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アルファロメオCEO「今までは販売台数稼ぎのため値引きもあったが、これからは違う。台数にはこだわらず、いかに1台を高く売れるかに注力し、BMWと同等の販売価格に引き上げる」

2022/02/17

アルファロメオ

| 時間とコストはかかるが、それが目指すべき正しい道だと思う |

購入価格が高くとも、売却価格が高ければ顧客にとってもデメリットにはならない

さて、先日「トナーレ」を発表したばかりのアルファロメオですが、今回(プジョーからアルファロメオにやってきた)ジャン・フィリップ・インパラートCEOが「BMWと並ぶ販売価格を実現し、高い収益性を追求することで立て直しを図る」とコメント。

加えて「以前は”工場や会社を維持するために販売台数を稼ぐ”ことに執着するあまり、登録済車の販売や大幅値引きを行っていたが、その時代は終わった」とも述べています。

つまり今後のアルファロメオは「いたずらに販売台数を追求するのではなく、1台あたりいかに多くの利益を得られるのか」に注力するということになりますが、これはどの自動車メーカーもが考えることであり、そして挑戦しつつも達成自体が非常に難しい目標でもありますね。

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アルファロメオは「トナーレ」からすべてを変える

上述の通り、アルファロメオはトナーレを発表したところではあるものの、このトナーレについては保証期間の延長、そして適切なメンテナンスの提供、さらにはメンテナンス履歴の可視化によって「高い残存価値」つまり中古相場を維持することを目指していて、要は「新車を高く売るならば、中古相場を上げるしか無い」という課題に真剣に取り組むということに。

なお、中古相場を上げるというのは簡単なことではなく、この達成のためには多大なコストと期間を要します。

中古相場はそのクルマの新車価格とは別に「人気」で形成されることになりますが、この人気は「需要と供給」「リセール」「耐久性・信頼性」など様々な要件にて形成されることに。

そしてこの中古相場が高くなれば、それだけそのクルマが評価されているということになり、新車も高い価格で売れるようになわるわけですね。

もちろん、この中古相場は「市場に任せるまま」では一向に上がることはなく、よって自動車メーカーが「上げる」ための努力を行わねばなりません。

その努力のうちの大きなものは「価格維持」であり、たとえば自社直営、もしくはディーラーの経営する中古車販売店においては「あえてクルマを高く売る」必要が出てきます。

そうすれば、ほかの一般の中古車販売店は安売りをする必要がなくなり、正規中古車販売店よりも「ちょっとだけ」安くすればいい、という状況が出来上がることに(そうすれば、もっとも高い利益にて中古車が売れる)。

ただ、これはメーカー直営、そして正規ディーラー経営の中古車販売店が「在庫を抱える」ということになり、体力を奪われることになるので、かなり難しい手法なのは間違いがなく、そうとうな覚悟が必要です。

アルファロメオ

そしてもうひとつ、中古価格を維持するために重要なのは「品質の維持」。

市場に出回っている中古車がボロボロだったりすると、当然ながら中古相場も下がってしまい、よって自動車メーカーは「自社のディーラーにてちゃんとメンテナンスを行い、最適の状態にクルマを保つ」必要が出てくるわけですが、放っておくと顧客は(整備コストの高い)正規ディーラーに整備を依頼しないので、これについても自動車メーカーがコストを負担して「無償メンテナンスパッケージ」等を付与し、正規ディーラーへと入庫させやすい環境を構築することになります。

この手法で有名なのは、フェラーリの「7年間無償メンテナンス」。

一見すると、メーカーやディーラーにばかり負担が生じ、なんらメリットがなさそうではありますが、一旦販売したクルマのコンディションを高いレベルに保ち、市場価値を維持することで中古相場を間接的に上げることに繋がるため、フェラーリは「長い時間と多大なコスト」をかけて取り組んでいる、ということになりますね。

つまり自動車メーカーは「新車を売る」だけではなく、売ったあとのことまでもメンテナンスしてゆかないと、あっという間に中古価格が下がってしまい、同時にブランド価値も下がり、「値引きしないと売れない」ということに。

逆に、中古相場を高値に維持したり、メンテナンス料金を負担すると莫大なコストがかかるものの、「あのメーカーのクルマは高く売れるから」ということで人気を呼び、結果的に新車価格を高く設定することが可能となって、回り回って利益に結びつくわけです。

アルファロメオはここから長期戦に挑む

現在、アルファロメオの販売は約20年前に比較すると1/8にまで縮小してしまい、しかも車種が減ってきている現在では「さらに販売が減る可能性が大」。

ただし、ここで(上述のような)中古相場の放置、メンテナンスコストを客へ押し付けるといったことがあれば今後の回復は見込めず、よってブランドを回復させるには「新車だけではなく」もっとほかのことも行ってゆくもの必要があるのは間違いのないところ。

なお、アルファロメオの親会社であるステランティスは、「傘下のブランドの再生のため、10年の猶予と資金を与える」ともコメントしていて、アルファロメオはその「10年と資金」を活用し、コストと時間をかけ、新車を開発する傍ら、販売したクルマ、そして中古市場についてもしっかりメンテナンスを行ってゆこうということになるのだと思われます。

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参照: Autonews Europe

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