| 2024年、EV市場は「大荒れ」の予感 |
さすがのリビアンであっても2024年には成長が望めないと踏んでいる
さて、これまで「未来」だと信じて疑われることがなかったEVではありますが、昨年末からその成長に陰りが見えたことで悲観的な見方を行う調査機関やメディア、自動車メーカーが登場しています。
もちろんEV市場の成長がマイナスとなることは考えられませんが、その成長率が鈍化し、かつ新車販売におけるEV比率が思ったほど高くならないだろう、という向きが多くなっているわけですね。
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リビアンは2024年の販売台数を2023年と同様だと予測
そして今回報じられているのが「リビアンの2024年の販売目標がアナリストの予想よりも遥かに低く、かつ従業員を10%カットすると発表したことで株価が17%下落した」というニュース。
現在リビアンは新車(R2シリーズ)の発表を控えているところですが、先週行われた第4四半期の決算会見にて上述の「見通しと従業員の削減」について触れており、最高経営責任者であるR.J. スカリンジ氏は「人員削減は、月々の車両支払額の高騰につながる金利上昇など困難なマクロ経済状況を乗り切るために実施する」とコメントし、「当社のビジネスは、既存の経済的および地政学的な不確実性の影響を受けないわけではありません。最も顕著なのは、需要に悪影響を及ぼしている歴史的な高金利の影響です」とも。
たしかにこの「金利」についてはいくつかの(テスラ含む)自動車メーカーが言及しており、米国では非常に大きな問題(とくに自動車のように高価格な製品を販売する業界にとっては)だと言われているようですね。
さらにR.J. スカリンジCEOは「人員削減はリビアンの経費節減を目的」としたものであって、2023年と2022年の両方で行われた対策同様だと述べており会社の根幹が揺らいでいるわけではないこと、第4四半期の純損失が17億2000万ドルから15億2000万ドルへと減少していること(それでも未だに赤字であることには驚かされる)についても言及していますが、もっともインパクトがあったのは2024年の販売について2023年と同様の5万7000台だと見込んでいるということで、これはアナリストが予測していた8万1000台とは大きく乖離のある数字です。
リビアンではまだ赤字が続く
さらにリビアンは「歴史的な高金利の影響」にて今年の利息、税金、減価償却費を除く調整後損失が27億ドルになると予想しており、これはまだまだリビアンが黒字転換できないということを意味します。
このほか、効率の向上とコスト削減を目的として生産ラインをアップグレードすること、そのため2024年に数週間にわたる生産停止を計画していることについても言及していますが、3月7日に発表される新型車「R2」には大きな期待が寄せられており、現行のR1TとR1Sに比較してワイヤリングハーネスが25%短縮されるなど大きくコストが削減されていて、(テスラにおけるモデル3同様に)リビアンの黒字化に大きく貢献するものと考えられているようですね。
なお、R.J. スカリンジCEOはこのR2について「R2は当社のブランドの本質を表しており、テスラ以外の魅力的なEVの選択が限られているマスマーケットにおいて重要なポジションを占めるでしょう」とコメント。
ただし、このR2はリビアンが現在米国ジョージア州に建設中の50億ドル規模の新工場で生産される予定だとされ、この工場が完成する後の2026年までR2の生産が開始されることはなく、よってリビアンは今後2年ほどR1SとR1Tの販売に依存する必要があり、この(今の)状況でも利益を確保するために人員削減を行うと考えて良さそうですね。
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