| やはり先行者、そしてリスクを冒してでもチャレンジを行ったものへと利益が転がり込むようだ |
テスラ自身、スーパーチャージャーが大きな利益を生むとは考えていなかったのかもしれない
さて、テスラは自前の充電ネットワークを構築していることでも知られますが、この「スーパーチャージャー・ネットワーク」につき、数年前までは”利益にならない”と語っています。
ただしここ最近では大きくこれに関する動きがあり、まずはホワイトハウスがテスラのスーパーチャージャー設置にお金を出すという契約を(テスラと)結んだこと、そしてフォード、GM、メルセデス・ベンツ、日産といった古参自動車メーカー、さらには新興EVメーカーのリビアンまでもがテスラの充電規格であるNACSを採用する意向を示したこと。
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テスラがホワイトハウスとの契約によって自前の充電器「スーパーチャージャー」を他社製EVにも開放!見返りとして多額の資金を獲得、充電器を2倍にするという計画にはずみをつける
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今後、スーパーチャージャーはさらに拡大、そして業界の「標準」に
こういった事情があり、今後テスラのスーパーチャージャーは一気に設置が拡大する可能性があるわけですが、現在スーパーチャージャーはおよそ(北米にて)2,000箇所に12,000基が設置され、これは全米にて可動する電気自動車用充電器のおよそ60%を占める計算なのだそう。
そして今回、こういった背景を考慮して、ウォール街で20年以上活躍し、現在は投資会社ウェドブッシュ・セキュリティズにてマネージング・ディレクター兼シニア・エクイティ・リサーチ・アナリストを務めるダン・アイブス氏が「テスラのスーパーチャージャー・ビジネスはカネになる」と発言しています。
同氏によれば、テスラのスーパーチャージャー・ビジネスは、テスラの総売上のおよそ3~6%の価値があり、2030年までに100~200億ドルのビジネスになるとのことで、これはテスラと複数の自動車メーカーとの北米充電規格(NACS)契約、エネルギー事業、人工知能への投資、生産能力の増加など、複数の要因に基づいて行った予測であり、テスラは(自動車業界全体の)電動化への移行を活用することができる「絶好のポジション」にある、とも。
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テスラは競合他社が絶対に持ち得ないアドバンテージを持っている。それは自社の充電ネットワーク「スーパーチャージャー」であり、これがある限りテスラの優位は揺るぎない
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加えて同氏はテスラの株価に対しても非常に強気な見通しを示しており、現在239ドルの株価が数年のうちに350ドルにまで達するという意見を述べていますが、数々の「テスラ強気派」の中でもこの数字はかなり高い方でもありますね。
ちなみにですが、このNACSを採用するにあたり、自動車メーカーはテスラにお金(ライセンス料)を支払う必要はなく(無料化することでテスラはNACS導入を促進している)、しかし実際に充電する顧客が「充電料金」をテスラに支払うのですが、テスラにとっては「GMやフォード、ボルボやメルセデス・ベンツなどのEVユーザーが今まで他の充電ネットワークを利用し、そこに対して支払っていた」お金の一部を自社にて獲得できるということを意味します。
つまり、テスラは労せずして「継続的に得られる収入を確保した」とも考えることができ、そしてその収益は「NACSに対応した、ほか自動車メーカーのクルマが売れれば売れるほど」増えてゆくのは間違いのないところ。
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スーパーチャージャーは「値下げ」以外の武器にもなりうる
現在は数多くの自動車メーカーがEVを発売しているものの、「自社による」充電ネットワークを展開しているのは事実上テスラのみだと言ってよく(ほかにも自社ネットワーク構築を宣言したメーカーが存在するが、その規模があまりに小さい)、よってテスラはこのアドバンテージを存分に活用するとも見られているわけですが、具体的には「無料準電サービス」を車体に付与することで販売を大きく伸ばすことが可能だと言われます。
世界的にEVの販売が伸びている状況ではあるものの、その成長率は多くの自動車メーカーが実施した「値下げ」によって担保されているといい、しかしこの値下げは利益率を大きく圧迫するなど、自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。
もちろんテスラはこの「値下げ」を用いてさらに販売を加速させる意向を持っていますが、さらにその販売をブーストできる可能性があるのが「無料充電キャンペーン」。
参考までに、テスラは販売開始初期には「無制限無料スーパーチャージ」をクルマに付与しており(つまりタダで充電し放題だった)、しかし2018年にはこれを廃止。
ただしそれ以降であっても販売促進を目的として期間限定で無料チャージを活用したことがあり、直近だと2023年6月にモデル3の在庫車を対象とし、一定期間内に注文した場合、3カ月間の無料無制限スーパーチャージを付与するとしています。
そして、この「無料チャージ付与」は自社にて充電ネットワークを展開するテスラでしか行えないキャンペーンでもあり(実際には他社でも可能ではあるが、様々なコストを考慮するにプラスになりにくく、現実的には実施できないと考えた方がいい)、EV購入予備軍の意欲を刺激するには非常に有効な手段だとも思われます。
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Wedbush’s Dan Ives reiterated an Outperform rating and $350 PT on $TSLA! ⚡️🎯 https://t.co/6xg6SP0ISl #Tesla #EV pic.twitter.com/TgMQEymkaI
— Tesla New York (@TeslaNY) August 25, 2023
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