| ロールスロイス・ボートテイルの車体も素晴らしいが、その「付属品」もまた素晴らしい |
ロールスロイスは「次なるワンオフモデル」に取り掛かっているというが
さて、ロールスロイスは(ブガッティ・ラ・ヴォワチュール・ノワールよりも高価な)「自動車史上最高額」となるスペシャルモデル”ボートテイル”を2021年に発表していますが、今回はその2例目が公開されています。
ワールドプレミアは2022年5月21日2回されるコンコルソ・デレガンツァとなり、しかしそれに先駆けてオンラインにて画像がリリースされ、ロールスロイスによれば「父親と家系へのオマージュ」として顧客からの依頼を受けて製作したもので、ロールスロイスが誇るコーチビルドの頂点に位置するモデルだと紹介されています。
ロールスロイス・ボートテイルは3台のみが製造
このボートテイルの名は、1920年代から1930年代にかけてごく少量のみが製造されたシリーズ、そしてヨットの形状に由来しているといい、20世紀初頭のレーシングヨットからインスピレーションを得た独特のアウトラインを生み出すためにボディパネルは広大なアルミニウムの一枚板から作られ、もちろんすべて手作業で加工されています。
実際に車体後部は完全に「ヨット」を連想させますね。
ロールスロイスはこれを3台のみ製造するとしていますが、それぞれ固有の仕様を持ち、一台目のボートテイルは「そのオーナーが所有する、1932年製ロールスロイスの仕様を模した」もの。
なお、今回の2台めに続く3台めについては、そのオーナーが「非公開」を希望しているため、一般に公開されるボートテイルは1台め、そして今回の2台めのみとなります。
ちなみにこの2台めに採用されるパンテオングリルは無垢のアルミニウムからの削り出し、そしてスピリット・オブ・エクスタシーはローズゴールド。
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今回、2台目のボートテイルを公開するに当たり、ロールスロイスCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏は「コーチビルドは、ハウス・オブ・ラグジュアリーとしての私たちの仕事を新たな次元に引き上げるものであり、私たちの業界におけるオートクチュールなのです。依頼するお客様に対しては、究極の個性、自己表現、ビスポーク・サービスを提供することになりますが、コーチビルドは、単なる美しい自動車ではなく、お客様一人一人にとって非常にパーソナルで心に響くものを体現するレガシーでもあります。同時に、デザイナーにとっても、コーチビルドは比類ない創造の自由をもたらし、デザイン、素材、エンジニアリング、クラフトマンシップを最高レベルにまで高める機会を与えてくれることになり、ロールス・ロイスというブランドにとって、これは原点回帰であると同時に、従来の自動車製造における不可能を見事なまでに現実のものとする、現代の革命でもあるのです」と述べています。
この「2台めの」ロールスロイス・ボートテイルについては、上述の通り「家系へのオマージュ」となりますが、真珠産業において財を成し、尊敬を集める父親の出自に敬意を表して「マザー・オブ・パール」と命名されることに。
そしてこれをオーダーした顧客は世界中を旅し、国際的な教育を受け、国際的な嗜好や影響を受けてきたとされ、芸術品のコレクターであるとともに、さらにクラシックカー含む自動車の大規模なコレクションを所有し、専用のプライベートミュージアムに収蔵している、とのこと。
その仕様は「ラグジュアリーを知り尽くした」ものならでは
つまりこの顧客は世界中の高級品やラグジュアリーな体験を知り尽くしているということになり、それがこのボートテイルにも現れており、デザインは全体的に控えめ、しかし素材やディテールにこだわった仕様となって現れているようですね。
この依頼を行う際、その顧客はロールスロイスのコーチビルド・デザイナーに対し、自身のプライベートコレクションから特別かつ複雑な色合いを持つ4つの真珠貝を選んで見せ、この貝殻が”ロールスロイスがこれまでに制作したビスポーク仕上げの中で最も複雑なもののひとつ”となるエクステリアカラーのインスピレーションとなったもよう。
この色のベースは、オイスターとソフトローズのブレンドであり、そこにホワイトとブロンズの大きなマイカフレークが散りばめられ、光の加減で微妙に変化する表情を与えることに。
ボンネットのカラーは「コニャック」で、このボートテールのために特別に作られたものだと紹介されており、ブロンズとゴールドのアルミニウムマイカフレークにクリスタルとアイスマットクリアコートを重ね、外観に温かみと深みを与えています。
ボートテイル独自の「バタフライデザイン・ホスティングスイート」が収められたリアデッキはロイヤルウォールナット材で覆われ、ローズゴールドプレートのピンストライプがはめ込まれた上でサテンブラッシュ仕上げが施されています。
このロイヤルウォールナット材は経年変化による美しさを考慮して顧客自身がセレクトしたものだといい(となると、同じように見えるウッドデッキでも3台のボートテイルそれぞれは異なる材質持つことになりそう)上から見ると、マットクリア仕上げによって”氷で覆われたように見える”ボンネットとウッドリヤデッキが、光沢のあるフロントとサイドのボディパネルと対照を成すように感じられるのだそう。
ロールスロイス・ボートテイルはどこまでも優雅だった
そしてボートテイルの特徴というとピクニックセットを内蔵した「ホスティングスイート」。
こちらにパラソルを差しているようですね。
パラソルを挿すとこう。
パラソルの骨組みもカーボンファイバー、そして金属部は磨き上げられたアルミニウムです。
こちらはピクニックセット。
カトラリーはローズゴールドフィニッシュとなっており、これだけで軽く数百万円はしそうですね。
ランチボックスもロールスロイス特性で、レザー製のハンドルが取り付けられています。
付属する折りたたみ式の椅子のフレームにはローズゴールドの糸を織り込んだカーボンファイバー。
インテリアの画像はあまり多くが公開されておらず、もしかすると所有者を特定できる紋章などがあるのかもしれません。
ロールスロイスによれば、エクステリアとマッチしたコニャックとオイスターカラーのレザー、ロイヤルウォールナットの化粧パネルが用いられ、随所にローズゴールドとマザーオブパールのアクセント施されている、とのこと。
メーターパネルやクロックの文字盤は真珠貝(自身のコレクションの中から選んだものなのだそう)、そして針はローズゴールド仕上げとなっているようですね。
なお、レザー表面にはパール仕上げが用いられているといい、このほかところどころに真珠貝が使用され、その家系とルーツを視覚的に表現することとなっています。
ロールスロイスのコーチビルドデザインにて責任者を務めるアレックス・イネス氏によれば「ボートテイルは、創意工夫と創造的な自由における一歩進んだ変化です。通常の工業化された手法では不可能なことを成し遂げ、課題を解決することができるのです。現代的自動車、そして歴史的な技術と伝統的な工芸品という2つの異なる世界が融合した芸術作品であり、まさにオンリーワンなのです」とのこと。
こういったワンオフモデルについて、法規や安全性を個別に適合させる必要があるため「単にカスタムする」以上の難しさがあると言われますが、それでも非常に大きな利益を生むことは間違いなく、ロールスロイスとしてはこういったスペシャルモデルやワンオフモデルの展開を拡大するという声明も出しており、「次なる特別モデル」の発表に期待したいと思います。
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参照:RollsRoyce