| ポールスターのデザイン性はほかの自動車メーカーに比較しても大きく抜きん出ている |
日本でポールスターを購入できないのがちょっと残念だ
さて、もともとボルボのEVブランドとして誕生したポールスターですが、今では「プレミアムEVブランド」として独立した道を歩んでおり(しかしヘッドライト内のトールハンマーなどボルボとの共通性も残されている)、そしてそのデザインの美しさが高く評価されることで現在「絶好調」だと伝えられます。
今回、そんなポールスターが2024年型としてポールスター4を発表しており、これはポールスター2(セダン)とポールスター3(SUV)との中間に位置するモデルです。
その外観はまさに北欧家具のようにミニマル、そしてラグジュアリーといった印象でもありますね。
SUVというよりはもはやスポーツカー
ただ、公開されたオフィシャルフォトを見るに、SUVというよりはスポーツカーといったほうがしっくり来るルックスを持っており、そしてそのスタイルから連想させる通り非常にパワフルなパワートレインを持っており、ポールスター4に積まれるのはポールスター最強の544PSを発生するデュアルモーター(272PSのシングルモーター版もある)。
ちなみにこのデュアルモーター版だと0-100km/h加速はわずか3.8秒に収まり、これはもちろんポールスター最速です。
使用されるプラットフォームは、親会社である吉利汽車が開発したSEA(Sustainable Experience Architecture)だとアナウンスされており、ポールスター4のホイールベースは3,000ミリ、全長4,820ミリ、全幅2,134ミリ(おそらくドアミラー含む)、全高1,524ミリ。
全長に比較してホイールベースが長いのは「EV専用シャシー」を持つためで、つまりは非常にゆとりある室内空間を持っているということになりますね。
搭載されるバッテリーはシングルモーターであってもデュアルモーターであっても102kWhで、「予定」航続可能距離は300マイル(約483km)だとされ、航続距離を伸ばすためにヒートポンプを搭載し、車内やバッテリーのプレコンディショニング時にこの熱を利用できる、とのこと(EVでは熱の再利用が大きな課題となっており、フェラーリも熱にかかわる特許を出願している)。
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加えてデュアルモーター仕様にはドライブ最適化機能を新たに搭載し、ドライバーがレンジ走行モードとパフォーマンス走行モードを選択できるようにしているそうですが、レンジ走行モードではリアモーターのみの駆動とすることで消費電力を抑えています。
パフォーマンス走行モードだと、パワートレインからの応答性を鋭くし、前後モーターを常に作動させることでフルパワーを発生させ最高のパフォーマンスを発揮することになりますが、この駆動系はセミアクティブサスペンションと連動しているといい、加速だけではなくコーナリングにおいても高い性能を発揮しそうですね。
なお、充電体験についても十分に考慮され、200kWのDC充電に加えて22kWのAC充電が可能だとされ、充電リッドはモーターによる開閉式(単純でムダな機構ではあるが、気分が盛り上がって充電が楽しくなる)が採用され、ビークル・トゥ・ロード機能付きの双方向充電も装備している、とのこと。
ポールスター4は「リアウインドウレス」
このポールスター4にて驚かされるのは「リアウインドウがない」ということ。
この理由はいくつかあるのですが、そのひとつはガラスルーフが乗員の頭上に広がることで、より「没入感」のある体験が可能になるから。
構造的にはルーフをガラスにする代わり、従来のリアウインドウを閉じてしまって特殊な空間を作ってしまったということになりますが、これによってテーマパークのアトラクションのような印象を演出するほか、車体の強度も向上させることも可能になっているものと思われます。
そして後方視界を担当するのはリアビューカメラとその映像を映し出すモニターで、ポールスターのトーマス・インゲンラスCEOいわく「このカメラシステムにより、現代のほとんどのクルマで体験できるよりもはるかに広い視野が得られます」。
つまりは最初からカメラで後方を確認することを前提として設計されているということになりますが、加えて同氏は「リアウインドウを取り外すことで、機能的に驚くほど改善されます。通常のバックミラーだと、夜間には(後続車のヘッドライトを映す)2つの小さな点しか見えませんが、実はもっと多くの情報が隠れているのです。そして我々はこの発想の転換によって、より多くの情報をドライバーに届けることができるようになり、飛躍的に安全性を高めています」とも。
なお、このデジタルルームミラーはもちろん「通常の鏡」としても機能し、後方表示をOFFにすれば後部座席に座る子供の様子を確認することも可能だと述べています(ただ、その際には後方の確認ができなくなるものと思われる)。
そのほかポールスター4では(ポールスター2/3同様に)周囲を監視するカメラやセンサーが多数内蔵され(フロントフェンダーからもカメラが飛び出している)、合計で12個のカメラ、12個の超音波センサー、1個のレーダーシステムが標準装備されることに。
これらは車外を監視するだけではなく車内も監視しているといい、ドライバーの頭や目の動きをモニターし、疲れを感じていないか、飲酒運転をしていないかなどをチェックするシステムも含まれるほか、ステアリングホイールにもセンサーが内蔵され、ドライバーが「ちゃんとステアリングホイールを握っているか」も検知するようですね。
ポールスター4の車内には、ポールスターの定石通りのミニマルなインテリアを見ることができ、リサイクルプラスチックで織られた新しいファブリック、化石燃料を植物由来のオイルに置き換えた”バイオアトリビュート”ビニールシートカバー、漁網をリサイクルしたフロアカーペットが採用されています。
現在吉利汽車はこのポールスターのほか、スマート、ロータス、ボルボなどいくつものブランドを保有していますが、それぞれ車体やパワートレインを共有しつつ、しかし例えばポールスターでは「安全性やサステナビリティを最高レベルにまで磨き上げる」など各ブランドにおける特徴の強化と差別化ができており、非常に効率的な経営を行っているようにも感じます(さらにはロータスの持つハンドリングをほかブランドに反映させるなど、アクティブなシナジー効果も追求している)。
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