| たしかにBMWのいうことは一理ある。知ってもらわなければなにもはじまらない |
炎上だろうがなんだろうが、知ってもらえれば残る人はちゃんと残る
さて、BMWは「Mブランド2番めとなる専売モデル」としてXMを発表していますが、これについてはBMW史上最大のキドニーグリルを装着しているということが大きな話題となっています。
BMWのキドニーグリルの巨大化は先代7シリーズの後期モデルから始まっており、その後4シリーズやM3、M4に「ビーバートゥース」キドニーグリルが装着されることでBMWに対する風当たりがほぼMAXまで来ており、それでもXMにてさらにキドニーグリルを拡大したということは「BMWは批判に耳を貸す気はない」と考えていいのかも。
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BMWはモデルによってターゲットを明確に分けている
ただ、BMWはむやみにキドニーグリルを拡大しているわけではなく、その理由のひとつが冷却性能とエアロダイナミクス、そして重心。
キドニーグリルを大きくすることで冷却性能を向上させることができ、そしてここに冷却用エアとラジエターやオイルクーラーなどを集中させることで重心をセンターに集めることが可能となり、さらにはフロントのほか部分をより「エアロダイナミクス的に高い効果を得ることができるよう」設計することができるようになるわけですね。
こう聞くといいことづくめのように思えますが、その代償としてキドニーグリルがやたら目立ってしまうということに。
しかしながらBMWとしては全てのモデルにおいてキドニーグリルを巨大化しているわけではなく、5シリーズ、そして3シリーズのフェイスリフト版(LCI)ではキドニーグリルが小さい(小さくはないか・・・)まま。
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その理由としては、3シリーズや5シリーズは「比較的幅広い、様々な嗜好を持つ人々が購入する」ことを前提にして比較的普遍的なデザインを採用しており、しかし4シリーズや7シリーズ、XMについては「ほかメーカーのクルマに満足しない人」が購入するであろうことを考慮に入れてデザインを行っており、つまりはあえて「尖った」デザインを採用している、とコメントしています。
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BMWはジャンボキドニーに満足している
そして今回BMWのオリバー・ツィプセCEOがメディアに語ったところによると「7シリーズ、4シリーズ、M3、M4、XMに採用されている巨大なキドニーグリルは、BMWに新しい顧客をもたらすことに成功している」。
実際のところBMWはメルセデス・ベンツ、BMWに比較して販売好調だと報じられているので、同CEOのコメントは「事実」だと考えて良さそうです。
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さらにオリバー・ツィプセCEOが語ったところでは、「XMのデザインは、ほぼすべての人が気に入っている」。
これはかなり驚きなコメントではありますが、同氏によれば「"モダンで未来志向のデザイン "を望むなら、自動的に賛否両論が巻き起こるでしょうし、もちろん私たちもそれを望んでいます。だからといって、人々がそのクルマ買わないわけではありません。XMではそのようなことが多く見られます。XMについてはいろいろな議論がありますが、ほぼ全員が気に入ってくれています」。
加えて現在の「議論を呼ぶ」デザインについては、同じように大きな賛否両論を巻き起こした(クリス・バングルのデザインによる)E65 BMW 7シリーズ発売の後に行った分析から発展したものであるとコメント。
このE65 7シリーズは、発売した途端酷評の嵐が吹き荒れたものの、スタイリッシュさで知られたその先代モデルであるE38 7シリーズの販売台数を簡単に上回ったわけですね。
こういった結果からBMWは「論争が起きればよりBMWの知名度が向上し、新しい顧客を呼び込める」と気づくことになったといいますが、これは「炎上商法」にちょっと似ているかもしれませんね。
「"私は論争が欲しいのです。論争がなければ、注目されないということはもうわかっています。デビュー当初に論争を起こさなければ、それこそ間違いです。論争があるからこそ、エンゲージメントが生まれるのです。人々がそれについて考え、代替案について考えるようになるのです」。
つまりBMWは意図的にこういった論争を”戦略的に”呼び込んでいるということになり、議論を行っている人、SNSに批判的な意見を書き込んでいる人は「BMWの計画通り」の行動を取っていると考えることも可能です。
参考までにですが、「マクドナルド理論」というものが世に存在し、「晩メシはどこに食べに行こうか」と仲間数名で意見を出そうとするも誰からもいい候補があがらず、しかしここで「じゃあマクドナルドにしようか」と誰かが言うと「マクドナルド?ないわーそれはないわー。マクドナルドよりもこっちのほうがいいじゃろ」「いやいや、それよりはこっちの店のほうがいいのではないだろうか」という意見が次々に出てきて議論が活性化するというロジックですね。※もうひとつ参考までに、「エヴァンゲリオン」は多くのナゾが論争を呼んだために多くの人を巻き込んで人気が出たという説がある
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参照:CarSales