| 事実上日本市場からは撤退状態ではあるが、再上陸が待たれる |
ただし新生スマートは「かつての」スマートとはまったく別のクルマである
さて、中国の吉利汽車(Geely)傘下となったのち、事実上日本からは撤退状態のスマート。
ほかの多くの国や地域からも撤退しており、既存のスマート販売網を活用せずに「あえてゼロベースで」出直すという手法を採用しています。
その理由についてはナゾであるものの、車種そのものもそっくり入れ替えることとなっていて、既存モデルの販売を終了させた後、2022年4月には「#1」を発表し、そして今回はSUVボディを持つ「#3(ハッシュタグ・スリーと読むようだ)」の詳細をリリースしています。
スマート#3ブラバスの0-100km/h加速はわずか3.7秒
このスマートスマート#3につき、今年春には画像とともに発売予告がなされていましたが、今回は(欧州向け)スマート#3の全容が公開。
欧州にて発売されるのはベースモデルのスマート#3、そしてハイパフォーマンスモデルのスマート#3ブラバスの二台です。
そしてこのスマート#3ブラバスは前後アクスルに1つづつ、つまりデュアルモーターを搭載して422馬力を発生し、0-100km/h加速はなんと(そのあたりのスポーツカー顔負けの)3.7秒。※ベースモデルのスマート#3は5.8秒
ちなみにこの3.7秒というのはポルシェ911カレラの4.2秒よりも速く、911カレラSの3.7秒と同じタイムであるといえば「どれだけ速いか」がわかるかもしれません。
一回の満充電あたり航続可能距離はシングルモーターのスマート#3では455km、デュアルモーターのスマート#3ブラバスでは435kmだとアナウンスされており(両方ともWLTPサイクル)、150kWh急速充電を使用すればわずか30分で10%から80%までを充電できます。
なお、今回スマートはミュンヘンにて開催されるIAAモビリティショーにて、スマートブランド誕生25周年を記念した特別仕様車も発表することになり、ベースとなるのはスマート#3ブラバス。
この特別モデルは25th アニバーサリーエディションと命名されており、パノラミック・ギャラクシー・ルーフ、アップグレード版LEDヘッドライト、レッドのハイライト、内装だとヘッドレスト一体型のブラック&ホワイト仕上げとなるツートンカラーの特別レザーシートを装備しています。
ブラバスモデルと25周年記念モデルには、9.2インチHDデジタルメータークラスター付き12.8インチタッチスクリーン・ディスプレイ、10インチヘッドアップディスプレイ、13スピーカー付きBeatsオーディオシステムが与えられること、2023年末に発売されること(販売価格はそれまでわからない)、納車開始は2024年以降となることが発表されています。
スマートの半生は赤字であった
スマートの歴史を振り返ってみると、1994年に「MCC(マイクロカーコーポレーション)」として設立され、当時の主体は腕時計ブランドの「スウォッチ(SWATCH)」です。※車名の「スマート(Smart)」はSwatch、Mercedes-BenzにARTを組み合わせたもの
当時のパートナーはメルセデス・ベンツで、しかしスウォッチがクルマを作るという話題が先行し、「スウォッチカー」と呼ばれ話題を呼んだこともあったものの、小型車の開発経験がなかったメルセデス・ベンツは安全性の確保に苦労することになり、ようやく市販にこぎつけたのは1998年。
ただし開発や改良にコストがかさんで黒字転換することが難しく、ここでスウォッチは資本を引き上げてしまい、これによって貧乏くじを引いたのがメルセデス・ベンツであったわけですが、その後ようやく黒字化できたのは2008年だとされるので、創業から14年もずっと赤字だったこともわかります。
その後吉利汽車の創業者である季書福氏がメルセデス・ベンツの株式を9.7%取得して筆頭株主となり、2019年にはスマートの株式の過半数が吉利汽車に譲渡されることでスマートブランドは吉利汽車のコントロール下へと移っていて、そこでブランドがリブートされ現在に至る、というのが今までの流れ。
今後のスマートはどういった展開を行い、どういった地域で販売されるのかはわかりませんが、ぜひ日本にも「再上陸」を期待したいところですね。
-
メルセデス・ベンツの筆頭株主、そしてロータスとボルボの親会社でもある中国の吉利汽車(Geely)がエンブレム変更を発表。「よりスマートに、より先進的に」
| 吉利汽車のエンブレムはもともとは「山」、そしてBMWのようなエンブレムから、現在の”グリル型”へ | この短期間でここまで成長してきたことが信じられない さて、そのCEOがメルセデス・ベンツの最大 ...
続きを見る
合わせて読みたい、スマート関連投稿
-
中国資本となった新生スマートから第一号車「#1」発表!過去最大サイズでSUV、ピュアEVに264馬力へと変貌を遂げメインストリームで勝負に出る
| このクリーンでスマート、丸っこい外観は中国でかなりの人気となりそうだ | 新スマートは米国では販売されず、日本市場への導入も不透明 さて、スマートが新生代モデル「#1」を発表。これはスマートの株式 ...
続きを見る
-
中国資本になったスマートから「#1 ブラバス」登場!スマートなのに422馬力、0−100km/h加速はポルシェ911カレラSと同じ3.7秒
| やはり中国の自動車メーカーはやることが毎回過激だ | 性能はもちろん、その価格もこれまでのスマートとは大きくかけ離れている さて、中国にてリブートされた新生スマート「#1」にブラバス仕様が登場。現 ...
続きを見る
-
新生スマートが「#3」を世界初公開!スポーツユーティリティクーペを名乗るもスマート#1との差異が小さくブランド内での食い合いは必至?
| たしかにスマート#3のほうがスポーティーであることはよく理解できるが | 親会社の吉利汽車は「豊富な資金」があるだけに、自社製品の侵食よりも、少しでも他社のシェアを獲得することを重視しているのかも ...
続きを見る
参照:Smart