| ツイてないという一言で片付けることもできるが、基本的にはホンダらしさを失い、日和ったことがその理由だと思う |
そしてホンダは「引き際」のタイミングがあまりにも惜しい
さて、ここ最近の国内自動車登録状況を見ていて思うのが「スポーツカーが売れている」ということ。
たとえばGR86やマツダ・ロードスターといったクルマがコンスタントにランキングに入り、とくにGR86は発売以来ずっと好調を維持していると言っていいかもしれません。
スポーツカーというと、ちょっと前までは「売れない」「人気がない」クルマの代名詞であり、存在そのものや、スポーツカーに乗っている人に対しても(世間が)あまりポジティブな印象を持っていなかったように思います。
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なぜ状況が変わったのか?
そこでちょっと不思議に思うのが「なぜこういったことになったのか」。
これには複数の要因があると思われますが、まずコロナウイルスのパンデミックが関係している可能性が大。
密を避けてクルマで出かける機会が増えるようになったこと、そんな中で「走る」という行為が(楽しみのためにせよ、ストレス発散の手段にせよ)再注目を浴びた可能性が高く、コロナ以降は世界中でスピード違反が増え、その速度も高くなったと報じられていますね。
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さらに日本ではルーレット族が話題になり、さらには暴走車による大きな事故も発生しています。
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そしてもうひとつ要因として考えられるのが「ガソリン車やMT廃止の動き」。
現在欧州を中心にEV化が加速しており、2035年にはガソリン車の販売ができなくなる地域や国が出てくると予想されるほか、そもそもスポーツカーの販売が(CO2排出量規制によって)できなくなっているケースも。
実際にマツダ・ロードスターの一部モデルは欧州で販売されず、GR86の販売台数も制限されている状態です。
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さらにはマニュアル・トランスミッションだとエミッションの制御が難しく、加えてハイブリッドとの組み合わせが困難であり、MT廃止を決定するメーカーがほとんどといった状況ですが、こういった環境が「スポーツカーやマニュアル・トランスミッション絶滅の危機」だと捉えられているとしても不思議ではなく、「今しか乗ることができないスポーツカーや、マニュアル・トランスミッション車に乗っておこう」と考える人々が多く登場したのだとも考えられます。
ホンダはやはり波に乗れない
そこでホンダについてですが、ホンダは90年代に「フィット」「オデッセイ」「ステップワゴン」といったヒットを連発し、ある意味では自動車のトレンドをつくり、そして牽引した自動車メーカー。
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ただ、それらがヒットしすぎたことでトヨタに狙い撃ちされたことから運命の歯車が逆転し始めたのだともぼくは考えていて、ホンダがヒットさせたクルマはすべからくトヨタによって駆逐されるまでに至ってしまい(フィット、オデッセイ、ステップワゴンに加え、ストリーム、CR-Vも同じ)、トヨタに目をつけられてしまったのがホンダにとって運命の分かれ目になったのかもしれません。
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のちにホンダは軽自動車に活路を見出し、そこで新たなる(トヨタが追ってこれない)市場を形成するものの、軽自動車は利益率や利益額ともに小さく、よって業績を好転させることができず、経済産業省からは「このままでは危ないので日産と合併しては」と言われるまでに落ちぶれてしまいます。
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なお、儲からなくなった理由としては、「単価の低い方にシフトしてしまった」こともありますが、近年の自動車においてはエレクトロニクス化、そのほか様々な構造において複雑化が進むものの、ホンダは他社との提携を嫌って「純血主義」を貫いたために開発コストを吸収できなかったことが大きそう(多くの自動車メーカーは、他社との提携により、巨額の開発費を分担している)。
そしてホンダはもともと「ローカライズ」を重視する会社だったので(これは本田宗一郎の意思による)、仕様地ごとに異なる仕様のクルマを乱発してしまい、この開発や製造・販売コストが経営を圧迫してしまったわけですね。※フォルクスワーゲンはこの逆で、グローバルモデルをほぼ世界共通の仕様で販売することで利益率を向上させている
そしてスポーツカーはその犠牲に
こういった感じでその経営方針が現代にマッチしなくなったホンダですが、「人気車種をトヨタに潰され」、そしてハイブリッドについてもトヨタには対抗できなくなり、巨費を投じたアシモプロジェクトも利益を出せないままに終了してしまい、とてもスポーツカーを作ることなどできず、一時はスポーツカーを持たない自動車メーカー」になってしまったことも。
NSXについては何度か復活の話もあり、しかしその都度リセッションによって開発が凍結され、ようやく発売した二代目NSXも存在感を発揮できずライフを終え、あれだけ話題になったS660の人気も続かず生産終了に、そしてシビック・タイプRも売るタマがないといったのが現在の状況ですが、それを尻目に販売を伸ばしているのが上述のマツダ・ロードスターやGR86といった面々です。
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こういった流れを見ると、ホンダはある種の不幸に襲われ、しかしやることなすことが裏目に出て、そして行動も時代にマッチしていないという苦労を背負っているように見えますが、「F1撤退の後にF1人気が加速したり(その前のブラウンGPの件もある)」「スポーツカーの販売を終了した途端にスポーツカーの人気が出たり」となにかとツイていないメーカーなのかもしれません。※他にも同様の例があり、それらについてぼくは一日中でも語れる自信がある
かつてホンダは「時代に先んじる」ことでその魅力を発揮してきたと認識していますが、今のホンダは「時代とズレている」としか言いようがなく、これはいちホンダファンとしてはちょっと悲しいことだとも考えています。
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