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「日産が北米市場以外ではガソリンエンジン開発終了」との報道→日産はこれを否定し「日本と中国でもガソリンエンジン開発を継続し、求める顧客がいる限りは作り続ける」とコメント

日産

| 日産は現時点で「完全にEVへとシフト」する予定はなく、あくまでも市場の求めに応じて自然に電動化を進めるようだ |

EVシフトの対応は「期日を設けて対応派」と「臨機応変に対応派」の2つに分かれるもよう

さて、昨日「日産が米国以外の市場に向けたガソリンエンジンの開発を終了させる」という報道がなされ、こういった行動は日本の主要自動車メーカーにおいて「初」だとされましたが、その後この内容は「事実とちょっと異なる」ことが明らかに。

簡単にいうと「日本と中国についてもガソリンエンジンの開発を続ける」ということになり、つまり「欧州市場向けのみ」ガソリンエンジンの新規開発が終了する、というのが正しい内容であるようですね。

なぜ事実と異なる報道に?

そこでいくつかの報道を見てみると、発端となった報道は「欧州でのエンジン開発を終了させるが北米ではエンジン開発を継続し、しかし日本と中国向けとしては”段階的に”縮小させる」という意図となっていて、しかし「日本と中国向けとして”段階的に”」という部分の時期が示されたいなかっただけに「日本と中国市場向けのガソリンエンジン開発が終了」という短絡的な受け止められ方をしてしまったようです。

ただ、日産がオンラインにて開催した2021年度の第3四半期決算発表会見」において、アシュワニ・グプタCEOは記者団からの「欧州、そして日本と中国向けのエンジン開発は本当に終了されるのか」という質問に対し、「欧州で新規ガソリンエンジンの開発が終わることは確かだが、日本と中国に関しては”それを求める消費者がいる限り”開発を継続する、としています。

なお、欧州でのガソリンエンジン開発終了については言うまでもなく「2025年以降に施行される予定のユーロ7」を考慮したもので、というのもこのユーロ7はどうやってもガソリンエンジン単体では達成できる見込みが低い規制内容を持っているため。

加えて、2035年以降はガソリンエンジンを搭載すること自体が(ハイブリッドであっても)禁止されることが決まっていて、もはや欧州市場ではガソリンエンジンが生き残ることはできないと見られています。

実際のところ、メルセデス・ベンツやルノー、アウディはガソリンエンジンの開発終了を発表しており、この流れはもう止めようがない、という感じですね。

しかしながら、アメリカ市場そして中国市場は今後もしばらくガソリンエンジン車の販売が継続される可能性が高く、これについてはアウディが「2026年以降に発売するクルマはすべてピュアEVになる」としながらも「ただし中国は例外」としていることからもわかり、日産も北米と中国向けとしては、競争力を保つために新型エンジンを開発する必要があると認識しているのだと思われ、それは日本も同じだと捉えているのかもしれません。

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そしてアシュワニ・グプタCOOが付け加えたのは「日産自動車は、NISSAN Ambituin 2030という長期目標を掲げましたが、その中では、”日本市場において、2026年までに新車販売の55%をEVにする”という数字を掲げているものの、言い換えれば45%は電気自動車ではありません。私達は電動化を進めてゆくことに間違いはなく、しかしそれは消費者のニーズに従い、自然にシフトしてゆく必要があります」。

つまり、消費者が望まない電動化は行わないということになり、逆に「市場が望めば」電動化がもっと速く起こりうるとも述べていて、このあたりは無理に電動化目標をかかげて達成しようというわけではなく、あくまでも「流動的」に進めるものだという含みを持たせている、ということになりますね。

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電動化への対応は自動車メーカー間で大きく差がある

なお、フォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス・ベンツ、ロータス等一部の自動車メーカーは「いつまでに完全電動化へのシフトを行う」とコミットしており、実際にそのための配置転換、工場の再整備も進行中。

一方でBMWやステランティスの一部ブランドについては明確な「EVシフト」の時期を示しておらず、日産もこちらの部類になるかと思われます(投入するEVの台数については明言しているが、ガソリン車を廃止して切り替えるとは言ってない)。

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現在のEVシフトはあくまでも政治家が(人気取りのために)進めているものだと考えてよく、自動車メーカーがEV重視の姿勢を打ち出すのも(トヨタの株価を見ても分かる通り)株主対策なのかもしれません。

そして、その公約を守ろうとしてEVへとシフトし、しかし消費者がそれについてこずにガソリン車を求めたとしたら、EVシフトを行った自動車メーカーはもう後戻りできず、そこで大きな損失を抱え、失業者を出してしまうのかもしれません。

そう考えると、やはり電動化は「消費者の求める形で」行われるべきであり、強制的に行うものではないのでしょうね。

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参照:Nikkei Asia, 日産自動車株式会社

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