ディアボーン消防署が研修のためにフォード・マスタング・シェルビーGT500を切り刻み廃車にしたとして話題に。
マスタング・シェルビーGT500はマッスルもマッスル、超アメリカンマッスルなクルマであり、搭載されるエンジンは5.2リッターV8、出力は760馬力(フォードの市販車史上最高の出力であり、フォードGTの650馬力よりも強力)。
そのクルマを切り刻んでしまってもったいないと全米が騒然となっている、ということですね。
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実際は「試験用のクルマ」をフォードが提供
ただ、今回尊い犠牲となったマスタング・シェルビーGT500はフォードが提供した「試作車」であり、通常のクルマとしての販売はもちろん、登録もできない一台なのだそう。
たしかにミシガン州というとフォードのお膝元でもあり、すでに役目を終えた試作車を(消防署に)提供するというのは自然の成り行きかもしれません。
なぜ研修用にクルマを破壊?
なお、なぜ研修のためにクルマを破壊するのかということですが、これは緊急時の救助を想定しているため。
クルマというのは非常にデリケートなバランスの上に成り立っていて、迂闊にどこかをカットしたりすると車体全体の強度が保てなくなり、さらに危険な状態になることも。
よって、どうすれば乗員を安全に救出できるかを実車を使って練習することになるわけですが、過去にはポルシェが同様の理由にて車体を提供した、と報じられています。
なお、今後ハイブリッドやEVの販売台数が増えてくると、これまでのクルマと異なる構造や(感電などの)危険性をはらむ個体が増えてくることになり、これはこれでまた別途研修が必要となるのかもしれません。
そして自動車メーカーは新型車開発の際に数十台ものプロトタイプを製造すると言われ、なかにはクラッシュテスト等によって生き残れない個体もあるかとは思いますが、生き残ったクルマをこうやって「将来的に救う命のための役立てる」のは非常に有用かつ有意義な活用方法だと思います(切り刻まれるのはちょっとかわいそうですが、それで救える命があるのなら)。
https://www.facebook.com/DearbornFireDepartment/posts/2298475176964830あわせて読みたい、関連投稿
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