| ドイツの裁判所は発音にあわせて「ES6」が「S6のエレクトリックモデルと混同される恐れがある」という判断を下すことに |
現在NIOは「ES」を「EL」に置き換えて販売中
さて、ときどき自動車業界で起こるのが「よく似ている名称やエンブレムのデザインに関する訴訟」。
意図しようとしまいと「似てしまう」ことは往々にしてあり、今回はアウディと中国NIOとの間で車名に関する闘いが(ミュンヘンの裁判所にて)あり、「アウディの勝訴」という形に落ち着いたとの報道。
なお、対象となったのはNIO「ES6」「ES7」「ES8」で、アウディはこれらが同社の「S6」「S7」「S8」に似ているとして訴えを起こしていたわけですね。
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欧米では「発音」の類似性も重視
この「ES6」と「S6」という文字を見ると、似ているのは2/3文字だけでぜんぜん違うようにも見えますが、欧米では「発音」を重視するケースも多く、「イーエスシックス」と「エスシックス」という、実際に口に出した際の聞き間違いも考慮されたのだと思われます(”イー”を強く発音しないと、たしかに聞き間違いが起きそう)。
ちなみにですが、過去にはアメリカで「リンカーン(Lincoln)」と「リンク・アンド・コー(Lynk & Co)」との名称が似ているという訴訟がありましたが、これもスペル(綴り)だけだとまったく異なるものの、発音だけだとけっこう似ているとして争われています。
それはさておき、NIOは今後、ドイツ国内で「ES6」「ES7」「ES8」の名称を使用できなくなり、実際にES7は「EL7」へと改名済み。※ES6、ES8はまだ発売されていない
そしてもしNIOが今回の判決に反して「ES6」「ES7」「ES8」の名称を使用すると、NIOの幹部に対し25万ユーロの罰金または6カ月の禁固刑が科される可能性があるといいますが、なぜ会社に対してではなく幹部に対して責任を問うのかは不明です。
NIOはどうやら控訴するもよう
今回の判決ではその「意味」も考慮されたといい、「ES6」の場合では、消費者が「S6のエレクトリック(Electric)版」だと誤認する可能性があるという判断を(裁判所が)行ったと報じられていますが、つまり類似性は発音や文字列だけにとどまらないという見解が示されたわけですね。
なお、NIOはこれを不服として控訴を検討しているそうですが、同社は世界中で自社のクルマを販売したいと考えているので、ドイツのみとはいえど世界統一名称を使用できないのはちょっとした痛手かも。
加えてアウディがこの前例をもとに他地域(たとえばNIOが重視している北米)でも同様の訴訟を起こした場合、かなり面倒なことになるかもしれません。
NIOはもちろん地元中国からその販売をスタートしているものの、2021年にはノルウェー、2022年にはドイツ、そしてオランダ、スウェーデン、デンマークでもEVを発売しており、今後は欧州の他地域、そして北米にも進出の意向を示しているので、ここで不安のタネを放置しておくことは出来ないのでしょうね。
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参照:Automobilwoche